現代とは異なる高度に科学が発達した世界。そこには「ネオジム綜合充電社」という会社が存在し、我々現代社会で生きる気力を無くして倒れかねない人達に、電力を生きる気力に変換して充電する装置「リフレッシャー」を使用して回復させることを事業としておこなっていました。

互いの世界の物理法則の違いと高度な科学技術を複合利用し、自由に空を飛び壁を通り抜け、人知れず気力が減退した人々を充電して回っているネオジム社の社員。彼女たちはその仕事のやり方から充電ちゃんと呼ばれ、現代社会に赴いては人知れず気力が減退した人々を充電して回っていたのです。

主人公の充電ちゃん「ぷらぐ」は現実世界の協力者「閃登」と出会い、同僚である「アレスタ」と共に充電をこなすたび、よりよい充電の方法を確立してゆきます。その方法に懐疑的であったアレスタも、ぷらぐや閃登と行動を共にするたび二人に感化され自分や社のやり方に疑問を覚えていくのでした。

あらすじ

第3巻は前巻で無理な充電をおこなったため両腕が炭化してしまったぷらぐをアレスタが見舞いに訪れるエピソードから始まります。前巻に続きぷらぐに弱みを握られてしまったアレスタはぷらぐの脅迫(?)に逆らえず、メイド服を着ることを強要されます。ぷらぐの大けがの一因が自分にあるだけに断ることも出来ず、メイド服を着てしまったアレスタは、その後ぷらぐの要望をかなえるために奔走することになります。

言うことをきいてくれるアレスタの様子に調子に乗ったぷらぐは、メイド服を着せたまま、料理をさせたり、欲しいフィギュアを買わせたり、汗をかいた自分の体を清拭させたり等々と傍若無人に振る舞います。ですがその行為はアレスタに心配を掛けさせないための精一杯のお芝居で、実際には常に激しい痛みに襲われており、アレスタが買い物に出かけた際にナースコールして追加の痛み止めを打ってもらわねばならない程だったのでした。

ぷらぐの所属する2課の同僚充電ちゃん達がお見舞いに集まっているところへ、アレスタが帰ってきます。同僚達とのやりとりでただの落ちこぼれではないとアレスタはぷらぐを少し見直すのですが、同僚の何気ない言葉でぷらぐが脅しの材料である「アレスタの泣き顔を録画した場面」を同僚達に見せていたことが発覚、脅しの種が既にばらされていたことを知ったアレスタの激怒の雷がぷらぐに落ちるのでした。

感想

ぷらぐ&アレスタコンビ確立と王道展開

「落ちこぼれ社員のぷらぐ」と「才覚あふれ出来る社員のアレスタ」と出会いこそ相性悪そうに描かれていますが、「凸凹コンビ」とは古今東西王道パターンです。落ちこぼれで有りながら一所懸命に仕事をこなす人間を当初こそ見下していた優秀な人間が、コンビを組んで仕事をこなす内次第に見直し、叱りながらも世話を焼くようになっていく…というテンプレ的展開がこの3巻を中心に展開し、ただツンでしかなかったアレスタのデレ要素が次第に見えてきます。

その世話焼き女房的な様子はぷらぐの同僚からも見えたようで、「愛よ!コンビ愛ね!」とからかわれる程に。実際アレスタもぷらぐをコンビとして認めつつあるのでぷらぐの補佐をすべく上司に掛け合ったり等ぷらぐでは描きにくい会社の内情などを描くシーンなどでは彼女が活躍します。そんなワケで3巻の内容も必然アレスタ中心に回り表紙もアレスタが飾ることになっているの「デコ眼鏡女性」が大好物な私にとっては大変嬉しい内容となっています。

漏電ちゃんと呼ばれる鑑査役をやり込めるためぷらぐと一緒に逃走するお話でも、優等生で本来会社に従属的だったアレスタは何処へやら素直に監査を受ければ良いだけの話なのに逃げ回ったが為に閃登を巻き込み、その監査の原因にも絡んだ閃登が漏電ちゃんに見つかってしまう羽目になります。ですが閃登とアレスタの機転とぷらぐのアシストで漏電ちゃんをやり込めることに成功し、かつ監査の原因であった疑惑も誤解であることが判明し、漏電ちゃんにも読者にも疑問は残るものの「結果良ければ全て良し」という感じで3巻メインのお話は一端収束します。

オタクネタの周知度と閃登の殴打問題

ぷらぐが軽度オタクという設定なのでフィギュアやアニメ、またそれらの名台詞などで反応する要素が漫画内に組み込まれているのですが本巻内の閃登の台詞「さんを付けろよデコ助野郎」にぷらぐが反応するのですが、最近の人には伝わらない可能性が…とも思ったのですが、どちらかというとマイナー作品である本作を読む層でこの名言を知らないオタクはいないでしょうし、某SNSでさかなクンにさんを付けなかったため大量のリプライをもらった某放送局のことを考えるとそこそこ周知されているのかと思いなおしました。

基本閃登のバット殴打はギャグ漫画的要素なのでスルーしても問題は無いのですが、物語に絡んだり漏電ちゃんをやり込めたり等この作品に組み込まれてしまった要素なのでシリアスシーンでも用いられることが多く、読者としてギャグとして読み飛ばして良いのか物語の進行に必要な要素なのか心の切替が難しくなってしまっている点が少し気になります。何度も描かれる必須シーンと化しているので、暴力行為を嫌悪する読者だと閃登に同調あるいは共感しづらくなってしまう問題をはらんでいます。

初対面こそ礼儀正しかったアレスタに同じように礼儀正しく応対した閃登ですが、アレスタが閃登を信用し次第に素を見せるに従って行動がぷらぐに近くなっていき、結果ぷらぐとおなじような出会い頭にバットフルスイングを日常的に受けるようになっていきます。2巻で目覚め、3巻で上司が確信を持つ程アレスタはM属性を開花してしまい「バットで殴られることをご褒美」だと思う程になってしまうので、ことアレスタに関しては閃登のバット殴打で心が痛まないキャラであるのが救いです。

メタ表現満載の番外編2話の掲載

1本は3巻がアレスタ周りで話が回るためぷらぐが「アレスタが主役じゃないか」と愚痴る話です。表紙もアレスタですし、3巻はアレスタ主役と言って良いような内容になっていますし、ぷらぐ曰く編集部もアレスタ主役でも良いんじゃないかとの事なので、3巻がアレスタ主役の巻であることは読者も異論を持たないでしょう。もちろんそのオマケ漫画でもアレスタがぷらぐにインシュレータースーツのアース線を用いて恥ずかしい姿と表情を曝し積極的サービスシーンを演じてくれた「アレスタ主人公」のお話になっているので結局ぷらぐの不満を助長するだけに終わります。

もう一つは閃登の妹はこねとその友達依緒乃がそのポジションにもかかわらず同じように出番が少ないと愚痴る回です。自分たちが出番が少ないのはサービスシーンが少ないからだと依緒乃が提言しますが、はこねは自身が入浴シーンとスクール水着シーンがあったにもかかわらず出番は増えなかったと反論します。なら依緒乃ちゃんもやってみようよとはこねは提言しますが依緒乃が出来たのは上半身はだけた姿のみ、この程度では週刊少年漫画にも勝てません。最後の依緒乃がサービスシーンを演じたアレスタをディスる台詞が秀逸なので是非読んでみて欲しいところです。

といった感じでメタ表現とは作品内のキャラクターが自分が創作物などであることを自覚し、一般的な読者視点や作者の代弁などをおこなうことを指します。他の例だと同じくぢたま某氏が連載しているKiss×sisのコミックス版の表紙と裏表紙の漫画が該当します。メタ表現を嫌う人も一部いるのでしょうが作者の漫画内で作者が描くのでその裁量は作者にゆだねるべきだと私個人は思っています。某BDのキャラクターコメンタリーなども面白かったですし、メタ表現を使う場所さえ間違わなければ十分有りだと思うのです。

まとめ

3巻では上記エピソードを挟みながら、ぷらぐの意外な自己犠牲精神の強さ、アレスタの内面の変化、そして前回の最後で上司がつぶやいた「漏電ちゃんと呼ばれる鑑査役の存在」を描いた巻になっています。その中のぷらぐの性格に関して後々描かれる物語に深く関わってくる一因となるのですが…。最初は「ただ充電対象を助けたいという一心」からと思えるその行動の根源、あるいは要因となるエピソードが描かれて行くであろう今後の展開は十分期待できる物になっています。

アレスタの方は3巻の終わりには作品内でも漏電ちゃんにすらマゾキャラとして認識され、閃登のバット殴打をご褒美としてキラキラした目つきで待ち受けるド変態になってしまい、アレスタファンとしては嬉しいか…悲しさで一杯になってしまいました。「優等生デコ眼鏡委員長容姿でスタイル抜群のドM」そんなに複数の萌え要素を重ねて彼女はいったい何処へ向かっているのでしょうか?もう隠さずに言うと「彼女の今後の成長が楽しみ」でなりません。

漏電ちゃん達もただの主人公達の妨害役では終わらず会社内に蔓延る不正を探るというポジションで、今後出番が増えてきそうな終わり方をしています。キャラクター性もぷらぐやアレスタと異なり暴走しづらい設定なので、ぷらぐとのコンビですっかり朱に染まったアレスタに代わり、シリアスな展開や設定の説明役などで登場することは不可避と言って良いでしょう。いやもちろんアレスタも優秀なので今後の活躍には十分期待できる子だとは思いますよ。ただ…その…彼女はちょっと開けてはいけない性癖の扉を開けてしまっただけなのです。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10