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水泳の授業以外でもスクール水着の着用が必須という、ブラック校則も真っ青な学校が舞台の4コママンガ『JKすぷらっしゅ!』。6月27日に、完結巻となる2巻が発売されました。

作者の春雨先生は、『こみっくがーるず』のTwitter企画「日刊こみっくがーるず」も担当されていたので、絵柄に見覚えのある方もいるのではないでしょうか。そこに抜擢されるくらいなので、本作の連載もしばらくは続くと思っていたのですが……。かなしい。

あまりにも奇抜なその設定から、読者に「きららMAXのやべーやつ」と呼ばれたりもしていましたが、決してネタ一辺倒の作品ではありません。むしろ、同性の相手を好きになってしまった女の子たちの心情が丁寧に描かれた、純度の高い百合マンガなのです。

あらすじ

貯水池のほとりに建つ鮮水(あざみ)高校では、水にかかわるイベントが多いという理由から、スクール水着の常時着用が校則で定められています。恥じらいもなく水着姿で校内、はてには町中を歩きまわる生徒たちに、転校生の汐女かなた(しおのめ・かなた)はタジタジ。

おまけにかなたはカナヅチで、水の中に入ることもままなりません。クラスメイトの瑠璃町澪花(るりまち・れいか)たちの助けも借りながら、少しずつ水に対する恐怖心を克服していきます。

そして、入れ替わるようにかなたの心に芽生えたのは、いつも自分を支えてくれる澪花への「好き」という気持ちでした。好きって、友達として? それとも――。はじけてあふれ出した、かなたの想いの行き先やいかに。

感想

スク水が制服だから恥ずかしくない?恥ずかしいわ!

『JKすぷらっしゅ!』という作品を語る上で欠かせない要素が、水着。読者サービスとして水着回が差し込まれるのはマンガではよくありますが、本作は全エピソードが水着回です。むしろ、比較的水着の出番が少ない私服回の方が貴重かも。

各キャラの水着の着こなしも様々で、かなたのように制服の下に身につけている生徒から、澪花のように制服なしで水着だけの生徒まで……。鮮水高校の服装規定では、制服よりも水着の優先度が高いので、それでも許されるみたいです。

さらに2巻では、銀髪×褐色×白スクと三拍子(?)揃った、風紀委員長の浜繰沓子(はまぐり・とうこ)先輩が登場します。褐色好きの自分としては、彼女のビジュアルはどストライク。公衆の面前でイチャつくかなたと澪花を風紀違反だと注意しますが、「おまいう」とツッコミを喰らったのは言うまでもありません。

かなたに降り注ぐ恋の試練

かなたが泳げないのは、冷たい水に対する恐怖心も理由のひとつでした。そこで澪花は、泳ぐ前にかなたに水をかけることで水に慣れさせようとするのですが……、その様子がどう見ても事案。浜繰先輩じゃなくても取り締まりたくなります。

そんなスキンシップを繰り返すうち、かなたが澪花への恋心を自覚するようになっていったのは前述の通り。2巻では、水に慣れるためというのは口実で、ただ澪花と抱き合うのが目的になっているような気も……。

しかし、恋に障害はつきものとはよく言ったもので、かなたにも様々な受難が降りかかります。トイレに行きたいのにロッカーに閉じ込められたり、催眠術をかけられてスク水一丁で登校するハメになったり。トラブルに巻き込まれて涙目になった、加虐心を煽られるかなたの表情も、本作の見どころです。

女の子が女の子を好きになって、何がいけない?

特訓の成果もあり、かなたはその気になればひとりでも泳げるようになりました。友達の成長を喜ぶ澪花でしたが、同時に湧き起こる、モヤモヤとした感情……。澪花にとっても、かなたとのスキンシップの時間は、いつしかかけがえのないものになっていたのです。

本作の素晴らしいところは、女の子を好きになってしまった女の子の揺れ動く心を、正面から描ききったことでしょう。女子校だから女の子を好きになって当然とか、きららの4コマだから女の子がイチャイチャして当然といった理由で片づけていないんですよね。

女の子同士の恋愛は、周囲の目も厳しいし、相手に受け入れてもらえるとも限らない。かなたと澪花は、お互いにそれを自覚し、だからこそ悩み、そして、ひとつの答えにたどりつきます。本作を読み終えたとき、あなたは必ずこうつぶやくでしょう。尊い――と。

まとめ

  • スクール水着の常時着用が義務という、ぶっ飛んだ設定
  • 恥ずかしがるかなたと、水着姿で平然と歩きまわる生徒たちのギャップ
  • だけど、ストーリーは混じりっけなしの純愛百合もの。尊い。

『JKすぷらっしゅ!』は、一見するとお色気重視のギャグ4コマのように見えますが、百合マンガとしても非常に完成度の高い作品に仕上がっています。

「水に関する行事が多いからってずっと水着を着ている必要はないだろ」と、野暮なツッコミを入れたくなるのも序盤だけ。次第に読者もかなたのように感覚が麻痺していき、水着を着るのは当たり前だよね……と、作中の世界観にどっぷりと浸かってしまうのです。

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4コマ好きのフリーライター。萌えかどうかを問わず、4コマなら何でも読みます。個人ブログ「まっしろライター」では、新刊コミックスの発売日前レビューも更新中。

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