わずか10歳の魔法使いの少年ネギ・スプリングフィールドが女子校で担任を務めることになってしまう「魔法先生ネギま!」。今回は、この物語に初めて「敵」が登場する単行本第3巻のレビューをさせて頂きたいと思います。

1~2巻にはクラスの女子生徒たちの素性を掘り下げるための紹介エピソードがいくつも収録されていましたが、3巻はほぼ全てが麻帆良学園に現れた「吸血鬼」とのやり取りと描くエピソードになっています。考えようによっては、吸血鬼の正体である「エヴァンジェリン」という少女の生い立ちを掘り下げるために、この巻をまるごと使用したともいえるでしょう。

今後も重要人物のひとりになるエヴァンジェリンの登場、そして今作で初めてのバトルシーン。魔法先生ネギま!第3巻は、かねてより仄めかされてきた「魔法世界」や「ネギの父親」といった数々の謎の根源にも迫る一冊です。今回はその見どころをまとめてみましたので、詳しくは以下のレビューをご覧ください。

あらすじ

生徒たちとも打ち解け、麻帆良学園の担任としてもすっかり馴染んできたネギ先生。赴任当初2年生だったクラスの生徒たちも進級して3年生になり、ネギはそのまま3年のクラス担任に繰り上がりになりました。しかし新学期が始まるその日、ネギのクラスの生徒である佐々木まき絵が何者かに襲われるという事件が発生します。

まき絵が倒れていたのは麻帆良学園内にある桜通りという小道。実はこの道には「満月の夜になると吸血鬼が現れる」という噂があり、まき絵は吸血鬼に襲われたのではないかともっぱらの噂になります。ネギは倒れているまき絵の傷口から微かな魔力を感じ取り、これが魔法使いの仕業であると推察しました。

その日の夜、桜通りで待ち伏せしていたネギは、宮崎のどかに襲い掛かる吸血鬼を発見しました。しかしその吸血鬼の正体は、なんとネギが受け持つクラスの生徒のひとり「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」だったのです。吸血鬼の正体を暴き、危機を脱したかに思われましたが、実はエヴァンジェリンの目的はネギの血液を手に入れることで…!?

感想

今作初めての「敵」が登場する…!

魔法先生ネギま!の作者・赤松健先生は、これまで「ラブひな」や「AIが止まらない!」などの名作ラブコメを多々手掛けてきました。もともとファンタジー色の強い作品を描く漫画家ではあったのですが、これまでの作品の主軸はあくまで「ラブコメ」で、赤松先生の作品に本格的なバトルシーンや敵などはほとんど登場しませんでした。しかし今作・魔法先生ネギま!には数多くのバトルシーンが存在し、ネギと戦う敵の存在もこれからどんどん公になっていきます。ここでネギにとって初めての敵ともいえる「エヴァンジェリン」が登場することは、3巻の大きな見どころと言えるでしょう。

先ほどもあらすじで少しご紹介しましたが、エヴァンジェリンは敵でありながら、ネギの担当する3‐Aの生徒でもあります。そのためネギはただエヴァンジェリンを倒せば良いというわけでもなく、しっかり「生徒」として向き合わなければならないという難しい立場に立つのです。エヴァンジェリンは満月の夜になると吸血鬼の力を発揮し、校内で女生徒たちの血液を吸っているため放置するわけにもいきません。3巻まるごと、ネギとエヴァンジェリンの戦いや対話が中心となって物語は進んでいきます。

エヴァンジェリンの目的は、自身にかけられたある呪いを解くことにあります。呪いの内容はあえて秘密にしておきますが、この呪いはエヴァンジェリンの人生にとって最大の屈辱とも呼べるものでした。実はエヴァンジェリンに呪いをかけた人物こそがネギの父親である「サウザンドマスター」で、彼の許可なしに呪いを解くためには息子であるネギの血液が必要だったのです。エヴァンジェリンとの戦いを通して、これまでヴェールに包まれてきたネギの父親・サウザンドマスターの素顔がちょっとだけ明らかになる点にも注目です。

重要な設定「仮契約(パクティオー)」とは?

3巻くらいから徐々にバトルシーンが多くなってくる魔法先生ネギま!ですが、このマンガのバトルに欠かせない設定が「仮契約(パクティオー)」です。この世界の魔法使いは呪文を詠唱している間に無防備になってしまうため、敵の攻撃を受けやすくなるという特徴があります。そこで魔法使いは、敵の攻撃から身を守ってくれる「パートナー」を見つける必要があり、魔法使いとパートナーが仮の契約を結ぶことをパクティオーと言います。この設定は、魔法先生ネギま!という作品において最後まで重要になる設定なので覚えておいて損はありません。

というのも、ネギにとって「生徒たちとパクティオーを結ぶ」ということは、この物語の主軸のひとつになっていくからです。パクティオーを結んだ者は必ず何らかの特殊能力を得ることができるため、パクティオーを結んだ相手が多いほどネギの戦力は増えていきます。目覚める能力は人によって様々ですが、人の心を読む能力だったり、魔法を強制キャンセルさせる能力だったりと、魔法使い同士のバトルに大きく役立つものが多いです。ぶっちゃけてしまうと、このあとネギは何人もの女子生徒とパクティオーを結び、更なる強敵と戦うための仲間に引き入れていきます。

こうして設定だけを見ると、ラブコメからバトルマンガへと完全移行したようにも見えてしまいます。しかしパクティオーを結ぶ方法は「相手とキスをすること」なので、実はむしろラブコメ要素が加速しているともいえるのです。どんどんクラスの女子たちとパクティオーを結んでいくネギですが、戦力を増やすというよりも、ハーレムを形成しているようにさえ見えます。魔法使いとの契約のためとはいえ、年頃の女子生徒が男性とキスをするということのハードルはそう低くありませんから、ネギがいかにしてヒロインたちの心を開いていくのかという点にも注目です。

新キャラ・カモ君がやってきた!

この巻からは、新キャラクターとして「アルベール・カモミール(カモ君)」が登場します。カモ君はオコジョの妖精で、昔ネギに命を助けてもらったという過去があるため、現在はネギの使い魔として活躍しています。実は先ほどご紹介した「パクティオー」についてネギに教えたのもカモ君で、魔法使いの知識に関してはネギをもしのぐ一面を見せる重要キャラクターです。アニメなんかだとよく魔法使いのサポートをするマスコットキャラクターがいますが、カモ君はまさにこの作品におけるマスコットキャラクターの役割を果たします。

ところがカモ君は性格にちょっと難があり、オコジョなのに人間の女性が好きすぎてセクハラを繰り返すという側面があります。なんとカモ君は大量の下着泥棒を行ったせいでイギリスの魔法使いたちに追われていた過去があり、立派な使い魔…とはお世辞にも言えない性格をしています。下着泥棒をしたり女子生徒たちのお風呂を覗いたりとスケベな悪さばかりをするカモ君ですが、メタ的なことを言ってしまえば彼のおかげで魔法先生ネギま!は萌えマンガとしてのメンツを保っている気もします…3巻はエヴァンジェリンとの戦いのせいでやや真面目なシーンが多くなっていますが、カモ君のおかげでお色気シーンも同じくらい増えた感じがします。

パクティオーによって強いパートナーを手に入れ、カモ君がやってきたことで知識豊富な使い魔を使役できるようになったネギ。最初は魔法使いにしてはドジな男の子という感じでしたが、ここへきて一気に魔法使いらしくなってきました。今回エヴァンジェリンとの間に起きたバトルでも、カモ君の働きが必要不可欠になってきます。果たしてスケベなだけで戦いの役には大して立たなさそうなカモ君がどんな働きをするのか、その答えはぜひ3巻を読んで確かめてみてください。

まとめ

というわけで、今回レビューしたのは「魔法先生ネギま!」単行本第3巻でした。今までの巻ではクラスの女子生徒たちの素性を掘り下げるエピソードが中心でしたが、3巻は完全にエヴァンジェリン中心のエピソードとなっています。ずっとバトルをしているというわけではありませんが、学園における日常生活のなかで「エヴァンジェリンは何者なのか」「どうやって彼女を倒すのか」といった謎をじっくりと解明していく巻になっています。3巻に収録されている1本目のエピソードでエヴァンジェリンが初登場し、3巻最後のエピソードでこの問題が解決するのでテンポも良かったです。

また、この巻ではネギが受けもつクラスの女子生徒数名の正体が明らかになります。本物の「忍者」である長瀬楓と、人工的に造られた「アンドロイド」の絡繰茶々丸の2名です。3巻の主軸にもなった「吸血鬼」エヴァンジェリンといい、このクラスには個性豊かなんて言葉では片づけられないほどユニークな面々が揃っていますね。実はさらに衝撃的な正体を持つ女子生徒も紛れ込んでいるのですが…それは次巻以降のお楽しみということで。

最後に、3巻を総評するとすれば、エヴァンジェリンとのトラブルを通して「魔法世界」の設定が広がった巻だったと感じました。今までネギはそんなに本格的な魔法を使っていたわけではありませんでしたが、この巻では盛大に攻撃魔法を駆使してバトルを展開します。また、エヴァンジェリンの過去やネギの父親・サウザンドマスターの姿が描かれることにより、魔法を使える人間は決して少なくはないのだということが仄めかされます。少しだけ今までの伏線が回収されたものの、また新たなる謎が増えてきた巻でもあり、ますます今後の展開が気になるストーリーになっていました。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8

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記事担当:だいなごん