「新米姉妹のふたりごはん」2巻は、サチとあやりの仲がより近くなっていきます。一緒に料理を作ってみたり、休日を楽しんでみたり、料理の幅も広げながら交流を深めていくのです。あやりと絵梨の距離が近くなっていくのもポイントで、微妙な三角関係が形成されていくのもポイントです。

2巻の特徴は絵梨のアナザー視点が登場することです。通常はサチかあやりの視点で物語が進行していきますが、絵梨視点が加わることでサチへの愛情や、サチがあやりと近づくことで生まれる寂しさなどが良くわかるようになっています。

料理は卵の殻を利用したプリンやローストビーフなど、見た目にも華やかなものが多くなります。自宅で簡単に作るコツなども記載されているため、実用性が高いのもポイントです。書き下ろしのおまけも含めて、非常に贅沢なつくりになっています。

あらすじ

再婚した両親が海外旅行で不在のまま、新米姉妹として暮らすサチとあやりですが、料理オンチのサチが調理実習のために勉強をしたり、サチの誕生日にお祝いをしたりと、様々な形で距離を縮めていきます。お互いがお互いを思っていてもきっかけがつかめなかったのが、距離が近づくことできっかけにも恵まれやすくなっていくのです。

中でも休日を一緒に家で過ごすことや、サチの誕生日を一緒に祝うことが二人の距離を近づけます。他人から、姉妹へと、自覚自体も変化していくのです。サチは父親と二人暮らしで誕生日らしいお祝いをされたことがなく、余計に心に響いたのです。

他にもサチと絵梨が通っていたたこ焼きが屋が閉店してしまい、味の再現をかねてたこ焼きパーティーをしたり、あやりの手作りお弁当が登場したりと新しい了以も盛りだくさんです。あやりのちょっとした料理への気遣いや、可愛らしさが滲むシーンがあるのも魅力になっています。

感想

サチのポンコツ度がアップ!お姉ちゃんの立場が危うくなる?

2巻で特に目立つのが、サチのポンコツ度です。あやりに対して気を使い非常にいいお姉さんであろうとしますが、抜けている部分が非常に多いのです。ゴーグルをつけて鍋の蓋をたてにしながら目玉焼きを作るなど、コメディチックな場面が目立ちます。食欲に素直な分その他がおろそかになっている部分が目立ってきてしまい、余計にポンコツ度が増して見えるのです。そのため、サチとあやリのどちらが姉かわからなくなってしまうような場面も出てきてしまいます。

あやりは基本的にサチを尊敬しているため、あくまでサチの意見を優先するのもポイントです。やりたいことをやらせてしまうため、余計にお姉さんのような雰囲気が漂ってしまいます。しかし、サチには優れたセンスがあり、ただポンコツなだけでは終わらないのが特徴です。アイディアを上手く生かしながら、料理を成功に導くこともあるのです。ただし、成功体験を積むことで油断が生じ、オチが爆誕することもあります。油断がならないキャラクターなのです。

2巻で一番の見所は、二人でペンギンのドキュメンタリー映画を見るときです。ペンギンのラブシーンを見て姉としてどうするべきか迷い、恥ずかしがる姿は必見です。こっそりレンタルDVDのタイトルに『密着!ハシビロコウ』が入っているなど、ネットで人気のマニアックな動物が入っているなど、小ネタも効いています。とにかくサチの表情が良く動き、あやりも振り回されて意外な面が見えてくるのもポイントになります。はしゃぎすぎてミスをする部分があるなど、可愛らしい姿を見ることができるのです。

料理の再現は更に高難度になっていく!

「新米姉妹のふたりごはん」の魅力の一つが、レシピや簡単な作り方の情報が記載されている点です。ただし、2巻は更に再現の難易度が上がります。料理自体はそれほど手間がかからないもので、原材料費がかかってしまったり、あやりの凝り性のお陰でなかなか手に入り辛い食材が使われたりするためです。完全再現の難易度は非常に高くなっているため、真似るのであれば演出だからと割り切ったほうがよくなります。もちろん、完全再現の方が味のレベルは上がります。

具体的にはローストビーフやたこ焼きの難易度が高めになっています。ローストビーフ自体は、炊飯ジャーなどを利用して作ることも可能です。ただし、ブロックで購入すればどれだけ材料費がかかるため、まさに贅沢メニューなのです。サチの誕生日回の贅沢メニューとして登場するため、再現するなら特別な日に試すのがおすすめです。たこ焼きに関しては、あやりが活きタコを仕入れてしまうからで、一般家庭の料理のレベルをはるかに超えてしまっています。また、一部地域を除いてたこ焼き機がある家がすくないこともネックになります。

一方で、手軽に使えるテクニックも登場します。卵焼きの切り方とおき方を工夫するだけで見た目が大きく変わったりもするからです。また、ハーブを使ったフライドポテトも、ハーブミックスの岩塩などを使えばより手軽に再現できるようになります。あやりの調理の仕方は正統派で手間がかかったものですが、手間を短縮するためのアイテムや工夫も多く存在するのです。ちょっとした知識を持つだけでも見方が変わるため、マイナスに見過ぎないのが楽しむコツになります。

絵梨のアナザー視点の登場で物語に深みが出ている

二巻の最大のポイントになっているのが、サチの幼馴染である絵梨のアナザー視点でが存在することです。あやりがサチのお弁当を作る話を絵梨視点で見るもので、絵梨自身もサチのことを意識してお弁当を作っているのがわかります。料理を作る姿や考え方に愛情が滲んでいるのです。サチの好みをしっかりと把握しているのもポイントで、幼馴染としての貫禄も十分になっているのもポイントです。あやりとの考え方の違いも見所になっています。

アナザー視点が入ることで、百合要素が非常に強くなるのもポイントです。恋愛感情であるという明示はない分、想像が刺激されるのが重要です。絵梨のサチに対する感情を恋愛感情とするのか、友情や親愛を前提にするかで見方が大きく変わるからです。様々な角度で楽しめて、読む人によって大きく印象が異なるのが魅力で、同じ本を読んでも感想がかわるのです。むしろ、恋愛かどうかも本人がわかっていない可能性もあるため、淡い感情を描くという意味でもレベルが高いのです。

はっきりと感情を書かないことがプラスになることもあります。特に百合の世界は奥が深く、下手に書いてしまうとフィクションとしてのカラーが強くなってしまうことがあるからです。はっきりとした女性同士の恋愛を描いた方がうれしいと思う層や、隠れていても滲む方が良いと思う層、淡い思いのまま思い出に消えてしまう同性への憧れ等もあります。言葉にしない方が美しいと感じる人もいるため、意図的に読み方を変えて楽しめるのも魅力になっています。

まとめ

「新米姉妹のふたりごはん」2巻は姉妹の距離が近づくだけでなく、サチのムードメーカー、ギャグメーカーとしての立ち居地が際立つ巻でもあります。おまけ漫画でも多彩な表情を見せてくれるため読み飽きないのが魅力です。また、食事をしたときの笑顔も輝きも健在で、読んでいて思わずおなかが空く漫画になっています。あやりの凝り性ぶりも重なり、料理が本当においしそうに見えるのです。基本を守って丁寧に調理しているのもポイントで、料理やそれを食べる人への愛情も良く伝わってきます。

2巻の陰の主役となっているのが絵梨で、視点の豊富さを楽しめるのも魅力です。絵梨のサチに対する感情は、恋愛感情なのか、友情なのか、読み方を変えるだけで表情のニュアンスが大きく変わってくるからです。あえて書かないところが魅力でもあり、百合好きをひきつけるポイントにもなっています。実は「新米姉妹のふたりごはん」は百合マニアからも支持を集める作品になっているのです。今後の三人の関係がどうなっていくかも気になるポイントになっています。

料理の完全再現は難しいものの、手軽に真似する方法もあります。予算が必要になるものは、別のもので代用してしまうのも方法です。基本は守った方が良いものの、アレンジが効くのも料理だからです。グルメと少女同士の交流を高いレベルで両立している作品は珍しいため、どちらも味わいたいと思う人は1巻とあわせて購入するのがおすすめです。コメディ要素も随所に盛り込まれているため、ストレスがたまった時やほっとしたい時に読みたい作品になっています。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:しらたま。