『吸血鬼すぐ死ぬ』の10巻が発売されました。タイトル出オチマンガと言われたのも遠い昔、今や名実ともに「週刊少年チャンピオン」を支えるギャグマンガとなっています。
連載が始まった時期(2015年)を見ても、チャンピオンの作品の中では古い部類に入るんですよね。本作より前から続いているのは、「刃牙」シリーズや『弱虫ペダル』など数えるほどしかありません。9巻のレビューでは半分冗談で書きましたが、本格的にアニメ化の話が出てきてもおかしくない頃合いではないでしょうか。
9巻のレビューに引き続き、今回もヒロインの活躍シーンを中心にご紹介していきたいと思います。特に出番が多かったのは、男女問わず人気がある”あのキャラ”です。乞うご期待! ……まあ、伏せても表紙でバレバレなのですが。
あらすじ
9巻はオータム書店関連のエピソードが多かったですが、10巻はロナルドの事務所でパーティを開いたり、吸血鬼と退治人の戦いが描かれたりと、原点回帰に近いお話が目立ちました。
そんな中、ロナルドたちと敵対する元・退治人の新キャラが現れたりと、今までにはなかった展開も。従来の良いところはそのままに、マンネリにならないよう常に新しいネタも取り入れ続けるあたりに、盆ノ木先生の実力の高さを感じます。
……と、それっぽく書いてみたものの、「吸死」ほど「あらすじ」が書きにくいマンガもないですね。基本的に1話完結で、どのエピソードもカオスすぎるので。ひとつだけはっきり言えるのは、9巻までを読んできた方なら、10巻も間違いなく楽しめますということです。
感想
表紙でも本編でも、マリアさんが大活躍!
引用元:吸血鬼すぐ死ぬ(10)、盆ノ木至、秋田書店、Kindke版、p43
記念すべき10巻の表紙を飾ったのは、主人公のドラルクやロナルドではなく、なんとマリアさんでした。女性キャラの中では、ヒナイチとサンズに続いて3人目の抜擢です。
単純な登場回数はこのふたりに譲るものの、1巻のころから安定して出番があるのがマリアさんの特徴。10巻にも、彼女のメイン回が収録されていました。巨大化したメスのダチョウを駆除する役割で、これまであまり描かれてこなかった「マタギ」としてのマリアさんの勇姿が拝めます。
冷静に考えると、吸血鬼退治人でシスターでマタギと属性盛りまくりなのですが、あまり違和感を感じないのは彼女の懐の深さゆえでしょうか。実を言うと私、ヒロインの中では半田あけみさん推しだったのですが、今巻の活躍でマリアさんも良いなと思えてきました。……どうしましょう?(聞かれても)
吸血鬼を従える元・退治人。その名はタビコ
引用元:吸血鬼すぐ死ぬ(10)、盆ノ木至、秋田書店、Kindke版、p17
あらすじにも書いた通り、10巻では元・退治人の女性がロナルドたちの敵として立ちはだかるという、今までにない展開が繰り広げられました。9巻の嘘予告に描かれていたキャラだといえば、ピンと来る方もいるかもしれません。
その女性「タビコ」は、吸血鬼たちのとある弱点を執拗に狙い、弱った姿を見て楽しむという、サディスティックな嗜好の持ち主。その弱点とは……、靴下を奪うこと。お前は何を言っているんだという感じですが、実際にある言い伝えらしいです。吸血鬼って、アホみたいな弱点多すぎですよね。そりゃすぐ死にますわ。
ちなみに、10巻の巻末にはタビコと、彼女に退治されてこき使われている吸血鬼「ヴェントルー」の描きおろしエピソードも収録されています。「吸死」では珍しくラブコメ(?)風味の内容になっているので、こちらもぜひご確認ください。
女子会の参加メンバーはかわいい子ばかり!あるひとりを除いて……
引用元:吸血鬼すぐ死ぬ(10)、盆ノ木至、秋田書店、Kindke版、p30
男性キャラの出番が多めなのは10巻でも変わらずですが、登場キャラのほぼ全員が女性という夢のようなエピソードも1話だけ収録されています。第111死の、その名も「女子会潜入大作戦♥」。タイトルだけで胸が高鳴りますね。
内容はだいたい想像できる通り、ヒナイチ、マリアさん、ター・チャン、コユキの4名が親睦を深めるために女子会を開くというもの。サンズが呼ばれていないのは、ヒナイチ以外のキャラと面識がないからでしょうか。逆に、引用画像にはなぜかドラルクが映っていますが、その理由は単行本でのお楽しみに。
また、別のエピソードでは、とある事件がきっかけでドラルク以外のキャラがみんな子どもになってしまいます。ヒロインたちは今でも充分すぎるくらいかわいいのに、その子ども時代の愛らしさたるや……。こちらも要チェックですよ。
【おまけ】ヒロインの登場コマ数ランキング
特集記事、9巻のレビュー記事のときと同様、今回もヒロインの登場コマ数を数えてみました。なお、9巻では最も出番が多かったサンズは10巻には登場しなかったため、代わりにタビコを集計対象に入れています。
- 1位:マリア(66コマ、約9.0%)
- 2位:ター・チャン(34コマ、約4.6%)
- 3位:タビコ(31コマ、約4.2%)
- 4位:ヒナイチ(30コマ、約4.1%)
- 5位:コユキ(18コマ、約2.5%)
- 6位:アルコ(2コマ、約0.3%)
- 7位:半田あけみ(1コマ、約0.1%)
- 【参考】ドラルクが死んだ回数:20回
10巻はやはり、マリアさんが堂々の1位でした。表紙に抜擢されたのも納得ですね。ター・チャンも、巻数別に見ると今までで一番登場コマ数が多い巻となっています。
まとめ
- マリアさんづくしの第10巻
- 新しいタイプの女性キャラ・タビコの今後にも期待
- 女子会エピソードは必見!
- やっぱりドラルクはすぐ死ぬ(これまでに比べればあまり死んでない)
そんなわけで、10巻もギャグは面白い、ヒロインはかわいいと大満足の内容でした。
週刊連載で、1話完結のギャグマンガを描く大変さは想像に余りありますが、これからも変わらない面白さを提供し続けてくれることと思います。そして、ゆくゆくはアニメ化を……。

4コマ好きのフリーライター。萌えかどうかを問わず、4コマなら何でも読みます。個人ブログ「まっしろライター」では、新刊コミックスの発売日前レビューも更新中。