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トネ・コーケン先生がWeb小説投稿サイトカクヨムに公開した小説『スーパーカブ』。天涯孤独の少女・小熊がスーパーカブと出会い、様々な経験を通して成長する様が人気を博し、2017年には角川スニーカー文庫より書籍化、コミックNewtypeではコミカライズが開始されました。

今回ご紹介するのはそんな『スーパーカブ』のコミックス第1巻。表紙を飾る小熊の素朴な可愛さとスーパーカブという珍しい題材に惹かれ購入を決めましたが、とても丁寧にコミカライズされている印象を受けました。原作小説の方はまださらっとしか読めていませんが、きっと原作ファンの方にも楽しんでいただける出来に仕上がっているはずです

前からそれなりに注目はしていましたが、やはり原付×女子はいい。そこに女子高生と制服が組み合わさることでその魅力は2倍3倍どころか数十倍にまで跳ね上がり、バッファローマンもびっくりの萌えパワーを生み出します。こういうニッチな萌えジャンルに切り込んでいく作品って本当に尊いものです……

あらすじ

父を事故で亡くし母親が失踪したことで天涯孤独の身になった小熊。奨学金を頼りに一人暮らしをしながら高校に通うものの、彼女の送る日々はとても空虚なものだった。両親もなく、友達もおらず、熱中できる趣味もない。小熊は何も持たない少女だったのだ。

ある日、いつものように自転車で通学する小熊を一台のスクーターが追い抜いていく。「原付に乗ればもっと楽に通学できるかもしれない」。頭にふとよぎった考えが彼女の足をバイクショップへと向かわせた。

そして、そこで小熊は一台のスーパーカブと出会う。カブに跨がり、走り出した瞬間、何も持たず止まったままだった彼女の時間が、ゆっくりと動き始める

本作の見所

孤独で無欲な少女・小熊

本作の主人公である小熊は傍から見るとかなり悲惨な境遇の女の子。父親を事故で失い、母親は失踪。頼れる身内も友達もなく奨学金を借りて高校に通う姿には同情を禁じ得ませんが、そんな境遇にも関わらず、小熊はわりとあっけらかんと生活しています。彼女は自身が何も持たない人間であることを自覚し、それを当然のことと受け入れてしまっているからです。それ故、悲観的にならずに済んでいる側面もあるのですが、高校生になったばかりの少女がここまで達観してしまうのってなんだか悲しいですよね……。

そんな彼女を変えたのがスーパーカブとの出会い。初めは通学が楽になるという目的のためだけに購入を決めましたが、カブを手にしたことで彼女の生活は一変します。道を走るだけで心地いい。気持ちいいからどこか遠くへ行ってみたい。遠出するためにいろいろなものが欲しい。カブをきっかけに小熊はようやく年相応の子供らしい欲求を持つようになります

初めは何を考えているのかわからない人間味の薄い少女だった小熊が、表情豊かになり楽しげにしている様を見ていると、子供の成長を見守る親のような気分になって心がほっこりします。蟹丹先生の描くデフォルメ絵(パワプロっぽい)もかなり好みで小熊の愛らしさを十二分に引き出していますね。口数が少ないキャラだけに、表情で内面を魅せる上手さが際立つ作品でもあります

初めてのカブ乗り友達・礼子

礼子は何も持たない小熊とは対照的に何でも持っている女の子。親はお金持ち、勉強もスポーツも優秀で容姿端麗かつ巨乳と非の打ち所がありません。そんな彼女が持つ一風変わった趣味がスーパーカブでした。しかも、礼子のカブは郵便局で使われている郵政カブ!お嬢様が郵政カブに跨るというギャップが魅力的なキャラクターでもあります

礼子は小熊にとって初めてできたカブ乗り仲間であり、彼女の世界を広げるための水先案内人としての役割も果たしています。小熊が郵政カブを見て後部についている箱が欲しいといえば郵便局まで案内し、ヘルメットにつけるシールドが欲しいといえば即座にネット通販で検索、と礼子は持ち前の行動力で小熊の願いを叶える手助けをしてくれます。ネット通販の検索の際には自分好みの製品に夢中になり小熊を置いてけぼりにするというお茶目な一面も見せてくれました。

スーパーカブ』において小熊は自分の世界をゆっくりと広げていきます。カブとの出会いがその第一歩であることは間違いありませんが、その後の足取りを着実なものに変えたのは他ならぬ礼子でしょう。小熊が今後どのように成長していくかとともに、二人の関係がどのように変化していくのかについても目が離せないところです

あなたもきっとカブに乗りたくなる

2018年1月にアニメ化された『ゆるキャン』のヒットは記憶に新しいですが、その影響を受けてキャンプに挑戦してみたという方はいませんか?私の友人は見事に感化されてドキッ!男だらけのキャンプ祭りを開催したらしいです。キャンプ内容はだいぶゆるかったと思いますが絵面的には『ゆるキャン』の1/100程度もゆるくなさそうですね。

このように漫画やアニメに影響されて新たな趣味に手を出すというのは珍しくないことです。かくいう私も影響を受けやすい性質でしてスーパーカブ』を読んでからカブに乗ってみたくて辛抱たまりません。カブに跨がり普段通いなれた道をのんびりと走るだけでも、いつもとは違う風景が見えてくるような、そんな予感がするんです!

スーパーカブ』ではカブと出会うことで小熊の世界が広がっていく様がゆったりとした足取りで描かれています。このゆったりとしたペースが非常に心地よくて、カブに乗ることで何かが変わるかもしれないという期待感を我々読者に感じさせてくれます。代わり映えのしない平坦な毎日に飽き飽きしている方にはぜひとも本作を読んで新たな世界を広げるきっかけにしてほしいです!

まとめ

  • 素朴な少女、小熊の成長を見守りたい
  • 小熊と礼子がどのように関係を深めていくのか注目!
  • カブに乗ってみたくなる魅力を持った作品

小熊は「あれがほしい!」「これをやりたい!」といった目的を持たない主人公として出発します。それ故、はじめはなんとなく掴みどころのないように思えるんですが、話を追うごとに様々な表情や反応を見せるようになり、輪郭がハッキリしていくキャラクターです

だからなんでしょうか、小熊が笑ったり驚いたり焦ったりと感情を露わにする度に「この子はこんな表情をするんだ」とまるで好きな女の子の意外な一面を覗いてしまったようなドキドキ感を味わえる気がします。あまずっぱい……。

インパクト重視で個性の強いヒロインが多い中、小熊はまっさらな状態から個性を徐々に積み重ねていくタイプの女の子なので、逆に新鮮な感覚を覚えますね小熊の素朴な可愛さに惹かれた人にもスーパーカブという題材の珍しさに惹かれた人にも手放しでオススメできる一作です!

物語の行間に潜む感情の機微を炙り出せるような記事を書きたいです。ショートカットで元気な女の子が大好きなので、オススメの作品があったらご一報ください。

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