Pocket
LINEで送る

ラブひな 6

個性豊かな美少女たちの住む女子寮ひなた荘の管理人を務めながら、東大合格に向かって猛勉強を続ける青年、浦島 景太郎を主人公にしたラブコメの金字塔「ラブひな」。今回は、1巻から示唆されてきた「約束の女の子」について急展開を迎えるラブひな単行本第6巻のレビューをさせていただきます。

そもそも景太郎が東大を目指す理由は、幼い頃に将来を誓い合った「約束の女の子」と再会するためです。しかしここまで「約束の女の子」についての情報はほとんど無く、景太郎自身がその子の顔や名前すら覚えていないという有様でした。そのため景太郎は、幼い頃に話した「愛し合う2人が東大に入ると幸せになれる」というジンクスだけを手掛かりにして、東大を目指していたのです。

ただ、ひなた荘での生活を通して成瀬川に好意を抱いた景太郎は、もはや「約束の女の子」のためではなく成瀬川のために東大を目指すようになっていました。このまま成瀬川をメインヒロインにして「約束の女の子」は忘れられていくものかと思われたのですが…このタイミングでまさかの急展開が訪れました。

あらすじ

夏も終わりを迎え、いよいよ東大再受験に向けて本格的な受験勉強を始めた景太郎と成瀬川。猛勉強のかいあって、景太郎は模試で「B判定・合格率60%」の裁定を受けます。昨年の「D判定・合格率0%」という数値から考えると、驚異的な成績向上でした。

成瀬川に勉強を教えてもらったことが成績向上のきっかけだと考えた景太郎は、成瀬川をデートに誘おうと計画します。他のヒロインに邪魔されつつも、なんとかデートを重ねて親密度を上げていく2人は、このまま付き合ってしまうかに思われました。しかしそんな2人のもとに、傷心旅行で出会った乙姫 むつみが現れます。

すると、昔からひなた荘に住んでいたはるかが「むつみの姿に見覚えがある」と言い出します。調べてみると、むつみが過去にひなた荘を訪れていたことが分かり、さらには景太郎の幼馴染だったことが判明しました。成瀬川は、景太郎の言う「約束の女の子」がむつみのことだと確信するのでした。

感想

乙姫むつみ再登場!実は「約束の女の子」と深い関係が…?

単行本3巻の「傷心旅行編」に登場した天然ボケの女性、乙姫 むつみが再登場しました。景太郎や成瀬川と同じく昨年の東大受験に失敗していたむつみは、今年こそは合格を目指そうと実家から出てきていたのです。偶然にも、むつみが住んでいるアパートはひなた荘のすぐ隣にあったため、景太郎と成瀬川の勉強会にはむつみも加わるようになります。瀬田さんとの三角関係問題が解決して、いよいよ景太郎と成瀬川が付き合うか…?と思っていたら、ここへきてむつみが新しい三角関係を構築しました。

むつみの存在は、ただ過去のゲストキャラ再登場というだけのことではありませんでした。昔からひなた荘に住んでいたはるかは、むつみの姿を見て「そういえば昔この旅館に乙姫って子にそっくりな子がいた」と言い始めます。むつみ自身もまた、ひなた荘に隠された隠し通路の存在を知っていたり、ひなた荘に何故か懐かしさを感じているようです。もしも子供の頃のむつみがひなた荘に居たのなら、景太郎の「約束の女の子」がむつみである可能性がグンと上がるでしょう。

成瀬川がそのことについて調べていると、成瀬川の持ち物からむつみの痕跡が次々に見つかり始めます。ひなた荘を写した写真には幼少時のむつみらしき姿が写っていたり、成瀬川が大切にしているぬいぐるみにも「乙姫むつみ」と名前が書かれていました。なぜ成瀬川の持ち物にむつみの痕跡が残されていたのかという謎は残されていますが、これらの情報から成瀬川はむつみが景太郎の「約束の女の子」なのだと確信します。ラブひなでは序盤から語られてきた「約束の女の子」問題ですが、6巻にしてようやく進展を見せましたね。

幼いころの成瀬川とひなた荘の関係とは

むつみが景太郎の「約束の女の子」であると確信した成瀬川ですが、実は成瀬川自身も幼い頃に景太郎と会っていたことが判明します。幼いころの成瀬川の写真はひなた荘で撮影されたことがわかり、さらにその写真には景太郎らしき男の子が写っていたのです。以前、景太郎が成瀬川を「約束の女の子」ではないかと疑ったときには「十五年前って私2歳じゃん」と真っ向から否定した成瀬川でしたが、2歳の成瀬川はたしかにひなた荘で景太郎と会っていたのです。2歳の女の子が「愛し合う2人が東大に行くと幸せになれるんだって」なんて約束を出来るかどうかは分かりませんが、ともかく幼馴染だったことにはほぼ間違いないでしょう。

成瀬川はむつみが「約束の女の子」だと考えているようですが、客観的にみると成瀬川が「約束の女の子」である可能性も十分にあります。当時2歳だったため詳細は覚えていないようですが、成瀬川が「誰かにもらった」と記憶しているぬいぐるみにはむつみの名前がありました。このことから、幼いころの成瀬川とむつみ、そして景太郎の3人には確実に関係があったのだと推測できるのです。景太郎自身が東大に行く約束を誰としたのか覚えていない以上、成瀬川もまた「約束の女の子」候補と見てよいでしょう。

共に受験勉強をするなかで、成瀬川もまた景太郎に好意を抱いているようでした。もはや付き合うのは時間の問題…かと思っていたら、むつみの登場によりここからの展開が読めなくなってきます。「浦島 景太郎」と「乙姫 むつみ」、名前だけ見ても結ばれる運命にありそうな2人ですね。それにしてもこの展開は、成瀬川が瀬田さんと再会したときの流れとよく似ています。瀬田さんを見て景太郎が身を引こうとしたときのように、成瀬川もまた、むつみを見て身を引こうと決心します。果たして、景太郎が選ぶ「約束の女の子」は誰なのでしょうか。

ひなた荘で迎える2回目のクリスマス

「約束の女の子」関連の謎が進展したことで、ややシリアスな話が多くなってしまった6巻ですが、ひなた荘らしい明るいエピソードも収録されています。個人的に明るくて良いと思ったのは、51話の「あの子とHolly Night」というエピソードです。タイトルからわかる通りクリスマスのエピソードなのですが、昨年のクリスマスエピソードと好対照を成しているのが特徴です。実は景太郎がひなた荘に来てからクリスマスを迎えるのは2回目で、1回目のクリスマスは目も当てられないほど残念でした。

1回目のクリスマスはちょうど成瀬川の日記を勝手に読んで怒られているときで、さらに東大模試でも「D判定・合格率0%」という驚異の数値を叩き出した日でした。当時の景太郎はひなた荘にも馴染みきっていなかったので、出ていくためにこっそり荷物を取りに行ったら泥棒と間違えられて素子に攻撃される始末…もちろん最後は成瀬川に許してもらって大団円ではあったのですが、お世辞にも良いクリスマスとは言えないような一日を過ごしていたのです。

今年の景太郎は完全にヒロインたちにも受け入れてもらっていたため、幸せにクリスマスを過ごせたようです。昨年は気まずくて参加できなかったクリスマスパーティにも最初から参加し、ヒロインたち全員にもクリスマスプレゼントを渡しています。ただ、この年も景太郎にとって最高のクリスマス…とは言い切れません。なぜなら景太郎はクリスマスパーティの後、むつみとキスをしているところを成瀬川に見られてしまうのです。この三角関係は一体どうなってしまうのか…!というところで、この巻のエピソードは終わってしまいました。続きは次巻に期待です。

まとめ

ラブひな単行本第6巻は、受験勉強よりも恋愛模様に焦点が合わせられたエピソード中心でした。正式に付き合っているというわけではない景太郎と成瀬川ですが、互いに好意を持っているのは確実なので、放っておけばカップルになっていたでしょう。しかし忘れかけていた「約束の女の子」の問題が再浮上し、むつみが現れたことで展開が読めなくなっていきます。瀬田さんが現れたときに似た展開ですが、最初から成瀬川を「可愛い後輩」くらいにしか考えていなかった瀬田さんと違い、むつみは景太郎に異性として好意を抱いています。これまでのラブひなのストーリーのなかで、最も本格的な三角関係が出来上がってしまったと言ってよいでしょう。

ただしこの騒動は、一度は候補から外れたと思われた成瀬川にも「約束の女の子」候補の可能性を感じさせる結果となりました。むつみが景太郎の幼馴染である証拠が見つかるほど、その場所には成瀬川も居たという結果になってきたのです。このあと、むつみと成瀬川のどちらが「約束の女の子」なのか、はたまた全く別の「約束の女の子」が存在しているのか…という謎が解けるまでにはまだ時間がかかりそうです。今のところ景太郎を含めた関係者が誰も真実を覚えていないので、どのように真実が明かされるのかも見ものです。

それにしても、6巻まで来ると景太郎はかなりモテモテになってしまいましたね。最初は変態扱いされてヒロインたちに蔑まれていた男が、今や一連の恋愛模様の中心人物です。ラブひなは、ヒロインたちの可愛さを楽しむ萌え系マンガであるのと同時に、景太郎の成長を眺める物語でもあります。東大合格を目指すなかで、景太郎はただ学力を上げるだけでなく人間的にも大きく成長していきます。恋愛は人を成長させるということでしょうか。次巻以降、男として一皮めくれた景太郎の姿にも要注目ですね。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

Pocket
LINEで送る