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姉なるもの1 (電撃コミックスNEXT)

『姉なるもの』1巻は幼くして家族をなくした少年が悪魔のような何かと契約を行い、家族のように暮らすことになるホームドラマです。オカルトとホラー要素を混ぜつつもあくまで女性性を追求した『姉』が登場するのが特徴の作品です。

ホラー神話として確立されているクトゥルフ神話をモチーフにしたキャラクターが登場し、物語の端々に不吉な未来を予感させる言葉が並べられているのもポイントです。田舎の牧歌的な暮らしや姉との幸せで少しエッチな生活の先には破滅的な未来があるのではと読者の不安をかき立てる構成になっています。

もともとクトゥルフ系の悪魔とも邪神ともいえる存在が姉になってしまうため、人間との価値観のズレがコメディ要素として折りこめられています。妖艶な姉の存在とラッキースケベ率の高さも特徴で、読者を引き込むポイントになっています。

あらすじ

主人公の少年夕は、幼いころに両親をなくし、親戚の間をたらいまわしにされる生活を続けていました。ある日、同居を始めたばかりのおじが倒れてしまい、入院手続きのために必要な保険証を探し、入るなときつく言われていた蔵に入ることになってしまいます。そこで出合ったのは異形の美女で、悪魔とも呼べる存在でした。夕は大事なものと引き換えに契約を迫られることになります。

夕の願いは家族が、姉が欲しいというものであり、異形の美女はその願いをかなえる事になります。こうして悪魔は夕の姉となり、一緒に家族を演じることになるのです。一緒に暮らすことになるものの、姉となった悪魔『千夜』は人間の常識を知らないため様々なトラブルを引き起こすことになります。

トラブルに巻き込まれ、振り回されながらも距離を縮めていく夕と千夜ですが、おじが退院したら生活が破綻する可能性があると言う危うい状況でもあります。二人の関係がどう変化し、どのような結末を迎えるかが注目される作品です。

感想

姉である千夜のセクシーシーンが満載

もともとホラー神話の悪魔とも邪神とも言える存在である千夜ですが、まず夕の願いをかなえることを最優先に行動するようになります。表紙にも描かれているように黒髪巨乳の美女であり、悪魔としての姿はかなり露出度が高めになっています。それだけでなく、人間の常識が無いのもポイントになります。人間にしっかり化けていることを証明するために夕に裸を見せ、心臓の鼓動を確認させるなどラッキースケベに繋がるシーンが非常に多くなっているのです。

セクシーシーンの多さは『姉なるもの』の見所の一つです。元が悪魔なのでわざとやっているのではないかと疑いたくなるシーンのオンパレードですが、裏表無く行動しているように見えるのもポイントになっています。そもそも人間の羞恥心に当たる感情がなく、感覚のズレがコメディー要素になっているのです。コメディ要素を盛り込むことで、思春期の少年である夕の暴走を抑えつつ、下品になりすぎることを防いでいる部分もあります。なかなかに戦略的なエロ表現なのです。

ぬれた服などのフェチズム的な表現や、巨乳を生かした柔らかな肌の描写が多いのも特徴です。主要な登場人物は夕と千夜、おじくらいで、他の登場人物はほぼ出てこないため自然と目立つ形になります。千夜はスタイルがよく見える服を好んで着るためさりげなくたっているだけでも目立ちます。清楚系の服も多いので、余計にギャップが出てしまうこともあります。さりげなく瞳にハートマークがかかれていたりとかわいらしさを押し出すシーンも出てくるため、萌えの要素のほぼ全てを一人で供給するパワーがあるのです。

無邪気さと母性が同居する精神性にやられる

千夜の魅力はそのスタイルのよさだけでなく、母性を感じさせる懐の深さと子供のような無邪気さにあります。夕がしたい事は積極的に受け入れるだけでなく、害を与える可能性がある対象は実力を持って排除しようとします。か弱い弟を守る姉をそのまま描いたような存在となっており、若干過保護な面が目立つほどです。姉としての属性だけでなく母性を見出す人も多いはずです。また、夕を受け止める際には胸で物理的に受け止めることが多いのもポイントです。

偏った価値観の世界で生きていたため、人を喜ばせると言う感情や、愛されると言う感覚を知らない点もポイントです。自分が知らない新鮮な感情や価値観を知った際は無邪気に感情表現をしていて、とても元が悪魔だと思えなくなるほどです。普段は省エネな部分が目立つものの、夕が絡んだときは非常に積極的に行動を始めるのもポイントです。まさに世界の中心が夕であるかのような振る舞いに、乙女の部分を見出す人もいるはずです。母性と少女性の両立が非常に良いバランスで取れているのです。

千夜の感情の起伏は物語の鍵にもなってきます。もともと夕と千夜は契約と言う形で結ばれた関係であり、千夜の気分次第でいつ契約が終了と認識されるかわからないためです。物語がハッピーエンドを迎えるためには千夜の感情と価値観の変化が不可欠となります。千夜がどのように変化していくかで物語の結末が大きく変わってくる可能性があるのです。ホラー神話としての存在をそのまま体現した場合はハッピーエンドはあり得ないからこそ、注目が集まる部分なのです。

先の展開が全く読めないのもポイントに

『姉なるもの』というタイトルは、それ自体がクトゥルー神話をモチーフにしてつけられており、不吉な響きを持っています。クトゥルー神話は基本的にハッピーエンドが存在せず、人間は発狂するか死ぬか、それよりもひどい目にあうしかないからです。コメディー要素が強い作品も生まれていますが、もともとのネタは非常にグロテスクなホラーになっています。物語の端々にも二人の関係がいつか終わることを臭わせるモノローグがちりばめられているのもポイントです。

不吉なモノローグがあるからこそ、幸せなシーンがより鮮明になると言うのもポイントです。また、千夜の無邪気さが際立つポイントにもなっていて、あざといともいえるようなかわいらしさをアピールシーンも存在します。例えば目にハートマークが浮いているなど、感情表現が非常にストレートに出ているからです。これだけの好意を向けているのに不吉な結末に至ることがあり得るのかと、読者自身に疑わせる効果が高くなっています。計算には見えないからこそ、余計に結末が気になるのです。

姉になる契約の対価に求められた『大事なもの』が何なのか明言されていないのも気になる部分です。おそらく今後の伏線であり、どのような形で回収されるかが想定できないのです。もともと家族をなくし、大事なものといえるようなものを持っていない夕だからこそ、何が『大事なもの』に該当するかもわからないのもポイントです。千夜の存在とは裏腹に、物語のスケールは家の中と言う非常に狭い範囲で落ち着いています。だからこそ、どのような展開を迎えていくのか想像することができないのです。

まとめ

『姉なるもの』はホラー神話をベースにホームドラマに仕立てると言う異色の作品であり、コメディ要素よりも家族の絆や関係性を前面に押し出しています。ラッキースケベをはじめとするエロ表現はあるものの、根本に流れるテーマは非常に繊細なものになっているのです。だからこそ先が気になる作品であり、ただお姉ちゃんがかわいいだけで終わらない漫画になっているのです。もちろん、純粋に千夜のかわいらしさやセクシーさを楽しむ事もできるため、人によって楽しみ方が分かれる作品でもあるのです。

雑誌ではなくWeb連載で描かれる漫画のため、次にいつ単行本が出るかがわからないのもポイントです。2016年末に単行本1巻が販売されてから増刷を重ねている状態で、現在は徐々に人気が高まり、注目を集めている段階と言えます。しかし、Web上では最新話と1話しか読むことができないため、一般的な週刊誌の漫画や月刊誌の漫画よりも忍耐強く待たなければならない状態になっているのです。ファンになってしまったら後は待つだけになってしまいます。

邪神で悪魔で姉に触手と属性もてんこ盛りになっています。母性を感じたい人にもオススメですが、1巻時点では貧乳キャラもロリキャラも出てきません。萌え漫画にキャラクターのバリエーションを求める人には若干不向きな部分があります。次々と邪神美少女が現れてハーレム状態になったりはしないのです。また、主人公の夕は積極的にエロにチャレンジしていくような積極性のある子ではないのもポイントです。あくまで受身なのです。『攻め』の姿勢が好きな人にも合わない可能性があるため、ご注意ください。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

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