コミックニュータイプで連載している紅殻のパンドラの2巻です。華奢でちょっとメカメカしくて可愛らしいキャラクター達や、シリアスなシーンにコミカルな要素を含みつつしっかり進んでいくストーリーや、豊富なパロディも健在の2巻です。

1巻ラストでは、発射態勢に入ったブエルの荷電粒子砲の正面に立つネネと「残り時間-31秒」の表示で終わってしまいましたが、2巻ではその続きのストーリーからスタートし、ブエルの暴走を止めるためにネネをはじめとした面々が奮戦します。

ブエルの暴走事件を止めた後は、紅殻のパンドラとしては初めての日常的なシーンが登場します。それと同時にウザルの表向きの顔やブエルを狙う謎の人物「大佐」の登場など、ブエルに関する話はまだ全てが終わっていたわけではない事を示唆する内容になっています。

あらすじ

暴走した自律型採掘機「ブエル」を止めるために奮戦するも、ブエルの持つ荷電粒子砲の正面に立ってしまうネネ、荷電粒子砲が直撃すれば蒸発してしまうというピンチを救ったのは、たまご型のメカ「ゲルツェコマ」でした。

ゲルツェコマを使い、何とかブエルの頂上へとたどり着き暴走を止めることに成功しますが、同時に侵入者が居るためネネたちは避難することになります。崩壊する地下施設から逃げる最中、ウザルと別れることになりますが、島を救った報酬替わりにとクラリオンを預けられるネネ。

当初の予定からは大幅にズレたものの、何とか「オバサマ」の元へたどり着いたネネを待っていたのは、大きな屋敷とやけに小さな少女でした。やけに小さくて若々しいオバサマ改め「タクミちゃん」に歓迎され、何とか穏やかで少し騒がしい日常に戻るネネたちですが…。

感想

ブエルの暴走は解決し、穏やかな日常生活へ?

1巻から続いていたブエルの暴走事件は2巻の序盤で解決し、本来の目的地であった「オバサマ」の自宅へと警察の車で送られます。「オバサマ」の自宅に到着した二人は、中に入りますが、いきなり床がパカッと開いて二人は落下、洗浄&乾燥されます。その後、オバサマこと崑崙八仙 拓美が登場します。が、オバサマという呼ばれ方とは裏腹に崑崙八仙はかなり若い、というよりも幼い雰囲気の人物でした。ネネも実際に会った事は無かったのか、その若すぎる外見に困惑します。

無事にタクミちゃんの家に厄介になる事になったネネですが、事件の際の混乱で荷物を失くしていたため、買い物に出ることになります。ここでおかしなことが発生しますが、全部タクミちゃんが作った偽装空間の中での出来事でした。その後現実世界で買い物に行きますが、行き先の1つでウザルの部下でブエルのキーを探しているバニーと再会します。バニーはキーを受け取り立ち去りますが、これを機にネネたちは小さい方のブエルを発掘し、ブエルの本体がいまだ停止しておらず稼働し続けている事を知ります。

1巻と比べるとブエルの暴走事件が片付いた事もあってか、平和で賑やかな日常らしさを前面に出したようなエピソードが多いです。マスコット感の強いゲルコマ達や、時折暴走こそするものの外見からは想像できない程しっかりしていて、保護者らしい部分もあるタクミちゃんも加わり、ネネの周りは更ににぎやかになります。一方でそんな平和なネネたちとは対象的にブエル奪取のために暗躍する「大佐」の出現など、更に二転三転しそうな雰囲気の2巻です。

表と裏のギャップの差が激しい?

紅殻のパンドラでは本編のストーリーは基本的にネネとその周辺の人物による「明るい」側面を前面に押し出したストーリーが進行していき、その裏で様々な思惑を持った人物や組織が暗躍する、というスタンスになっています。実際、2巻の作中でもネネたちがメインとなっているシーンでは、例えそれがブエルの暴走を止めるための作戦の最中の本来ならシリアスな雰囲気になるようなシーンであっても、時にはギャグっぽく描かれ軽いノリで進行していきます。

その一方、そういった穏やかで楽しげな本編の裏側では、ある意味では攻殻機動隊シリーズを彷彿とさせるような暗い側面が押し出された内容のストーリーが進行していきます。事件の関係者であるバニーたちによって情報が漏れるのを防ぐために護送車両を襲撃、爆破事件を引き起こし、回収したバニーたちに対しても「情報漏れを防ぐ一番の方法を知っている」として脅しをかけるなど本編とは打って変わって暴力的な方法を取る人物である「大佐」が登場します。

基本的にはネネたちは世界情勢とは殆ど関係がない立場にいる一般市民である上、舞台となるセナンクル島に関しても世界情勢からは切り離されている部分が強いため、こういった「ノリの違い」が存在するのだと思います。そのため、人によってはハード路線かライト路線かはっきりしてほしい、と感じる人も居るかもしれません。ですが、世界観や人物設定に準じてしっかり描かれている、という意味では流石の原案、漫画担当コンビかなと思います。

新キャラクター? ゲルツェコマやブエルが登場

2巻冒頭では新しいキャラクター?としてたまご型のボディを持った4脚型のロボット「ゲルツェコマ」が登場します。丸っこいデザインに単眼のシンプルなデザインですが、ネネを背に載せて移動するシーンでは頭部?がネコミミ型に展開して持ち手が出現するなど、マスコット枠のような雰囲気のキャラクターですが、2巻冒頭では、荷電粒子砲を撃たれる間一髪のところでネネを助けるなど、バトルシーンでも活躍シーンの多いキャラクターです。

作中ではネネから「ゲルコマ(さん)」と呼ばれ、「~~コマ」という名前や多脚型のボディ、個体によっては武装している、光学迷彩を搭載していたり、ワイヤーを伸ばして移動できる点など、原案の士郎正宗先生が描く他作品「攻殻機動隊」シリーズに登場するタチコマやフチコマといった自律型多脚戦車との関係性も気になるキャラクターです。ただし、本作ではそれらの作品よりも技術水準が低い時代を描いているからか、ゲルコマ自身が喋ったりすることはないようです。

ブエルに関しては、1巻後半から登場した自律型採掘機のブエルそのものではなく、その中枢制御ユニットとして登場します。ブエルという名称は五本の山羊の足と獅子の頭を持った悪魔から取られているようで、外見も概ねそれに準じた姿をしているのですが、何故か五本目の足が股間にあったり、ネネをはじめとした女性キャラのパンツを見たがるなど、かなり変態チックな部分があるキャラクターになっています。ちなみにブエルの暴走時に登場した後は長らく埋められていたらしく、真理(内フトモモ?)に到達した模様。

まとめ

という事で、紅殻のパンドラ2巻でした。1巻のラストから引っ張る形になったブエルの暴走事件も一先ずは収まり一件落着、ネネとクラリオンは無事にセナンクル島での平和な日常へと戻るのかなと思いましたが、ブエルの本体である採掘機部分はまだ稼働している上、更にそんなブエルを狙っている人物がいることが分かるなど、ブエルの問題はまだ完全には解決しておらず、更にもう一波乱ありそうな雰囲気が感じられ、続きが気になる巻です。

1巻から引き続いて華奢でメカ可愛い感じの女の子が満載です。特に崑崙八仙邸へ到着した後のセキュリティのために有線接続するシーンは、うなじの端子に接続しているだけのシーンなのにやけにエロ可愛らしく見えるあたりは流石だなと感じました。また、タクミちゃんの行き過ぎた行動に対して怒ってパンドーラデバイスを起動する際は、よく見るとタクミちゃんに拘束された状態でありながらクラリオンがいつものあの表情をしていたりと芸が細かいです。

そして、気になるのが謎のリポーター・ブリ何とかさんです。1巻の冒頭から継続して登場している人物ですが、2巻終了までの時点では一度も名前をフルで言えていないという徹底ぶりです。しかも、落下や爆発、地下の崩落の巻き添えになるなど作中でも特に酷い目に合っているにも関わらず、毎回しっかり生還しているあたりネネとは違った方向で何か特別な才能を持ってそうな人物ですが、今後名前を完全に名乗れる日が来るのか楽しみです。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9