ボーイッシュな女の子…それは君が見た光。僕が見た希望。『あつまれ!ふしぎ研究部』2巻です。『侵略!イカ娘』でお馴染みの安部先生によるこの作品はまさしく作者による新境地を切り開いたものとなりました。表紙は最高にかわいい千晶先輩です。

少年誌におけるお色気表現はいつだって読者の心に春風を感じさせてくれます。そこには成人漫画では表現できない健全さと背徳感がない交ぜになったような、微妙なラインの感情を揺さぶってくれるのです。そして本作はそれを体現しています。

お色気だけでなく健全な恋愛感情…もとい恋愛未満の感情も描かれていて、ベースがコメディなところにそういった要素を入れられると身悶える他ありません。もちろんギャグ漫画としても楽しめるので老若男女全人類におすすめの作品です。

あらすじ

五領大祐(ごりょう だいすけ)は南湘高校の1年生。あるときふとしたきっかけで「ふしぎ研究部」に入部することになります。この部活には既に3人の女子部員が居て、それぞれが催眠術、マジック、オカルトといった不思議なものの研究をしているのでした。

部員は3年生の部長「大原ことね(おおはら ことね)」と2年生の「神田千晶(かんだ ちあき)」それから大祐と同じ1年生の「二宮鈴(にのみや すず)」です。大祐はこの3人の女の子の不思議研究の被験者として犠牲になることもしばしば。

そこに清楚な出で立ちの風紀委員でありながら淫らな妄想癖が強い「高浜麗子(たかはま れいこ)」や部の顧問となる保険の先生「春日野旭(かすがの あさひ)」も登場し、作品世界はますます賑やかなものになっていきます。

感想

健全なお色気描写だからこそ表現できること

本巻は前巻に比べお色気描写がすこし多くなりました。ありがとうございます。といってもお色気はメインとなる要素ではありません。あくまでエッセンス、健全な範囲でのお色気であって直接的な描写がされているわけではないのです。例えるなら学校で一瞬だけ女子生徒のパンチラを見てしまい妙な罪悪感やらドキドキやらが押し寄せる、そんな感じとなっています。そしてこうした描写は少年誌だけでしか実現できない表現だったりするのです。行き過ぎず行かな過ぎない、そんな絶妙な健全お色気描写が存分に楽しめます。

例えば千晶先輩のスカートの中に蜂が入ったときに慌ててスカートをパタパタするのですが、このときにパンツは描写されません。ですが!健康的な太ももがもろ見えで大祐は「水色の縞パ…」が見えたと証言しています。最早わびさびの世界、やはりこうした描写は少年誌で連載されているからこそと言えるでしょう。成人漫画であればがっつり水色の縞パ…を描写していますし、そこからエロい展開になるのは想像に難くありません。ですが本作にとってお色気はあくまでエッセンス、水色の縞パ…を見た大祐は直ぐに殴り飛ばされストーリーはどんどん進んで行きます。

それからこれはもう精神的なお色気描写となるのですが、とある事情で鈴が大祐の家に泊まるのですがこのとき知らない間に大祐のベッドに潜り込んでいたりします。鈴は制服を着用したままですし、大祐に密着することはありませんし何かエロい展開になるわけでもありません。ですがそこには「同級生の女子が同じベッドに寝とる…」という精神に変調を来たすほどの萌えワールドが広がっているのです。お色気表現には直接的、間接的な肉体の描写以外にも精神へ働きかける方法がある、ということを鈴のエピソードで教えられました。

お気に入りのキャラクターだけに活躍して欲しくなる

私はボーイッシュな千晶先輩が大好きなのですが、人の好みは十人十色、それぞれ異なるものです。巨乳で優しいお姉さんなことね先輩にゾッコンラブあ方も居れば鈴のクールな少女性に惹かれる方もいらっしゃるでしょう。そしてこの作品では回ごとにメインキャラクターが存在する形式が多く見られます。千晶先輩がメインの回もあれば鈴がメインの回もあるということです。となるとですよ、あるキャラクターがメインとなる回では相対的にその他のキャラクターへスポットは当たらなくなるわけです。

ワガママな読者の要望としては千晶先輩メインの回を永遠に続けて欲しいと思ってしまうようになります。それは他のキャラクターが好きな方でも同じかもしれません。余りにもキャラクターに魅力があると、こうした気持ちになってしまうのです。ただ自分の好きなキャラクターがメインでないからこそ見れる姿というものもあります。メインキャラクターの掛け合いを眺めるふとした1コマ、そのとき好きなキャラクターは何を考えているのか、といったことを考えるのも楽しいものです。

また、明確にメインキャラクターが定められていない回も存在しており、この場合はキャラクターではなくテーマを中心として数人のメンバーが話を回していく流れとなっています。それぞれに見せ場があり狭いやり取りにならないため漫画作品としての豊かさを感じさせてくれるでしょう。そしてそこでは好きなキャラクターの魅力も発揮されているはずです。実はこうした何気ない描写の集積がキャラクターを形成しているので、むしろこうしたエピソードは必要だったりします。好きなキャラクターだけに活躍して欲しいという気持ちは様々なエピソードがあるからこそ生まれる気持ちなのです。

可愛さが突き抜けた千晶先輩とダークホースの高浜さん

とにかく表紙を見て下さい。この千晶先輩の魅力溢れるお姿は萌えの化身、萌えのスイートスポットを煮しめて固めたようです。ショートカット、八重歯、健康な太もも、完璧です、ボーイッシュ選手権優勝おめでとうございます。もちろん表紙のみならず内容も最高です。第28話で鈴が持っている仮面をかぶり邪神アンバボーと化した大祐は女の子を抱きしめなくてはならない流れになりました。そこである企みから千晶先輩をターゲットとする大祐ですが、このとき千晶先輩、まんざらでもない仕草で待ち受けているのです。これはもう、このシーンのためだけに本書をゲットする価値は十分にあります。

それから第29話は大祐と千晶先輩がケンカしてことね先輩が仲直りさせようと2人の手をくっついて離れなくしてしまうのですが、この回は本当に良いですね。素直にならなければ手が離れない状況であれやこれやの展開の先にオチが待っているのですが、思わず込み上げるニヤニヤを止めることはできません。千晶先輩と大祐がこれからどういう関係になっていくのか、それとも現状維持のままなのか、何とももどかしい状況が描かれています。

また淫乱な妄想が止まらない風紀委員の高浜さんも存在感を増してきました。彼女は何かとエロい妄想に取り付かれやすいのですが、本作での妄想はマーベラスなものとなっています。第24話で薬箱の中身を見た高浜さんの妄想は本作で最も直接的なお色気描写となりました。他にも性教育を受けて赤面する高浜さんや誤解をおそれてしどろもどろになる高浜さんなど色々な展開が繰り広げられています。千晶先輩も高浜さんも同じく何となく大祐を気にしている素振りが見られ、果たしてこの恋愛感情のようなそれ未満のような感情は今後どうストーリーに関わっていくのでしょうか。楽しみでしかありません。

まとめ

本巻では同作者による『侵略!イカ娘』とは異なる方向性が確立されてきました。やはりお色気描写があり前巻より増量したことは大きな特徴と言えるでしょう。ただお色気といってもあくまで上品で健全なお色気です。なお高浜さんは除きます。むしろ高浜さんにだけはもっと強烈なお色気描写を期待していたりします。また阿部氏のすっきりした絵柄でお色気描写をするというのはどこか背徳的なものがあり、それも萌えポイントを乗算しているのでしょう。

また、もちろんお色気描写だけが本作の全てではありません。本作はベースをギャグ漫画としていてその上にお色気描写が乗っているという形です。そのため一線を(今のところ)越えてはいませんし、千晶先輩のお色気シーンの次のシーンでは大抵大祐は殴られています。シリアスなお色気系の展開にはならないのです。こうした点も本作を読みやすくしているのかもしれません。気軽に読めてお色気あり笑いありという漫画としてクオリティの高い作品となっています。

それから、いくつかのエピソードの中で千晶先輩の魅力が存分に発揮されていてとても心が洗われるようでした。がさつでボーイッシュ、なのにいざとなったら女の子、という萌え秘孔をビシビシついてくる千晶先輩は唯一無二の存在です。もし本巻の表紙を見て「ほほう…」と何かを感じ取ったならその直感は正しいです。見た目どおりの言動を作品内で繰り広げる千晶先輩はただただかわいく愛らしい存在となっています。千晶先輩がこれからどのような話を繰り広げていくのか楽しみで仕方無い作品です。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

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記事担当:くもすい