Pocket
LINEで送る

『ふじょ子とユリ子』は、隠れ腐女子の「ふじょ子」と、ふじょ子に恋をしている「ユリ子」という、幼馴染の女子高生ふたり組のお話。

ふじょ子はユリ子を親友と思っているけど、ユリ子はふじょ子を恋愛対象として見ている。仲良しのようでいて、少し意味合いが違う微妙な距離感がコメディタッチで描かれた、いま要注目の百合4コマです。

掲載誌の「まんがタイムきららキャラット」は、『ひだまりスケッチ』『NEW GAME!』などのアニメ化作品が盤石な一方、新人作家さんの作品にも勢いがあります。今回はそんな、キャラットの次世代を担う作品のひとつ『ふじょ子とユリ子』をレビューさせていただきます。

あらすじ

成績優秀だけど、無愛想で友達が少ないふじょ子。サバサバした性格で、コミュ力が高いユリ子。ふたりはなんでも言い合える間柄ですが、たったひとつだけ、お互いに隠しごとをしていました。

ふじょ子の秘密は、腐女子であること。ユリ子の秘密は、ふじょ子が好きだということ。ある日、ふじょ子がふと推しキャラの名前をつぶやいたのをきっかけに、ユリ子はふじょ子の趣味を知ってしまいます。

2次元とはいえ、楽しそうに男の話をするふじょ子に、寂しさと嫉妬心を覚えるユリ子。しかし、ふじょ子の貴重な笑顔を見たい一心で、ユリ子はディープなBLの世界に片足を突っ込んでいきます。その世界が、「沼」と呼ばれているとも知らずに……。

感想

ふじょ子のマイナーカプ談義。わかりみある……

ふじょ子が心酔しているのは、『魔法少女かめかめ』というマンガに登場する亀太郎×ピエールのBLカップリング。亀太郎はヒロインのクラスメイトで、ピエールは敵対勢力の黒幕なのですが、原作ではほとんど絡みがありません。

『魔法少女かめかめ』の同人誌オンリーイベントでも、亀ピエのサークルは2つだけ(1つはふじょ子なので、実質1サークル)。原作からの燃料投下も期待できないため、ひたすら妄想で補ったり、亀太郎とピエールが少しでも出ている別CPの同人誌を買い漁ったりと、砂漠で水を探すようなヲタ活動を行っているようです。

たとえ腐女子ではなくても、マイナーな作品やキャラクターが好きな方であれば、ふじょ子の言動に共感できるのではないでしょうか。かくいう私も、学生時代に『マリア様がみてる』の桂さんにハマっていたとき、イラストやSSを探すのに苦労した思い出が……。

好きな子の趣味を尊重するユリ子の優しさ。抱いて……

タイトルこそ『ふじょ子とユリ子』の順番ですが、この作品の主人公は、あくまでもユリ子。ストーリーも基本的に、彼女の視点で進んでいきます。

ユリ子はゲームで遊んだりはするものの、「オタク」というほどではなく、「一般人」側の人間です。オタク趣味の中でも、BLはかなり敷居が高い方だと思われますが、「BLの話をしているときのふじょ子がうれしそうだから」「ふじょ子の好きなものを知っておきたいから」と、むしろ積極的にBL沼に浸かっていきます。そして、自宅にBL同人誌を持ち帰って隠し場所に困ることに。

自分の価値観を押しつけるのではなく、相手の幸せを第一に考え、理解しようとする。これこそまさに「愛」。集めていたプラモデルを妻に捨てられた男性の悲劇をネット上でしばしば目にしますが、ユリ子ならそんな心配はないでしょう。何が言いたいかというと……、

ましろましろ

お前ら早く結婚しろ。

ちゃんと届いている、ユリ子のふじょ子への想い。控えめに言って最高……

ユリ子が主人公なら、ふじょ子はヒロイン。ユリ子のふじょ子への気持ちは読者にバレバレですが、ふじょ子はユリ子のことをどう思っているのか? を解き明かしていくのも、本作の楽しみ方のひとつです。

ご安心ください。普段はポーカーフェイスであることや、彼女視点のエピソードが少ないので分かりにくいものの、ふじょ子はちゃんとユリ子をかけがえのない友達だと思っています。まだあまり親しくない人とふたりきりにさせられそうになったときは、小動物のような目でユリ子に助けを求めたことも……。かわいい。

それもそのはず。幼馴染なのを差し引いたとしても、昔から自分を気にかけてくれて、BL趣味がバレてからも変わらずに接してくれる。こんな相手、一生に一度出会えるかどうかですからね。もう一回言います。

ましろましろ

お前ら早く結婚しろ。

まとめ

以上、『ふじょ子とユリ子』の見どころをご紹介いたしました。タイトルもキャラの名前もストレートすぎだろ、と侮るなかれ。ふたりがお互いを思いやる心理描写が巧みな、純度の高い百合作品となっています。

ギャグやストーリーだけでなく、絵のかわいさも本作の魅力のひとつ。きららではあまり見ないタイプの女性的な絵柄で、パステル調の色使いが実に鮮やか。単行本では残念ながら、雑誌掲載時のカラーページは白黒になってしまっていますが、代わりに表紙や描きおろしページでその色彩を堪能できます。

また、レビュー本文はメインのふたりに絞って書かせていただきましたが サブキャラクターたちも個性的です。かわいい女の子が大好きな「岡本さん」、亀ピエ壁サークルの主「神」。2巻以降は、4人で遊ぶ話も増えていくのではないでしょうか。

4コマ好きのフリーライター。萌えかどうかを問わず、4コマなら何でも読みます。個人ブログ「まっしろライター」では、新刊コミックスの発売日前レビューも更新中。

Pocket
LINEで送る