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夏を思わせる浴衣姿の柚子森さんが表紙だった二巻に対し、今回は紅葉の絨毯に寝転ぶ柚子森さんから秋を感じます。この表紙は作中の時系列と直接リンクしているわけではありませんが、物語のなかでも着実に時が進んでいるのを感じさせるものとなっています。

なにより柚子森さんがとても可愛らしいですよね。そんなこんなで柚子森さんも第三巻です。小学生女子の柚子森さんとヘタレ意気地なし女子高校野間みみか、そんな二人の日常のお話も、第二巻で訪れた転機をうけて、更に進展していきます。

第三巻も大人っぽい柚子森さんがとてもかわいらしく、その柚子森さんに対してひたすらドギマギしてしまうみみかもまた、可愛いです。色々なことがこれからあるだろうけれど、この二人が居ればきっと読み続けられる、改めてそう思わされました。

あらすじ

第二巻でお互いの気持ちが通じ合い、二人の関係性のステージはひとつ進みました。そこからはじまる二人の新しい日々……!あれ?恋人どうしって何するんだろう?そもそも恋人どうしでもない…?まあいいか!と適当にいつも通りに過ごそうとするみみか。

見兼ねた柚子森さんはみみかに手を差し伸べてくれます。でも…なんだかいつもと違う雰囲気。二人の関係はまだ恋人どうしではないかもしれないけれど、明らかに何かがはじまっているのでした。そんな二人の初々しい(?)日々は続いていきます。

みみかの修学旅行で一緒に居れないときも連絡を取り合う二人、修学旅行が終わって再び会えることを嬉しく思う二人。二人の関係はぐんぐんと育まれていきます。しかし、そんな二人に新たな刺客が現れます……果たして?

感想

関係性のステージが上がった二人

第二集でお互いの気持ちを確認した柚子森さんとみみかの二人。けれどお互いに”付き合う”なんて言葉を交わしていないので、あれ?わたしたちって恋人?なんなんだろう?まあこれまで通りでいいか!となる野間みみか。そんなみみかを見兼ねて、手を差し伸べてくれる柚子森さん。その姿はいつも通りリードしてくれる柚子森さんなんですが、その様子は何かがいつもと違う…何かがはじまっている?”いつもと違う”様子の柚子森さんはいじらしくて、新機軸の可愛さです。

“何かがはじまっている”二人の関係性はこれまでとは様子が異なっていて、なんだかふたりとも心臓がバクバクするような様子で、見ているこちらもドキドキそわそわとさせられてしまいます。やはり何よりこの二人の可愛らしさ!がこの漫画の根幹を成している要因だと改めて認識しました。二人の日常は結構今まで通りなんですけど、二人の関係性が進展しているので、これまでどおりの日々も新しい魅力にあふれて見えるのです。とても素敵なことですね。

みみかの修学旅行でしばらくの間二人は離れ離れになってしまいます。お互いに他愛のない連絡をとりあう二人。久しぶりに過ごす一人の時間は、柚子森さんにとって寂しい……?かと思いきや、SNSや電話で連絡をとれるので、全然寂しそうではありません。むしろとても楽しそうな柚子森さんが、非常に愛おしく感じるのです。けれど、やっぱり会えないと寂しくて、久しぶりにみみかと会いたとき、「会いたかった……」とこぼしてしまう柚子森さんがまた愛おしいのですが。

二人の前に現れる新たな刺客”綾瀬りりは”

そうしてこうして、離れたりしながらも仲睦まじく関係を育んでいく二人。その日々を過ごしていく様子はとても可愛らしく愛おしく、このままどこまでも突き進んでくれ!と思わずにいられません。けれどもこの漫画は、はいこのまま突き進もうね、とはならないのです。第三集にして明かされていく柚子森さんの内面と、挿入される意味深なカットは読者としては不安を駆り立てられてしまいます。そして、そんな二人の前には新たな刺客が登場します。

平穏な日々を過ごしていた柚子森さんとみみかたち。その二人を脅かす存在として、柚子森さんのクラスメイトである”綾瀬りりは”が登場します。街中でみみかと仲良くする柚子森さんを見かけたりりは。そんな彼女は柚子森さんに対して”あなたの大切なものを全部奪ってあげる”と宣言するのです。小学生女子……おそるべしというべきか。りりははファッション誌でモデルをしているだけはあり、その見た目はとても可愛いですが、もう立派な一人の人間なのです。こわい。

第三巻では先程述べた”宣言”をしただけで、まだまだ行動を起こしてこない綾瀬りりは。しかし彼女の存在は、間違いなく柚子森さんとみみかの関係を揺るがすのでしょう……。そう思わされるほど、彼女の登場と行動は衝撃的でした。新たな刺客が現れた柚子森さんとみみかですが、二人はこのまま突き進むことはできるのでしょうか?それとも「始まった以上は、どんなことでも必ず終わる。」のでしょうか?彼女たちの関係にこれからも目が離せません。

描かれていく柚子森さんという人間

これまで、一巻・二巻ではどちらかと言うとダブル主人公の柚子森さんと野間みみかのうち、野間みみかの人間が描かれてきました。ヘタレで意気地なしで……年下(小学生)に引っ張られてしまう、そんな女子高校生・野間みみか。けれども彼女の裏表のない、まっすぐなパーソナリティはとても魅力的で、好きになってしまいます。それに対して、もう一人の主人公、柚子森さんのパーソナリティに関しては深く掘り下げられることはありませんでした。

修学旅行でみみかと暫く離れ離れになっている間、家でひとりぼっちだった柚子森さん。いや、お母さんが忙しいことを思うと、もともと家でひとりぼっちになることも多かったのでしょう。マンションの一室で、そこまで大きな家!というわけでないですが、まだ女子小学生の彼女にとってはとても広く感じられます。けれど、みみかと電話をすることで、とても満たされる柚子森さん。彼女にとってみみかの存在がどれだけ大事なのか、伝わってきます。

綾瀬りりはに奪ってやる宣言をされる柚子森さん。以前からクラスメイトとは一悶着あったのでしょうか……?また、みみかとの日々が幸せなら幸せなほど、どうしようもなく不安に襲われる柚子森さん。そして、三巻ラストの意味深なモノローグ……。柚子森さんという人間は何か一物を抱えているぞ?と思わせつつ、具体的なその内容は開示されることなく、次巻へと続いていきます。果たして柚子森さんとみみかの関係は一体どうなってしまうのでしょうか?

まとめ

三巻は、二巻で関係性のステージが上がった柚子森さんとみみかの日常がつらつらと描かれる……と思いきや、重要なポイントは柚子森さんのバックボーンが描かれる……前振りといった内容だったでしょうか?引き続き登場するしーちゃんは三巻でも魅力的な友人キャラでいてくれます。そして登場する”綾瀬りりは”は平穏な世界に投下された爆弾であり、彼女が何をしでかすのか、目が離せません。そして、柚子森さんの繰り出す意味ありげなモノローグも……。

とはいいつつも、やはり主題は柚子森さんとみみかの日常がとにかく尊く、可愛らしくて愛おしくて元気がもらえるのです。やはり柚子森さんは可愛いですし、みみかもやっぱり可愛いです。癒やされます。元気を貰えます。二人の関係が新たなステージを迎えたなかで、これまでどおりの日々を過ごしていてもふとしたことにドギマギする二人が見られて、それもまたこちらもドギマギしてしまって、心を揺さぶられます。二人の初々しい姿、素敵です。

これまでの平穏な世界に、すこしずつ不穏さが忍び寄ってきた柚子森さん三巻ですが、読んでいて飽きさせない大胆なコマ割りと細やかな演出は健在です。二巻までぶっ飛ばしたぶん少し落ち着いた?とも感じますが、”綾瀬りりは”の登場など、次の展開に向けての種まきがなされた第三集。これからこの物語がどのように進んでいくのか?なにがあっても柚子森さんとみみかの二人を見守っていきたいなと思わされる一冊でした。これからも楽しみにしています。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

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