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わたしのご主人様は人間じゃない気がする (1) (MFC キューンシリーズ)

「わたしのご主人様は人間じゃない気がする」は天然ドジっ子メイドとどう見ても悪魔なご主人様が繰り広げる、シチュエーションコメディです。

主人公のメイは立派なメイドになるのが夢ではあるものの、家事に関するスキルは壊滅的で、仕事をした後にほめないと切れるというメイド失格な性格の持ち主です。それを雇う側のご主人様は、見た目が悪魔で時々言動や行動が怪しいものの、家事スキルはメイ以下で一人で飢え死にしかねないほどとさらに度を越しています。

どうにも人間の常識がわからないご主人様と、そもそも人間の常識を逸脱したメイが日々繰り広げるどたばたを4コマにしており、絵柄のかわいらしさと時折ぐさりと刺さるような社会風刺を混ぜたギャグが入るのが特徴の漫画になっています。

あらすじ

立派なメイドになりたいのに、仕事の後にしっかりほめないと切れるという問題のある価値観から次々とメイド喫茶をクビになるメイですが、募集用件が非常にゆるい屋敷で働くことになります。

浮かれて即応募をしたはいいものの、ご主人様は三つ目で角があり、口は耳元まで裂けているというどう見ても悪魔な外見でした。働き始めてから人間じゃないのではと疑い始めるあたり、メイの天然ぶりがうかがえます。生活能力皆無のご主人様だけでなく、ご主人様の使い魔なのに完全引きこもりの男の娘がいたり、メイの親友はメイの飼い主を自称しているなど、周囲のキャラも問題児ばかり。

人間界の文化に興味をしめしてあれこれトラブルを起こすご主人様や、引きこもるためには手段を選ばない使い魔などと繰り広げるコメディがメインで、ストーリーらしいものはほとんどなく、とにかく笑いであふれる4コマ漫画になっています。

感想

常識がないもの同士が繰り広げるドタバタ劇

主人公のメイはメイドになることに憧れているというだけでなく、食事の準備をしようとしては食器を壊し、掃除を使用とすれば物を落とすなど、天然ドジっ子属性もちです。性格にも問題がありますが、ほめられれば悪い事は忘れるというチョロイン属性も持っています。ご主人様は見た目が悪魔で、出身は「向こう」がわなど、やはり悪魔を臭わせる属性をてんこ盛りにしています。

しかし、家事能力が低すぎて、ドジなメイドであるメイに頼らなければ生活が出来ないというひどい共存関係になり、やがて絆が芽生えていきます。それはそれとして、ご主人様は人間界の常識を知らず、メイはメイで常識がずれているという常識人不在の環境になるため、大体話があらぬ方向へ進んでいきます。たちが悪いのは周りがそれをあおる傾向があるということです。結局メイがメイドとは関係ない恥ずかしい何かをさせられて、後でわれに返り、ほめられて忘れるというのが定番になっています。

何せ常識がない面々のため、展開が読めないのが何よりの魅力です。サービスカットも豊富で、自爆して困ったりするのを見るのが好きな人には非常にオススメです。また、メイド以外の服も様々出てくるため、かわいい女の子のファッションショー的なノリを楽しみたい人にもオススメです。特に1巻のカバー裏のイラストは必見です。使い魔の男の娘も完全にあおる役に徹しているため、萌がわかる作者が徹底して書いていることが伝わってきます。話にリアリティを求めるのではなく、突き抜けた設定などを楽しむのがコツで、考えたら負けの漫画ともいえます。

時にシニカルな笑いが入るのも特徴に

ドタバタギャグコメディーと女の子のかわいらしさを前面に押し出している作品ではありますが、時にシニカルな笑いが入ります。例えば、お菓子好きのご主人様が駄菓子屋にはじめて行った際に、あまりの値段の安さに「不法労働で搾取されている人がいるのでは」と連想したりするのです。社会派のギャグや、人間の常識を逆手に取ったあわせ技なども出てくるのが特徴で、視点の多さや計算能力にも驚かされます。実際に内情を知らなければ、信じ込んでしまう人もいるかもしれません。

また、ご主人様は様々な超常現象を操れるため、イメージ画像の演出をそのまま現実に再現するという荒業も繰り広げてきます。漫画やアニメの演出をそのまま現実世界に持ち込んだら大惨事になるということは多くありますが、ご主人様にはそれを実際にやる能力があるのです。そのため、実際にやってしまうのか、メイがうまく立ち回って回避するのかといったスリルも見所となっています。

もっとも、失敗したら失敗したで笑いになるだけでなく、あさっての方向にそれていく話を楽しめるのもポイントです。そして、時折シニカルな笑い画はいるため、全編を通してメリハリのイメージがつきやすくなるのです。それこそ突っ込みどころしかない設定でありながら、笑いとして「締まる」部分があるのは本当に不思議な感覚です。作者の高崎ゆうき先生は他にもシチュエーションコメディーを利用した作品を発表しているため、別の作品と比べてみるのもオススメです。

かわいらしさを引き立てるための属性がてんこ盛り

「わたしのご主人様は人間じゃない気がする」の登場人物にはある共通点があります。性格にはメイを除いた全員が共有している感覚ですが、「メイが可愛い」とみなが思っているのです。そのため、積極的に着せ替えたり、ノリノリにさせて踊らせるなどさまざまな行動に出るのです。結果として、「家事は出来ないがダンスはうまい」など、メイはメイド以外の能力で評価を高めていくことになるのです。

仕事に一生懸命になるほど理想から遠ざかるあたり、もはや笑うしかなくなってしまいます。しかも、ダンスをするシーンの描写がうまく、構図もかなり凝っています。非常にかわいらしくキャラクターが描けていて、気がついたら屋敷の全員が踊っているなど「どうしてそうなった」と突っ込みたくなるシーンも満載になっています。また、メイのメイドへの執着も見逃せないポイントです。メイドのスカートはロングなど、クラシカルなこだわりがあるのです。

萌えにこだわりがある人ほど気になる部分で、安易な露出を避けるという意味でもプラスといえます。しかも、こだわりはこだわりとしてノセられたら着てしまい、後で恥ずかしくなるあたりもポイントになっています。とにかく様々な属性を的確に把握し、随所にちりばめながら推してくる会が多いのです。属性はてんこ盛りになりますが、1話1話の萌えへのアプローチがすさまじい事も魅力になっています。そして、やはり主人公が可愛いというのは正義なのです。

まとめ

「わたしのご主人様は人間じゃない気がする」はドタバタシチュエーションコメディーの部分と、シニカルな笑い、そして萌えの追及を絶妙なバランスで織り込んだ作品です。お話ごとのアプローチが多彩なため、一度はまるとついつい読み進めてしまう魅力があります。一方で、ぶっ飛んだ設定が引っかかって、最初の取っ掛かりで失敗すると評価がしづらくなってしまうという欠点もあります。

途中から入ると話の脈絡も掴みづらくなるため、素直に単行本1巻から読み始めるのがオススメです。2巻になると登場人物が増えますが、そもそも屋敷で働く馴れ初めがわからないと楽しめない部分があるからです。深く考えずにノリや会話のテンポを楽しめる人向けで、謎は謎のまま放置して終わる回もあります。何せ悪魔相手のため、追及しても仕方がないからです。むしろこうなっているんだろうと雰囲気や軽い想像で流せた方が良く、そういった意味ではファンタジー作品などに親しんでいる人の方が親しみは湧きやすいはずです。

男の娘は出ますが男性は出ないのもポイントです。萌え作品らしい人物構成のため、男性の登場人物や恋愛要素がストレスになる人にもオススメ出来ます。男の娘の価値観として、女性は愛でる対象であり、恋愛対象として見るものではないのです。また、ご主人様意外は基本的にロリで、サービスカットも非常に健康的です。お色気に走った際に出やすい「いやらしさ」を感じづらいのも魅力になっています。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8

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