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岡山県で活動するマイナー地下アイドル「Cham Jam」。そのグループのなかでも人気最下位メンバーの”舞菜(まいな)”を全身全霊で応援する、熱狂的舞菜オタ、”えりぴよ”さんの型破りなドルヲタ活動は二巻も健在!

第二巻では「Cham Jam」のメンバー内で人気投票……すなわち総選挙が開催されることに!否応なしに”順位付け”がなされてしまうこのイベント。アイドル、オタク…そしてえりぴよさんは一体どうなってしまうのでしょうか?

それぞれのキャラクターの関係性がより鮮明に見えてきて、ますます盛り上がりを見せてきた『推しが武道館にいってくれたら死ぬ』ですが、果たして舞菜が(えりぴよさんの)夢の武道館のステージに立つ日はくるのでしょうか?

あらすじ

物語の季節は進み10月。第二巻に入り、いきなり人気投票の開催、つまり”総選挙”の実施が発表されます。Cham JamのCD一枚購入ごとに投票の権利が与えられ、否応なしにメンバー内での順位付けがなされてしまうこのイベント。

えりぴよさんも「すんな!」と漏らしています。「最下位に罰ゲームとかあるかな…」とあっという間に諦めを見せる始末。ライブでのセンター、前列後列…などなど非常に大きな意味の持つ総選挙。ファンの数がものをいいます。

「Cham Jam」の中でも不人気の舞菜、それでも彼女を1位にさせようとするえりぴよさんの孤軍奮闘は果たして……?もちろん総選挙以外の秋イベントも盛り沢山。アイドルの運動会にハロウィンパーティetc……アイドルの魅力あふれる第二巻です。

感想

人気投票開催!えりぴよさんの奮闘

第二巻でもえりぴよさんの舞菜への変わらぬ思いが描かれ、舞菜からのえりぴよさんへの思いがますます明らかになってきます。とくに第九話でえりぴよさんが言い放った「舞菜は生きてることがわたしへのファンサだから」「生きてくれてさえいればいいから」という発言は、重くて重すぎる言葉ですが、舞菜に出会えたことを喜ぶその気持ちは痛いほど伝わってくるのです。でも絵面的にはえりぴよさんが美人さんで良かった(身も蓋もない)。

舞菜に一位を、センターをとってもらうために、人気投票に全力で打ち込むえりぴよさんの姿。ひたすらパンをひっくり返し、夜は警備をするえりぴよさん。労働で得た金をCDに注ぎ込むえりぴよさん。その奮闘のかいあって、途中経過では舞菜がなんと3位に。ここで奮闘するえりぴよさんの姿がとても可笑しい、ゲラゲラ笑うことができて、読んでて元気が出てきます。しかしその代償として、えりぴよさんは脚を骨折させてしまうのでした……。

ガンガンCDを買ってガンガン投票をしていたえりぴよさんでしたが、ここでストップがかかってしまいます。突然購入するCDの枚数が激減するのですから、当然舞菜も動揺します。どうしてCDを積めなくなったのか?もしかして他界(オタクをやめること)してしまったのか…?などなど、気に病んでしまいます。しかし、いつも通りのえりぴよさんにはそんな気持ちを知る由もありません。ここのちょっとしたズレがどうなるのか気になって先へ先へと読み進めてしまうのです。

“来てくれないと会えない”関係

二巻ではえりぴよさんさんへの舞菜の気持ちがさらに明らかになってきます。たとえば第九話で舞菜がこぼした「来てくれないと会えないんだ」「わたしは待つことしかできないのに」という言葉はそのなかでもインパクトの大きい発言でしょう。もしもえりぴよさんと舞菜がトモダチなら、お互いに連絡をとりあって、会いたいときに会って、遊んだりすることもできるでしょう。しかし、二人の関係はアイドルとそのファンなのです。そこに断絶があります。

舞菜の抱えるもどかしさに読んでいてまたドキドキしてしまいます。けれど、舞菜がアイドルだからこそ、えりぴよさんは広い世界のなかで舞菜を見つけることができました。おかげで、二人に関係が生まれたのです。舞菜がアイドルだからこそ、二人は会話することができたのです。それってとても素敵なことじゃありませんか?えりぴよさんはきっと舞菜がアイドルをやってくれていて、本当に良かった、と心の底から感謝していることでしょう。

そんな葛藤もありつつ、シャイで人見知りな舞菜がすこしずつ気持ちを伝えようとする姿は手に汗握って応援してしまいます。第二巻のラスト、街中でたまたま遭遇したえりぴよさんにハートを届けようとする舞菜の姿はとても可愛らしく、また健気で魅力的でした。舞菜のえりぴよさんへの思いを見ていると、もしも推しているアイドルがファンに対してこんなことを思ってくれていたら、良いなあ・嬉しいなあ……と素敵な夢を見させてくれる作品ですよね。

少しずつ明かされていくそれぞれの関係性

第二巻ではえりぴよさんと舞菜のラインだけではなく、他のキャラクターどうしの関係もさらに描かれていきます。そのひとつがゆめ莉と眞紀のふたり。事務所に入ったときからずっと眞紀の背中をみていたゆめ莉。自分はきっとずっとこの人の後ろに立っているんだろう、とおもっていたゆめ莉。そんなゆめ莉が中間発表の結果を受けて、一度前列で踊ることに。そこではじめて見た前列からの景色は普段とはまったく違っているものでした。前列に立つゆめ莉を見て感激するオタクたちが素敵です。

その後の帰り道、眞紀が自分でCDを買って、ゆめ莉に投票していたことが判明します。その理由は、ゆめ莉の踊りをもっとみんなに見てもらいたかったから。握手券が余ってしまった眞紀さんの「握手してもらえるかな?」がとても格好良い……。れおと空音の関係も素敵です。リーダーとしてアイドルとして、一人の人間として、芯が通っていて、でもすこし弱い所もある、れお。そんな彼女の隣に立つ空音。空音の「やっぱりれおだなあ」これが全てです。

くまささんとれおも挙げなければならないでしょう。れおが”前”のグループにいた時代から推していたくまささん。当時の人気投票ではれおを一位にしてあげることは出来ませんでした。Chat Jamでは大人気、不動のセンターを張っているれおですが、”人気投票で一位にする”ということは、れおとくまささんの間ではとても大事なことでした。ここに垣間見えるアイドルとファンの共犯者のような関係がとても素敵だな、と思います。れおが輝く、そのためにくまささんが支える、そんな関係。

まとめ

“総選挙”の実施が発表された二巻。しかしながら、運動会や、れおの生誕祭などなど、Chat Jamには楽しいイベントが目白押しでした。とくに運動会のアイドルたちが優勝を目指してわちゃわちゃと奮闘する様は可愛らしくて面白くて元気がもらえますよね。そんな楽しいエピソードに挟まれるくまささんとれおの関係性を伺わせるワンシーンがまた素敵。いつも通りのえりぴよさんと、人見知りだけれどすこしずつ気持ちを見せ始めた舞菜にもほっこりさせられます。

第二巻はえりぴよさんが怪我でドクターストップになって握手会に一瞬しか顔を出せなくなったり、えりぴよさんがメイド喫茶に言ってみたらたまたま文がいたりしたおかげで、揺れ動かされる舞菜が可愛らしいですね。舞菜だけではなく他のメンバーの内面もあれこれしっかりと描かれており、どんどんChat Jamというグループを好きになっていく自分がいました。ひとりひとりのお当番回というよりはそれぞれの関係性の中でキャラ立てさせていくのがとても上手い構成だと思います。

また、アイドルたちだけではなくオタクたちの気持ちも描かれた第二巻でした。オタクにも色々なスタンスのオタクがいて、それぞれが現場に参加している、そんな暖かいまなざしを感じ、この作品は可愛らしいアイドルとそれを応援するオタクたちの両面で成り立っていることを改めて感じさせられます。オタクたちが右往左往した人気投票の結果は一体どうなったのか…?果たしてくまささんはれおを一位にしてあげることはできたのか…?物語はまだまだ続いていきます。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

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