ラブひな 7

個性豊かな美少女たちの住む女子寮ひなた荘の管理人を務めながら、東大合格に向かって猛勉強を続ける青年、浦島 景太郎を主人公にしたラブコメの金字塔「ラブひな」。今回は、景太郎にとって4回目となる東大受験がいよいよ始まる単行本第7巻のレビューをさせていただきます。ラブひな7巻は、景太郎と成瀬川の関係にも大きな変化が訪れる節目の巻です。

前巻のラストは、景太郎がむつみとキスをしているのを見た成瀬川が走り出すシーンで終わってしまいました。いい感じに付き合い始めそうだった景太郎と成瀬川の関係は、このまま終わってしまうのでしょうか。景太郎もむつみが「約束の女の子」である可能性を知り、物語は核心に迫っていきます。

なんて設定だけ言うと、ドロドロした昼ドラのような展開を想像してしまいますが、実際にはいつも通りドタバタしたエピソードが繰り広げられます。景太郎はいつも通り優柔不断のダメ男のままですし、むつみも相変わらずマイペースですし、他のひなた荘の面々も賑やかに過ごしています。7巻で変わったのは、成瀬川の景太郎に対する態度なのですが…ここからは本編の感想でお話しましょう。

あらすじ

クリスマスの夜、むつみが景太郎にキスをしているのを目撃してしまった成瀬川。いつもの彼女なら怒るところですが、むつみが「約束の女の子」だと確信している成瀬川は、大人しく身を引く決断をします。泣きながら走り出す成瀬川を追いかけようとする景太郎でしたが、成瀬川が落としていった写真を見て、むつみが「約束の女の子」である可能性に気付きます。

優柔不断な景太郎はむつみのことを蔑ろにすることもできず、むつみを連れたままで成瀬川を追いかけはじめます。追いかけてきた景太郎を見てあきれる成瀬川でしたが、マイペースなむつみの協力で結局は仲直りすることに。もうすぐ東大試験の本番が控えていることもあり、「約束の女の子」については保留となります。

しかしひょんなことから、むつみが幼い日の出来事を全て思い出しました。むつみは幼い頃ひなた荘に住んでいた経験があり、しかもその場にいた景太郎と成瀬川のことも覚えているというのです。ところがなんと、むつみが「約束」したのは景太郎ではなく、成瀬川だと言い始めます。「約束の女の子」に関する新たな状況、この先に一体どのような真実が待ち構えているのでしょうか。

感想

もはや隠す気ゼロで景太郎に迫る成瀬川

ラブひな1巻では、景太郎のことをひなた荘から追い出そうとしていた成瀬川。しかし徐々に景太郎に好意を持ち始め、この7巻では誰がどう見てもベタ惚れというところまで来ています。「約束の女の子」の問題が片付いていないので正式に付き合っているわけではありませんが、景太郎が告白さえすれば一発OKは間違いないでしょう。真面目に勉強する景太郎にわざと素肌を見せつけて、反応が無いとショックを受けるほどになっています。

3巻の傷心旅行あたりから、いつ付き合ってもおかしくないという感じではありましたが、成瀬川のほうから惚れるというのは意外でした。景太郎はだいぶ序盤から成瀬川に好意を抱いていたので、てっきり景太郎側からアプローチをかけていくのだと思っていたのですが、ここへきて立場が逆転し始めました。むつみも相変わらず景太郎にベッタリとくっついていますが、それに対しても成瀬川は焼きもちを焼いている描写が見られます。他のメンバーも景太郎の気を引こうと試行錯誤してますし、いつの間にやら景太郎はモテ男になってしまいましたね。

7巻には、景太郎がひなた荘にやってきてから2回目のバレンタインのエピソードも収録されています。昨年のバレンタインでは景太郎に義理チョコをあげていた成瀬川ですが、今回は景太郎のために手作りの本命チョコを作っています。前巻まではまだ景太郎に対する好意を隠していた成瀬川でしたが、7巻以降はほとんどその好意を隠せていません。そんな2人のことを、ヒロインのひとりであるキツネも「悔しいけどお似合いのカップル」と評しています。成瀬川の景太郎に対する想いは、やっぱり作中でもバレバレな様子です。

むつみがとうとう真実を思い出す!でも相手は景太郎ではなく…

7巻で最も衝撃的だったのは、むつみが「約束」について思い出したシーンでしょう。傷心旅行中のフェリーで再会したときには景太郎と成瀬川ことを全く覚えていなかったむつみでしたが、ここへきて全ての真実を思い出します。実はむつみは幼い頃ひなた荘に住んでいた経験があったらしく、例の「約束」の場には景太郎と成瀬川の姿もあったというのです。この発言に、探し求めていた「約束の女の子」の正体がむつみであると確信した景太郎。そして成瀬川は、幼い頃から将来を誓い合っていた2人のために身を引こうと決心します。

ところが、むつみの「約束」の相手は景太郎ではありませんでした。確かにむつみが東大に行く約束をした場面には景太郎も居ましたが、むつみが「約束」したのは景太郎ではなく、なんと成瀬川のほうだと言うのです。むつみいわく、景太郎が言う「約束の女の子」はむつみとは別にいて、その子は当時景太郎が好きだった女の子だといいます。全てを思い出したむつみが真実を語るところは7巻でも最重要シーンなので、詳しい説明は実際に読んでいただきたいと思います。

「約束の女の子」がむつみではないと知った景太郎は、成瀬川こそが本物の「約束の女の子」だと考えるようになります。ここ最近景太郎に好意を抱き続けてきた成瀬川のほうも、自分が「約束の女の子」なのではないかと考え始めたようです。当時2歳の女の子がどうやってそんな難しい約束をしたのかという謎は残っていますが、これで一気に成瀬川が「約束の女の子」候補の最有力に躍り出ました。少なくとも、2人の男女としての関係は一気に進展したように見えます。

幸せボケの景太郎がとんでもない大失態を演じる

成瀬川が「約束の女の子」だと確信した景太郎は、気力に満ちたまま東大2次試験の本番を迎えます。景太郎は試験開始と同時に問題を一通り確認していくと、ほとんどの問題を解けるようになっている自分に気付きました。東大合格を確信した景太郎は、あまりの嬉しさから合格した後の未来を想像して勝手に盛り上がってしまいます。しかし調子に乗ってしまったせいか、はたまた日々の勉強の疲れからか、景太郎は試験中にそのまま眠りこけてしまいました。

景太郎が目を覚ましたのはなんと試験終了の5分前。気が付いた時にはもう遅く、景太郎の解答用紙は真っ白のままでした。…というところで、この巻のエピソードは終わりです。せっかく成瀬川と1年間勉強を続けてきた割には、あまりにもあっけない幕切れでした。ちなみにこの後、成瀬川とむつみがそろって景太郎を迎えにくるのですが、試験会場から景太郎の姿は消えています。昨年の受験で不合格になったあとも景太郎は行方不明になっているので、きっと昨年同様、みんなに合わせる顔が無いと考えて逃げたのでしょう。

景太郎は居なくなってしまいましたが、むつみが試験会場に残された景太郎の解答用紙を発見しています。その内容が明かされていないので、わずか5分で全ての問題に答えられたのかどうかはまだ分かりません。成瀬川とむつみの2人は良い結果を残せているようですが、この流れだと景太郎だけが不合格になってしまいそうです。一体どうなってしまうのか…ここから先は次巻の結果発表でのお楽しみです。それにしても景太郎はどこに行ってしまったのでしょうか。

まとめ

作中2回目の東大受験本番が収録されたラブひな単行本第7巻、なかなかの読み応えでした。景太郎と成瀬川の関係、「約束の女の子」の正体、東大受験と、様々な展開がこの巻で一気に進展を迎えています。特に、今回の東大受験の合否は今後の展開を左右する大きな要素となりそうです。どう見ても芳しい試験結果とは言えそうにない景太郎ですが、ここで不合格になればせっかく親密になった成瀬川とも疎遠になりかねません。「妄想にふけってたら試験中に寝てしまった」という理由を考えれば、疎遠になるのも自業自得といった感じですが…

それにしても、この巻に収録されているエピソードは、景太郎にとって幸せの絶頂から不幸のどん底までの落差が激しいですね。探し求めていた「約束の女の子」が意中の成瀬川かもしれないと知り、このまま合格すれば学生結婚もあり得る…!という場面からの解答用紙真っ白。もしも自分が同じ状況だったら…と考えると、失踪してしまう気持ちも十分にわかります。むしろ、無事でいるのかが本気で心配になる展開です。今までの巻と比べても、7巻のラストシーンには不穏な空気が漂っていたと感じました。

少しだけ次巻のネタバレになってしまいますが、景太郎は一応生きています。昨年の東大試験に落ちたときも日本各地を飛び回った景太郎のことですから、どこか遠くへ行ったのだろうということは想定の範囲内ですね。しかし、前回とはケタの違う失態を演じてしまった景太郎は、これまた前回とはケタの違う失踪劇を演じることになるのです。ただ、この失踪劇がこれからの景太郎の人生に大きな影響を与えることになります。傷心の景太郎が一体何をやらかしてしまうのかは、ラブひな単行本第8巻を読んでみてのお楽しみということで。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9