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表紙を見て絵が好みだった事と、「将来的に死んでくれ」というタイトルの過激で意味深な感じやミスマッチさが読もうと思った切っ掛けです。表紙を見るとショートカットの女子がセミロングの女子の胸元に何か入れているようです。

どうやら胸元にお金を入れているようです。なぜ女子同士でそんな事をしているかというのは表紙をめくればすぐに分かります。表紙の絵から百合っぽい感じの漫画かなと想像できますが、そんなホノボノとした作品ではありません。

厳密に言うと百合ではないのかもしれませんが、その話は置いておきましょう。本作は百合っぽい部分もありつつ、無駄の無い描写から繰り出されるスピーディーな展開が魅力です。百合ありギャグあり諭吉ありの絶妙な世界観に、あなたはついて来られるでしょうか。

あらすじ

「10万円用意したからヤらせて」唐突にそう言う菱川、対する小槙は冷静に断ります。泣き崩れながらデートくらいさせてと頼む菱川、また断られるかと思いきや、遊びに行くようなもんだろということで意外にもあっさりOKが出ます。

私と寝れば一晩で10万だからバイトをするよりもお得。謎の営業をかける菱川を慣れた様子で躱す小槙ですが、一人盛り上がったままの菱川に疑問を投げかけます。「私が処女じゃなかったらどうするわけ」その瞬間、菱川の心が死にました。

小槙の弟の槙介が学校に突撃してきます。姉に傘を届けに来たそうで、その容姿は姉である小槙にそっくり。色々あって槙介と相合傘で帰る事になった菱川。その帰り道に意外にも槙介から大好きだと言われます。仲良しの証として菱川が槙介に渡そうとしたものは・・・。

感想

新感覚百合漫画?諭吉の力で愛は手に入るのか!?

百合だ百合だと言っていますが、この作品に関しては少し違うのかもしれません。百合と言って想像するのは相思相愛でお互いにイチャイチャしていてホノボノとした雰囲気でしょう。しかし、この作品はそのような雰囲気は一切ありません。特に重要なストリーラインや現実的な日常感がある作品でもないのでコメディという訳でもありません。じゃあ一体どんな作品なのかと聞かれると、百合の皮を被ったギャグ漫画というのが一番しっくりときます。

その土台の上でどんな展開があるのかというと、ある日同性愛に目覚めた菱川が、クールな女子高生の小槙にひたすら求愛するだけです。求愛といっても綺麗なものではなく、事ある毎に万札を出して小槙を買おうとします。女同士で、しかも友達を買おうとしているので、菱川は筋金入りの変態で馬鹿なのです。小槙は一見するとクールな女子高生で常識人っぽいのですが、菱川の馬鹿な遊びに付き合ったり天然ボケをかましたりするので、ちょっと残念系なニオイがします。

何かにつけて諭吉を繰り出す菱川なので、生々しく引いてしまう展開になるかと思いきや、ギャグテイストなのと、菱川が常にフルスロットルで突き抜けていて全くブレないところから、変な生々しさはありません。同性愛や日常系などの作品は今の世の中に溢れかえっています。この作品はそれらのジャンルに当てはまりそうで当てはまらないといった新しさがあるのです。少なくとも私は今までに友達に売春を持ちかける女子高生を見たことがありません。

合わない人は1話でギブ、合う人は次の巻が待ち遠しい

上記したように、この作品はかなり尖っていて人を選ぶので、早々にギブアップしてしまう人もかなりいると予想できます。ギブアップの原因はキャラクターへの嫌悪感や絵柄が合わないなどではなく、話のマンネリでしょう。表紙をめくったらいきなり売春を持ちかけているという衝撃的な始まり方で、見事な出オチと言えます。この出オチの部分をずっとやり続ける事で様式美的なクセになる笑いになっているのだと思いますが、それが良い部分でもあり悪い部分でもあるのです。

そのオチの部分にたどり着くまでのやり取りは毎回違うのですが、そこまでパンチ力のある展開とも言えません。独特のワールドで謎のセンスがあるギャグという訳でもないので、一度見れば十分で同じボケはいらないというタイプの人が読み続ける事は困難でしょう。しかしページを閉じる前に菱川の表情に注目してみて下さい。菱川は変態で馬鹿だと言いましたが、彼女の魅力はそこだけではありません。小槙の前で見せる満面の笑みや必死な表情、想い敗れた時の泣き顔など、多彩な表情が彼女の一番の魅力なのです。

もちろん小槙にも独自の魅力があります。あざとくカーディガンで萌え袖気味になっている菱川に対して、小槙は体操服のジャージを着用しています。スカートの下に短パンを履いているのも表紙から確認できるので、イモっぽさが抜けない田舎の女子高生スタイル、菱川は都会の女子高生スタイルと違った可愛さを味わえます。小槙は菱川に対して性的な愛情は無いものの、友情は感じているようで、邪険にしつつもしっかりと構ってあげる優しさを持っているので、ギャグに飽きてもそういった部分でニヤニヤできるのではないでしょうか。

メイン2人しか出てこないのかと思いきやそんな事もなく

始まりが強烈だったのでずっと2人で展開していくのかと思いましたが、そんな事はなくサブキャラも登場します。菱川と小槙のクラスメイトで友達の沙弥ですが、彼女はちゃんとした常識人のようですね。ちょっとだけ垢抜けた感じの眼鏡っ娘な見た目なので二人とはまた違った可愛さがあります。基本的にしっかりとしたツッコミ役ですが、菱川の前で小槙のバイト先の事をうっかり喋ってバイト先に突撃する原因を作ったりするので影の進行役でもあります。

ショタ枠として槙介という小槙の弟も登場します。この作品で正統派なショタが出て来るわけもなく、言動が完全にホストかおっさんかといった具合なので、例に漏れずキャラが濃いです。しかし、姉の為に傘を届けに来たり、それを褒められて喜んだりと小学生らしい可愛らしい一面もあるのが強いですね。姉に似て美形で菱川や沙弥にも気に入られているので、ちょっとしたおねショタ的な雰囲気を提供してくれるかなり重要なキャラクターです。

そこまで百合百合した作品ではありませんが、おっぱいを触ったり揉んだりするムフフな展開も一応はあります。そのシーンでは、おっぱいの感触や大きさを実況したり、沙弥にも触らないかと言ってみたりといったやり取りがエロさを感じさせながら笑いもあり、色々な意味で良かったです。ギャグ要素が濃い作品ではありますが、きっちりとキャラクターを差別化していたり、萌えポイントが高い見せ場は大ゴマにしていたりと色々考えられているので2巻も楽しく読めそうです。

まとめ

このように色々な意味でひどくて面白い作品である「将来的に死んでくれ」の1巻でした。1巻からやりたい放題でしたが、2巻以降は果たしてどうなるのでしょうね。なまじ最初からパワーを出しすぎたせいで失速してしまう可能性も十分あり得るので、少し心配です。1巻は菱川が小槙の家に行く約束を取り付けるところで終わったので、2巻では小槙の部屋でやりたい放題してくれる事を願っています。次巻予告からそんな雰囲気を感じられるので期待して良いでしょう。

時々、菱川の心象や妄想が出て来る事があるのですが現実とは真逆の展開で違った面白さがあるのも良い部分です。巻末のおまけストーリーでは菱川がどういった経緯で小槙に惚れたのかが描かれています。菱川も最初から同性愛者というわけでは無かったみたいで、高校生活をスタートさせて楽しい友達や良い感じの彼氏を作ると意気込んでいたようです。しかし、そんな意気込みも登校初日の校門付近であっけなく砕け散るというエキセントリックな展開に笑ってしまいました。

0か100かみたいな作品ですが是非読んで貰いたいですね。クセがある上、常にフルスロットルですが、変に力みすぎているという事もなく気軽に落ち着いて読める謎の性質があります。なので合わなかった人でも少し時間を置いてから思い出したかのように読んでみると意外とハマるかもしれないです。萌えが好きギャグが好きな人は決して後悔しないと思うので特にオススメできます。この先、更に場を荒らすような滅茶苦茶なキャラクターが増えてもっと賑やかな漫画にしてほしいですね。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

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