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お仕事百合コメディ待望の最新刊発売! 誰が何と言おうが好きな作品なので待っておりました。『私の百合はお仕事です!』(通称:わたゆり)は、『ミッション系スクールを模した百合系コンセプト喫茶』を舞台にした百合コメディーで、名作のオマージュが各所にちりばめられているのが特徴です。

1巻と2巻で主人公陽芽と美月の姉妹問題が解決し、今度は陽芽の友人果乃子にスポットが当たることになります。陽芽にひそかに思いを寄せる果乃子に接触をするのは、普段はギャル→サロン内では知的美人というギャップが激しい(本名は純架)で、二人の価値観や考え方の違いが浮き彫りになっていきます。

作品中唯一明確に女性に対する恋愛感情をもった果乃子は、『百合の雰囲気を味わうコンセプト喫茶』では特大級の爆弾ともいえる存在です。純架と果乃子の関係はブルーメ選挙にも大きな影響を与えていくのです。

あらすじ

陽芽と美月は過去のすれ違いから険悪な関係となっていましたが、本心を打ち明けあうことでその関係を修復しました。一方で、陽芽に恋心を抱く果乃子には面白い状況ではなく、徐々にフラストレーションがたまっていきます。

そんな中、喫茶リーベ女学園開催されるイベントが『ブルーメ選挙』です。喫茶店のメンバー(学園生徒)の模範となる人物を選挙で選び、選挙で選ばれた人物が一つ好きなルールを追加できるという重要なイベントになります。

イベントが進む中、果乃子のスマホを偶然拾ったことから果乃子が陽芽に対して思いを寄せていることを知った純架は、店を守るために独自の行動をはじめることになります。果乃子の恋心と純架の仕事への気持ちのぶつかり合いは、選挙の行く末にも大きな影響を与えていくのです。

感想

果乃子のコンプレックスには共感できる人も多い?

3巻の見所に一つが果乃子のコミュ症ぶりです。果乃子は自分のコミュニケーション能力にコンプレックスをもっていて、何かと陽芽と比べることでさらにこじらせている部分があります。

一方で、自分の外見やコミュニケーション能力に疑問を持つ人は多いのも事実で、共感を呼ぶポイントにもなっています。外見などがコンプレックスになっていると失敗した時にダメな理由として結びつけられやすく、理解されにくい原因になることも多いからです。

しかし、仕事にせよ、恋愛にせよ、自分ができないことと向き合わなければ物事をうまく進めることは難しくなります。3巻は果乃子のコンプレックスや過去に触れつつ、その心理に説得力を与えることに力を入れています。力をいれている分、この先どうなるかが楽しみなポイントが増えるのです。

成長の伏線は地雷と表裏一体!

果乃子のコンプレックスに触れるということは、成長の伏線になるのか、地雷になるのか紙一重の部分があります。作者の匙加減でどのようにするかが大きく変わるだけでなく、思わぬ方向に発展する可能性もありえるからです。

果乃子だけでなく純架の過去が明らかになることで、その危うさがより強まってしまうのもポイントです。純架は過去の経験から頑なになっている部分が存在し、果乃子の言動や行動が火に油を注いでしまうからです。

果乃子が世間知らずであることも大きく影響し、話しを重ねるごとに二人の会話のが危うくなっていき、読者のスリルは増して行きます。対立要素が多いからこそ、どのタイミングで事件が起きるのか、関係の変化が起きるのか予測がつきにくいのです。

外見や価値観のギャップなどの見せ方もポイントに

3巻はキャラクター造形上の対比もポイントになっています。果乃子は普段はメガネで黒髪ストレートの大人しめ、サロンではメガネを外して髪をまとめています。一方の純架は普段はギャル系で、サロンでは伊達メガネでいつも本を手にしているなど、仕事とオフ時のギャップが激しいキャラの組み合わせになっているのです。

1巻2巻は陽芽と美月を中心に展開していたため、久々に純架の私服姿が登場するのもポイントになります。いつも陽芽と行動していた果乃子は純架の普段の姿を知らず、人見知りを発動してトラブルを招くシーンなども存在します。

トラブルがただの演出だけに留まらず、言葉の受け取り方や仕事のスタンスなど様々な部分に波及するのもポイントになります。姿や所作といった情報の裏にあるものが見える瞬間が存在し、陽芽や果乃子の成長のきっかけとなるシーンも含まれています。果乃子がこれからサロンでも自分を出していくのか、どのようなキャラを演出していくかも見所です。

まとめ

『私の百合はお仕事です!』3巻は物語上最大級の爆弾を設置して次の巻に続いており、先が気になる内容になっています。お店としてのリーベ女学園の裏側に関する情報も盛り込まれていて、背景がしっかりと作られていることがわかるのもポイントです。

コンセプトカフェはコンセプトの共有ができなければ維持が難しく、普段表に出ない裏方も気を配っているのが良くわかる内容になっています。同時に、こだわりだけでは済ませられないというリアリティが垣間見えるシーンも多く、単行本を購入して初めてわかる要素も含まれています。

美月の陽芽への感情や言動の変化など、前の巻から続く見所になっている箇所も多く、安心して読める完成度になっています。

月10冊程度、年間100冊超の漫画を読むフリーライター。非定期で友人と百合漫画を語る会を開きますが、ジャンルは不問で何でも読みます。

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