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萌え4コマ漫画界隈で異彩を放ち続ける大沖先生の作品。天才少女「平目木はつめ」(7歳)と、はつめが適当に作った素朴な笑顔がキュートな箱?「以下はこ表記」を中心に繰り広げられる物語は、やみつきになる面白さが存在するのです…たぶん。

「ひらめきはつめちゃん」は月刊コミックブレイドで2009年から2015年まで連載され、単行本全6巻の4コマ漫画です。天才少女のはつめと父親のはつのり、そして天才少女はつめが作った「はこ」が送る日常生活がメインに描写されます。

とにかく独特でどこか素朴なキャラクターたちが面白く、何でも出来そうで出来ない「はこ」が良い味を出していますね。ツマラナイ人にはツマラナイ、ハマれば作品の一挙手一投足がツボにハマる。そんな4コマ漫画です。

あらすじ

発明家の父である「平目木はつのり」の仕事を見よう見まね覚えた天才少女「平目木はつめ」。ある日、学校の図工の時間に作ったという不思議な「はこ」を父親に見せます。そして爆発して「はこ」が何故か家になりました。

はこの家で住むことになった平目木一家。しかし意外と快適なようで、何事も無かったように生活していくのでした。はつめの頭にはいつも2号機である「はこ」がキュートな笑顔で乗っていて、はつのりたちに秘めた能力を見せて行きます。

日常生活の中でネジをはめ込むと様々な現象を起こす「はこ」が不思議な魅力を放ち、周囲のキャラクターたちは戸惑いながらも普通に生活していきます。思わず\やべえ/と言ってしまいそうになる「はこ」の無茶苦茶な能力に、きっとクスッと笑顔がこぼれるでしょう。

感想

天才少女が適当に作った「はこ」と平目木家のハートフル?物語

天才少女のはつめが作った「はこ」についてですが、この作品における脇役でもなければ主役でもない存在で、何だか言葉に表すことが難しい魅力があるのです。一巻でも、とにかくページをめくる事に笑顔の「はこ」が目に飛び込むので、はこを見るたびに笑ってしまいました。もちろん笑いどころの個人差はありますが、いつでもどこでもはつめの頭に乗っている「はこ」の存在が次第に癒しの存在になってくるから参ってしまいます。はこの\よう/という気さくな挨拶も素敵。

そんな不思議な魅力を持つはこの機能として、\よう/と挨拶する以外にもツノが生えたり、顎から腕が生えたと思えば雑巾を絞るだけのオチャメな機能だったりと「え…」と困惑してしまうものが多いです。しかし、ちゃんと絞った雑巾を広げてくれる進化もしますし、人工衛星と受信できたりと、機能を発動させるネジと「はこ」があれば出来ないことは存在しないのかもしれません。それほど可能性に秘めた「はこ」を適当に作ったはつめは小学一年生ながら天才だと思いました。

キャラクターの言葉選び良くて笑えますし、どこかキャラクターたちの心の広さも感じますね。家を爆発させた時も、はつめの母親が怒りもせずに「まぁいいか!ごはんつくろ」と全く気にしていない様子が素晴らしい。「そこは気にするべきでは?」とツッコミが追い付かないほど寛容的なキャラクターたちを見ていると、何故だか知りませんが元気が湧いてくるのです。そこに笑顔の「はこ」がいつも居るので、のほほんとした雰囲気が加速されるのですが。

独特の世界とキャラクターについてこれるか

宇宙人で「やべぇ」が口癖の女子高生が登場する「はるみねーしょん」や、女子高生が廃れた商店街を活性化させていく「わくわくろっこモーション」など、独創的なテーマを持つ作品を多く手掛ける大沖先生。ですが、声を大にして他者に薦めることは難しいと思うのです。決してツマラナイからではなくて、独特の作風から賛否が分かれるからですね。お腹を抱えて笑える方もいれば「どこが面白いの?」と感じる方も存在するのではないでしょうか。

素朴な魅力も読み手に伝わらなければただのツマラナイ要素となってしまうように、シュールさが苦手な方にはとてもオススメできません。やはり表紙にピンと来た方や、大沖先生の作風を理解したうえで読みたいと思う方に合う作品かなと。私は「シュール」という簡単に表現できる言葉では表せない大きな魅力が隠されていると「ひらめきはつめちゃん1」を読んで感じましたし、大沖先生が描く作風に波長が合うのかスラスラと読むことが出来ました。

登場する多くのキャラクターは表情をあまり変えません。とくに「はこ」を制作した「平目木はつめ」は終始半笑いです。そこが可愛らしいのですが、中には不気味に映ってしまう方もいるかもです。ですが、はつめの頭に乗っている終始笑顔の「はこ」がいますし、基本的には登場キャラクターたちは悪事を働かくことはないので安心して読める4コマ漫画だと思います。ほんわかした平和な世界観も「ひらめきはつめちゃん」の大きな魅力ではないでしょうか。

適当さや寛容さが非常に心地よい

「ひらめきはつめちゃん1」で見逃せない要素だと感じるのが「適当さ」です。キャラクターたちもそうですけど、ストーリーや設定にも良い意味で適当さに溢れているのです。「はこ」もはつめが適当に作った発明品ですし、寛容的な母親や学校の先生である「早川あきら」など「シュールだな」と評価される大沖先生のシュールさの正体は「適当」にあると感じています。大沖先生が適当さを計算で描いているのか、または天然で描いているのかは分かりませんが。

私が好きなキャラクターは、はつめの担任教師である「早川あきら」ですね。はつめが日誌に何を書いて良いのか分からず「宇宙の果てはどうなっているのか、でもいいの?」と質問しますが「いいよー」と簡単に答える適当さが凄いです。個性を大切にすると言いますか、そのキャラクターの生き方を否定せずに受け入れてくれるようなキャラクターが多いですね。ひらめきはつめちゃんの世界では自分らしく生きることが出来そうで羨ましいと思います。

はつめのいとこで変わったものが好きな「照茂ケイ」や、勘違いから「はこ」を悪の組織が作った兵器だと思っている「樫尾たく」など、それぞれのキャラクターも作品において欠かすことができないほど個性的。作中で最も表情が豊かであるはつめのお父さん「平目木はつのり」もツッコミ役として上手く機能しています。また表情を見ているだけで癖になるキャラクターも多く、癒し系ではありませんが、不思議とそう感じることもあるのです。

まとめ

独特の雰囲気があって適当さも感じる作品ですが、はつめが宿題の絵日記に日記とは全く関係ない車の絵を描く話があります。父親に「なんで車なんだ?」と聞かれたはつめは「書きたかったから」と答えるのです。この返答に何故だか感動してしまいました。この作品には個性を受け入れる環境があるのと書きましたが、変に規則に縛られず自由に生きているように見える様子が素晴らしいのです。この作品を象徴する「はこ」も自由自在で個性の塊ですし。

遊び心も感じさせる作品なので「はこ」が好きな方は是非表紙カバーを取ってほしいです。細かい部分では背景に書かれた文字やキャラクターの言葉遊びとダジャレにも注目すべき。作中に登場するキャラクター紹介もユニークでこれまた適当具合が素晴らしく、寛容的なはつめの母親「平目木めいこ」の紹介文がお気に入りですね。ひらめきはつめちゃんは滅茶苦茶な物語に見えて、そのような描写が結構丁寧に書かれているギャップも面白いですね。

私は大沖先生の描くキャラクターに弱いらしく、作品を読もうとしたキッカケは表紙に描かれた「はこ」にピンと来たからです。読み手の相性具合が激しい作品ですが、合ってしまったら最後…、何度でも読み返したくなるほど虜になってしまうでしょう。決して万人受けしない作品で好んで人に薦めることは推奨されないと思います。しかし不思議な魅力があることも事実。最後に…、一家に一台あの「はこ」が欲しい!できれば洗濯機として。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

記事担当:キリンリキのしっぽ

レビューを通じて作品を知らない方にも興味を持っていただければ幸いです

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