俺とヒーローと魔法少女(1) (ポラリスCOMICS)

「俺とヒーローと魔法少女」は憧れのヒーローになったはずが、変身後の姿が明らかに魔法少女というアラサー男子の心の葛藤と戦いを描くコメディー漫画です。変身後のかわいらしさは敵であるはずの怪人が攻撃を躊躇するほどです。

むさい革ジャンの男が変身すると可憐な魔法少女になるというギャップだけでなく、実際そんなやつがいたらヤバイことこの上ないというコメディが物語の根本にあります。変身している時はよいものの、変身の前後を見られると確実に不審者です。

では、ヒーローを辞めればどうなるかといえば、怪人が世間を騒がせるのを見過ごすことになります。他にもヒーローがいるものの、他人任せには出来ない。その正義感が主人公を悲劇とコメディーの渦へ導いていくのです。

あらすじ

主人公の十文字ハヤトは悪と戦うヒーローに憧れ続け、念願かなってヒーローになることができます。しかし、彼は1週間でその力を手放す決意をします。なぜなら変身すると身長が低くなり、声もかわいくなり、手を振るたびに星と効果音がでる魔法少女になってしまうからです。

すぐにでもヒーローをやめたいはずなのに、持ち前の正義感から事件が起きるたびに駆けつけてしまうハヤト。そして、変身する度に幼女に魔法少女の格好をさせる危ないやつ、ふりふりした格好に変身するお兄さんなど、不名誉なレッテルが増えていくのです。

心の葛藤と戦いながらなし崩し的に戦うものの、女子高生ヒーローの出まちをしているストーカー男に邪魔されたり、本物の女子高生ヒーローに女の子と間違われたりと波乱の連続。はたして主人公は町内の平和と自分の体裁を守ることができるのでしょうか。

感想

見た目のとのギャップが秀逸な変身ヒーローコメディー

本を手にして最初に思うのが、革ジャンの筋肉質の男が魔法少女に変身するというギャップです。ハヤトは正義のヒーローにあこがれていただけあり、体を鍛えこんでいます。変身すると見た目も声もかわいらしい魔法少女になってしまうのだから恐ろしい破壊力があります。魔法少女の姿であるルミナス・ガールのデザインが秀逸なため、なおさら腹がよじれます。しかも戦闘方法はバリバリの格闘戦で、魔法(物理)を使う形になっており、いろんな意味でお約束を裏切り続けるのです。

ポイントになるのが、スーリーが進行する中で衣装が改良されていくことです。これは、怪人にスカートめくりを仕掛けられた結果、中のパンツを見られるという失態を犯したためであり、改良後はドロワーズを履くことになります。ドロワーズを履くようになってからは身体能力を生かした空中戦を見せるようになり、地味に戦闘にも生かしているのが特徴です。ただし、戦闘に慣れればなれるほど、自分の存在に対する悩みは深くなります。そのため、コメディーとしか言いようが無い状態になってしまうのです。

1巻には変身アイテムが壊れてしまい、変身した姿から戻れなくなる話も収録されています。ロリから戻れなくなるだけでなく、知り合いのおばあちゃんに服をひん剥かれて強制的にお風呂に入らせられるなど悲劇的な展開が待ち構えています。自分の体とはいえ、幼女の裸を見てしまうことでハヤトの心は深く傷つくのです。ハヤトは変態なのか、そうでないのかは読者の気持ちにかかっています。同情的に考える人と、うらやましいと思う人で分かれる可能性が高いといえます。

怪人も住民も変人ばかりなのがポイント

魔法少女ルミナス・ガールに敵対する怪人はあくが強いキャラばかりになっています。悪の組織は登場するものの、1巻時点では様々なものを怪人化させる光線を使って怪人を作るだけで、その後の活動には関わっていないのも特徴です。そのため、刺身にされそうなところで怪人か光線をあびて人間に復習を誓うマグロ怪人など、どこか憎めないキャラばかり出てくるのです。あまり凶悪そうなことができない敵も多く、物語が深刻にならない原因の一つになっています。

怪人が変であれば、住民も変です。とくに怪人の発生の現場に真っ先に駆けつけ、ヒーローの邪魔をし、女子高生ヒーローの出まちをしている厄介な男なども出てきます。理由は女子高生ヒーローに助けられて一目ぼれし、名前だけでも聞いておきたいからです。そのためには手段を選ばず行動するため、下手な怪人よりもよっぽど悪質になっています。見た目がイケメンなだけに残念具合もひどいのが特徴で、様々な意味でギャップを利用しているのです。

ヒーローに変身するアイテムを開発している人たちも変人ぞろいです。ハヤトの友人のヒーロードライバー開発者は口が悪く、もともとの開発者であるおじいちゃんは方言が強すぎて意思疎通が難しくなっています。また、おばあちゃんは方言が強いだけでなく、思い込みで行動するところがあります。しかも、おばあちゃんはヒーロードライバーの利用者でもあります。変身後のギャップはすさまじく、貴重なお色気担当要員になってしまいます。

ちゃんとかわいい女の子も登場します

数々のイメージを裏切るギャップで責めてくる本作ですが、ちゃんとかわいい女の子も登場します。ルミナス・ガールと女子高生ヒーローが本作の萌え要素をつかさどる存在ですが、片方は中身がおっさんです。対して、女子高生ヒーローは変身をといた素の姿もかわいらしくなっています。ボーイッシュで活動的な部分があるものの、セーラー服を着たしっかりとした女の子なのです。2巻以降はハヤトと彼女の関係性がどうなるかも注目のポイントです。

出てくる怪人が怪人たちなので、女子のスカートをめくろうとする怪人が頻出するのも特徴です。当然、女子高生ヒーローのスカートも狙われます。ぎりぎりの攻防になることはあるもののサービスカットは少なめです。お色気シーンは少なめなので、あくまで健康的脚線美などで我慢してください。ただし、衣装デザインは旨を強調するものであり、ロシュ度もそこそこあります。普段の制服姿とあわせてギャップは楽しめる仕様になっています。

ちなみに、女子高生ヒーロー以外の萌え要素は、ルミナス・ガールがアクションを起こすたびに画面に星をちりばめることです。とにかくキラキラしています。そして、ハヤトは泣きながら戦っている事も多いのです。男のプライドは常にずたずたにされることが多く、素の自分に戻ったときは幼女趣味の怪しいおっさんとして生きなければならなくなるのです。変身時に自動で衣装が選択され、実はいちごパンツをはいていることが発覚するなど変身は以下に代償が大きいか痛感することも多いのがポイントです。

まとめ

「俺とヒーローと魔法少女」は一筋縄ではいかない萌え作品です。女装物の作品が増え、性別のボーダーを越えるキャラクターは数多くなっているものの、明らかなおっさんが美少女に変身するのは移植です。しかも、キャラデザも含めて秀逸なだけでなく、アクション時の演出もこっています。見た目と中身のギャップが激しくなっており、萌えよりも笑いを感じる人も多いのです。主人公に不憫萌えを見出せるかで作品の楽しみ方が変わるのも特徴と言えます。

ヒロイン成分の不足は女子高生ヒーローが補う形になっており、体のラインが強調される衣装デザインに激しいアクションなど見所も多くなっています。戦う敵との関係上、スカートを狙われたりするのもポイントです。りりしい印象の変身姿と、ボーイッシュながらかわいらしさを兼ね備えた変身前の姿のギャップも楽しみたいポイントで、漫画全体を通してギャップをうまく利用していることがわかります。一方で、主人公という前例があるため、登場するキャラの正体がまったく読めないのも特徴になっています。

連載は今でも続いており、最新刊は5巻になっています。1巻時点では主人公とヒロインの出会いまでの話であり、主人公の葛藤がメインです。葛藤を見る読者からすれば笑い事になってしまうのも特徴で、萌え作品でも特に笑いに特化した漫画となっています。魔法少女とタイトルに入ってはいるものの、魔法を使うシーンは存在せず、特に特殊能力として設定されているわけでもない点には注意が必要です。基本装備はこぶしで、肉弾派の魔法少女なのです。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9