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幼い頃、皆さんは子供と大人の境界線をどのように定めていましたか?年齢でしょうか?身体の大きさでしょうか?それとも家庭の有無?働いて社会に出ればそれでもう大人?恐らく、答えは皆さんの数だけ存在することでしょう。

あなたを大人にする◯つのこと』に登場するのは正にこの境界線を見定めている最中の幼き少女たち。彼女たちはいち早くその境界線を跨ごうと日々の努力を惜しみません。そして、その努力の具体的な内容というのがエロを知ること

大人=20歳=年齢確認=エロ。ゆえに、大人=エロであるという革命的な方程式を見出した彼女たちはありとあらゆる方法でエロスを求め、ときに悩み、ときに苦しみ、ときに涙し、一歩ずつ大人への階段を上っていきます。今回はそんな彼女たちの道程を克明に記録した『あなたを大人にする◯つのこと』の魅力についてご紹介します!

あらすじ

中学1年生の先崎紗輝と小学6年生の後路コウは互いにセンパイ・コーハイと呼び合う一種の師弟関係。紗輝はエロを知ることで大人になれるという歴史的大発見をコウに披露し、ともに大人になるべくエロスを求めて街へ出ます

エロ本を求めて本屋を回り、エロいブラを求めて下着屋へ向かい、おっぱいの感触を求めて走行中の車の窓から手を伸ばす。二人は様々な角度からエロスを探求し、大人への階段を一歩ずつ上っていきます

その階段の先に彼女たちが求める子供と大人の境界線はあるのでしょうか?その答えは彼女たちも、そして、この作品を読む私たちにも、未だ知る由はありません……

本作の見所

先輩風を吹かせるセンパイの懸命な背伸びがかわいい

あらすじで紹介した通り、『あなたを大人にする◯つのこと』の主要人物二人にはちゃんとした名前があります。しかし、作中では互いをセンパイ・コーハイとしか呼ばないため、正直名前の印象が薄い!そのため、本記事内では彼女たちをセンパイコーハイと作中の呼称に倣って呼ぶことにします。

まず紹介したいのはセンパイのかわいさ。センパイは文字通りコーハイのセンパイに当たるわけですが、精神年齢的にはむしろ同級生。下手すると年下かもしれません。大人になるべくエロい下着を買いに行くものの、普段の下着は実にかわいらしいもの。もちろん、こんな下着をつけていることはコーハイに言えませんから見栄を張るわけですが、その見栄もまた「バンソーコーを下着代わりにしてる」というかなりの変化球。このズレた背伸びの仕方がセンパイの持つ大きな魅力です

ズレててちょっとイタい女の子として描かれるセンパイですが、そのイタさが等身大の女子中学生としてわりとリアルに感じられます(エロへの執着はちょっとあれですけど)。キスの味を確かめる回では、結婚式のノリでコーハイとキスをしようとするんですが「未来のコーハイと結婚相手に申し訳ない」と涙ながらに躊躇するシーンもあって、そのピュアさにジーンとさせられました。基本的にはハチャメチャなノリを楽しむ漫画ですが、ところどころにこういうリアルな子供らしさが垣間見える作品でもあります

妙なところでませているコーハイの大人っぽさがかわいい

コーハイはいち早く大人になるべくセンパイに付き従う、いわば弟子ポジションの女の子。しかし、小学6年生のわりにお金持ちだったり(親の金です)、偏った性の知識を持っていたり、身体の発育が良かったり、とセンパイの子供っぽさも相まって、むしろ実際は師弟関係が逆転しているかのような大人っぽさを兼ね備えています

ただ、その大人っぽさも変なところに特化しているため、子供らしさと大人っぽさが同居するアンバランスさが魅力的なキャラクターです。センパイが見栄を張ってバンソーコースタイルを自慢すると、何の疑問も抱かずにそれをコピーしてしまう無知ゆえの大胆さには驚かされます。ぜひとも正面からその姿を見たかったところですが、残念ながら正面からの絵は編集さんにボツを食らってしまったそうです(一度は正面からの絵を描こうと試みたあんねこ先生のチャレンジ精神には拍手を贈りたい)。

背伸びしたがりなセンパイとは正に足りないところを埋め合う(深い意味はありません)絶妙なコンビネーションを発揮していて、全編に渡って微笑ましいコントやり取りを披露してくれます。いわゆる百合について門外漢なもので断言することはできませんが、センパイへの憧れを恋心と錯覚しているような描写もあり、百合漫画好きな方からするともう少し二人の関係性に踏み込んだ読み方ができる漫画でもあるのかもしれません

突如として放り込まれる不条理ギャグの衝撃

あなたを大人にする○つのこと』はセンパイとコーハイが大人への階段を上っているかのように見えて実は降りていたみたいなポルナレフ的矛盾を楽しむ漫画なのですが、作中でも一際異彩を放っているコマがあります。それがこちらの痴漢にお尻を撫でられているかと思ったら突然車内でチェロの調律をしたくなったチェリストだったコマ。いやもう、何を言ってるのかわからねーと思うが俺も何を読まされたのかわからなかった……とこちらがポルナレフになりそうな勢いで不条理なコマです。

何を思ったらこういう展開が思いつけるのか私には理解が及びません。「いやー、この前電車の中で痴漢に遭ったと思ったら調律中のチェロだったんだよ」と友人が話し始めたら皆さんはどう思われますか?「なにいってんだこいつ」って思いますよね?誰だってそー思います。私もそー思います。このギャグセンスはあんねこ先生の内に秘められた大きな爆弾だと私は感じました。計算で描けるようなギャグではないので、ほぼ確実にあんねこ先生の趣味でしょう

しかし、こうした不条理ギャグは第1話で披露されて以降影を潜めます。それでも抑えきれない不条理さがところどころに滲み出てはいますがこれだけハッキリと現れたコマはここだけ。自制しているのか編集さんからストップがかかったのかそれとも単なる私の思い違いかわかりませんが、もしも、あんねこ先生がその不条理の爆弾を何らかの理由で隠してしまったのなら、私は再びそれが爆発する瞬間を目の当たりにしたい。切にそう願います。

まとめ

最後に私の個人的な萌えポイントを紹介させてください。センパイの泣き顔がかわいすぎる!コーハイがいる手前、涙を流さないよう基本的にはこらえるんですが、それゆえにこらえきれなかった涙から滲み出る悲しさや悔しさがとても愛おしい。必要以上に背伸びをして大人=エロを追い求めるセンパイですが、結局のところ年相応のか弱い少女なのです。目の前に涙目のセンパイがいたら思わず頭をなでなでしてなぐさめてあげたくなります(事案にならないことを祈りたい)。

繰り返しになりますが『あなたを大人にする○つのこと』ではエロを求めるセンパイとコーハイがコミカルに描かれる一方で、女子小中学生の純粋さも繊細に描かれています。単なるギャグ漫画と思って読んでいると、思わぬ不意打ちに胸を打たれることになるかもしれませんよ?

また、扉絵やカバー裏のイラストの気合の入りようも本作の見所の1つ。こちらに関してはぜひとも自分の目で確かめていただきたい。フェティシズムに溢れたものも多く、物語の緩さとのギャップもあってドキッとさせられます。大人に憧れる少年少女もあの頃の純粋さを取り戻したい大人の方々も『あなたを大人にする○つのこと』を読んで大人への階段を上ったり降りたりしましょう!

物語の行間に潜む感情の機微を炙り出せるような記事を書きたいです。ショートカットで元気な女の子が大好きなので、オススメの作品があったらご一報ください。

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