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学生のころ、好きなものだけが入ったお弁当を食べたいと思ったことはないでしょうか?

私も、毎朝早起きしてお弁当を作ってくれる親に感謝しつつ、「緑が足りないから」という理由で加えられる野菜がどうも苦手でした。ブロッコリーって、野菜というか、ほぼ木でしょ?(農家の方すみません)

それはさておき。今回ご紹介するだーく先生の『弁当やばいよ 水無瀬さん』は、ヒロインの水無瀬さんが、好物の肉と白米だけが入ったお弁当を食べるマンガです。それだけ? と思われそうですが、それだけでちゃんと話が続いていくのだから、作者の力量に感服してしまいます。

あらすじ

高校1年生のモブ顔男子・加藤くん。最初の席替えで隣になったのは、おっとり天然系美少女の水無瀬さんでした。

中学時代、いつもひとりでお昼を食べていたという水無瀬さんの話を聞いた加藤くんは、彼女と「お弁当友だち」になることを提案します。

誰かと一緒に食べるご飯はおいしい。相手が好きな子であれば、なおさら。これは、ウブな高校生男女の、甘酸っぱいラブコメディ。――ところで水無瀬さん、お弁当の中身と量、やばくないですか???

感想

弁当茶色いよ 水無瀬さん

「茶色のお弁当」といえば、普通は煮物などが入った、素朴ながらも家庭的なお弁当のことを指します。しかし『弁当やばいよ 水無瀬さん』の場合、お弁当の茶色成分はすべて、「焼いた肉」の色。

おせち料理に使われていそうな三段重のお弁当箱にみっちりと詰め込まれているのは、一段目に。二段目にご飯(ときどきパン)。そして三段目にデザート――という名のコロッケ。栄養バランス以上に、食費が心配になります。

とはいえ、無理して嫌いなものを食べるより、栄養が偏っていても好きなものだけを食べた方が健康に良いという話もあるそうで。うれしそうにお弁当を頬張る水無瀬さんを見ていると、こちらまで幸せな気分になること請け合いです。まあ、ニンニクをたっぷり効かせたステーキを学校に持ってくるのはどうかと思いますが……。

ベジタリアンだよ 西園寺さん

水無瀬さんが肉を食べるだけで話が持つのか? と読者が心配し始めたころ、狙いすましたように投入された新キャラが、クラス委員長の西園寺さん。栄養バランスが崩壊している水無瀬さんを見かねて、ちゃんと野菜も食べなさいと注意します。

言っていることは至極まともですが、水無瀬さんとは対照的に、西園寺さんは肉が大嫌いなベジタリアン。彼女のお弁当は、生の野菜がそのままの形で入った、ウサギのエサのようもの。水無瀬さんじゃなくても、これはちょっときつい……。せめてドレッシングをつけて。

実際のお弁当と同じように、西園寺さんという「緑」のアクセントが加わったことで、物語も賑やかで楽しくなっていきます。肉と野菜の違いはあれど、好きなものを好きなだけ食べたい、好きな食べ物のおいしさを他の人にも知ってほしいと思う気持ちは同じ。何かと衝突するふたりですが、意外と相性はいいのかもしれません。

地味だけど主人公だよ 加藤くん

冒頭に「甘酸っぱい(酢豚的な意味で)ラブコメディ(お米的な意味で)」と書いた通り、本作の主人公はあくまでも、男子生徒の加藤くん。

西園寺さんに「モブくん」と呼ばれてしまうほど、見た目も性格もパッとしませんが、個人的には彼が地味でよかったと思います。ただでさえヒロインの水無瀬さんと西園寺さんが非常に濃いのに、彼までもアクが強いキャラクターだったら、きっと胃もたれを起こしていたでしょう。

水無瀬さんにとっても加藤くんは、なぜか昼食時は周りに避けられていた(だいたいニンニクのせい)自分とご飯を食べてくれた、初めての友だちです。最近は、お昼休み以外にも一緒にいるシーンが増えてきました。今後、水無瀬さんが彼のためにお弁当を作ってくるような展開があるのかにも注目していきたいところ。

まとめ

  • お弁当に例えると「肉」の水無瀬さん(みんなに愛される主役)
  • お弁当に例えると「野菜」の西園寺さん(嫌われがちだけど大切)
  • お弁当に例えると「白米」の加藤くん(地味だけど欠かせない存在)

 

『弁当やばいよ 水無瀬さん』はまさに、好きなものだけが入ったお弁当のような、ストレスを感じずに楽しく読み進められる作品です。

コミックス1巻の最後には、水無瀬さんと加藤くんの数年後(?)の姿を描いた衝撃的な描きおろしページも収録されています。これは言わばデザート。本編より先に読んじゃいけませんよ!

4コマ好きのフリーライター。萌えかどうかを問わず、4コマなら何でも読みます。個人ブログ「まっしろライター」では、新刊コミックスの発売日前レビューも更新中。

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