「新米姉妹のふたりごはん」は再婚を通してしまいになった同い年の少女が、料理を通じて絆を深めていく物語です。両親が世界一周旅行で不在の中、見知らぬ少女同士が少しずつ距離をつめていくのが見所になっています。

食いしん坊キャラであり姉になるサチと、緊張すると目つきが鋭くなってしまう不器用な妹あやりのほほえましいやりとりと、おいしい料理が光る作品でもあります。出てくる料理は全て本格派で、しっかりと取材を基にして作られているのがポイントになります。

調理に手間がかかるものだけでなく、ちょっとした予算があればまねできるものもあるのが特徴です。実際に「新米姉妹のふたりごはん」を読んで『○○を頼んでしまった』という人も多く、amazon関連商品や同時に買った商品の一覧に食材が出てきてしまうことがあるほどです。

あらすじ

女子高生のサチは両親の結婚により同じく女子高生のあやりと突然姉妹になってしまいます。両親は新婚旅行で世界一週中のため、親に頼る事もできず、あやりとどのような距離を取っていいのか、戸惑うことになります。あやりの目つきがやたらと鋭い事も話しかけるのをためらう理由になっていました。

ところが、サチの父親から送られてきたお土産が二人の仲を大きく近づけます。父が送りつけた置物のようなものは生ハムの原木で、料理好きのあやりは手馴れた手つきでサチに生ハムを食べさせるのです。あやりの目つきがいつも鋭いのは緊張していたから。料理中の輝く笑顔をみたサチは一気にあやりとの距離を縮めることになります。

心の気持ちは近づいても、生活習慣の違いや趣味の違いは残ります。しかし、食べるのが大好きなサチと料理が大好きなあやりは非常に相性が良く、料理を通じて仲を深めて生きます。家族でなかった二人が、料理を通じて本物の姉妹になっていく物語が「新米少女のふたりごはん」なのです。

感想

作る人、食べる人の輝く笑顔が最大の魅力!料理もおいしそう!

「新米姉妹のふたりごはん」の魅力はなんといっても料理を作る人、食べる人の笑顔です。料理好きのあやりは良い食材をみただけで顔を輝かせてしまうかなりのマニアです。知識の量が膨大なだけでなく、それに伴うスキルも持ち合わせています。姉であるサチは食べるのが大好きな女の子です。常に食べることを考えてしまうような部分があり、食欲と行動が直結することがままあります。どちらも料理や食欲に偏っているためコミュニケーション能力が低い部分があり、二人に立ちはだかる最初の壁になってしまいます。

しかし、あやりが料理の腕前と知識を披露し始めると一気に自体が好転します。あやりは調理器具のコレクターでもあり、様々なアイテムが話題のきっかけになる事もあります。きっかけができれば料理を作って食べるだけです。おいしい料理を食べたサチの笑顔と、喜んでくれるサチの姿をみて笑顔になるあやりの笑顔が最大の魅力になっているのです。料理屋調理器具の質にこだわっていて、実際に作ってから作画を行うなど、リアルな質感を重視しているのも特徴です。

姉妹の見た目の違いも注目です。サチは身長が低く、行動や服装の趣味も若干幼いところがあります。かわいいというのがぴったりのヒロインです。あやりは身長が高く、黒髪で顔立ちの整った美人です。緊張すると目つきが鋭くなり人見知りが激しい性格ですが、内面の情緒は非常に豊かです。二人の見た目や行動、考え方のギャップも見所の一つで、どちらが姉か、妹か、わからなくなってしまうシーンも多いのです。姉としての立場を貫きたいサチはたびたび悩むことになり、コメディ要素として機能しています。

料理が本格的過ぎて真似るのが大変

「新米姉妹のふたりごはん」の悪い点の一つが、料理のレベルが高くてマネをすることが難しい点があげられます。料理が非常においしそうに見えるため自分でマネをしたくなるものがあっても、ハードルが高いものが多いのです。例えば、1話で出てくるのが生ハムの原木です。足一本分の生ハムになるため値段が張るだけでなく、消費が大変になりがちなのです。しかし、それでも欲しくなる人は欲しくなるようです。「新米姉妹のふたりごはん」の人気により、amazonで書籍を買おうとすると一緒にユーザーが買ったものリストに生ハムの原木が登場することがあるのです。

専門的な調理器具も多く登場します。それなりに費用がかかるだけでなく、普段から料理をしない人はおき場所に困ってしまう可能性もあります。あくまであやりが調理器具コレクターであるという前提があっての話のため、簡単に買えてももて余す可能性が出てくるのです。一方で、2巻、3巻と読み進めると調理器具の応用方が登場する話があるのも侮れないポイントになっています。調理器具に興味がなく、お話だけ読める人とコレクター気質の人では誘惑の感覚が異なってくるのです。

男性キャラが登場しないのがマイナスに感じる可能性もあります。あくまで姉妹の物語であり、他に登場する人物はサチの幼馴染である絵梨ぐらいになります。ラッキースケベやお色気シーンは薄めになっているため、エッチなシーンを期待すると肩透かしを食らう可能性があります。ただし、サチがあやりのブラのサイズに衝撃を受けるなど、コメディタッチのサービスシーンは存在します。姉妹の違いや個性を含めて楽しんで行くのおすすめになっています。

ほのかに漂う百合の香りも作品の見所に

新米姉妹のふたりごはんの見所の一つに、ほのかに漂う百合の雰囲気があげられます。人付き合いが苦手なあやりが、ちょっと行き過ぎみにサチを尊敬し、大切に思っている姿勢が描かれるからです。料理をする際は初回にサチからもらったシュシュを使って髪をまとめるのが基本で、姉のためならばできる事は何でもといった若干前のめりな愛情を見せてくれます。サチが距離を近づけると赤面したり慌てたりするのもポイントで、あやりの表情の変化も見所になっています。

百合間を深める存在となるのが、サチの幼馴染の絵梨です。サチがあやりと仲良くなっていく過程に気を揉んだり、不満を抱くなど好意以上のものがあるのではと疑わせる描写があるからです。明確にやきもちを焼いているシーンがあるため、果たしてあやりと絵梨が恋のライバルになるのかといった先の読めなさもあります。どの程度百合の度合いが高くなっていくか見え辛い部分もあり、先が気になってしまうのです。サチの世界は食欲と自分の事が中心で回っているため全く察することができない状態になっています。

1巻での百合はあくまで雰囲気程度におさまっているのもポイントになります。百合自体が苦手な人がいるだけでなく、あくまで家族や幼馴染として好きであったり、独占欲がある範囲で収まっているからです。百合の雰囲気は香り付け程度で、お互い良い関係で恋愛にならずに終わる可能性もあるのです。露骨に書いて雰囲気を壊すのではなく、想像する要素を少しおいて想像で楽しめるようになっています。三人の関係がどう変化していくかも注目したい作品です。

まとめ

「新米姉妹のふたりごはん」は取材に基づいた料理の描写と、少しずつ距離を縮めていく義理の姉妹の距離感が魅力の漫画になっています。ほのかに香る百合の香りもエッセンスとして生きていて、様々な角度で楽しめるようになっています。キャラクター造詣自体が可愛らしく、表情豊かなのも魅力です。落ち込んだときのコメディタッチの表情だけでなく、食事を口にした際の輝くような表情は必見になっていて、同じ料理が食べたいと思わせる魅力があります。

基本気楽で食欲中心のサチがなれない人間関係の構築に悩む姿や、コミュニケーションベタで考えすぎてしまうあやりの描写も見事です。キャラクターの心理にリアリティがあるため、感情移入がしやすいのです。口にするまでに時間がかかることは、コミュニケーションで考えすぎてしまう全ての人たちの共感ポイントです。料理が人の心をつなぐ部分も含めて、少しずつ二人の関係が良くなっていく構成も評価を高める部分になっています。

読後感が良く、ほのぼのした雰囲気が漂う作品のため、日ごろ疲れた人の気分転換に読むのがおすすめです。萌え漫画の中でも癒し系の作品になっているのです。ただし、尾長かがすいているときに読んでしまうとメシテロ状態になってしまうことがあります。実際に漫画に出てくる料理のレシピ情報や、カバー裏のおまけ漫画など単行本ならではの魅力も多くなっています。料理研究家が本格的に監修に携わっているため、料理のレシピを増やしたい人にもおすすめです。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:しらたま。