『新米姉妹のふたりごはん』は親の再婚で姉妹になったばかりの二人が織り成すクッキング漫画です。3巻はサチの親友で幼馴染である絵梨がラブレターを受け取ったがためにサチが悩むシーンや、幕間の姉妹のちょっと赤面もののやりとりが入るなど、百合分多めの構成になっています。

料理ではなんとジビエが登場します。あやりのおばであるみのりは猟師をやっていて、鹿肉のロティが登場するのです。非日常間のあるメニューが入っているだけでなく、マカロンやアイスクリームなどスイーツが多く登場するのもポイントになっています。

姉妹の食べたいもの、作りたいものを作っていくコンセプトは換わらず、今回はサチが料理するシーンも増量されています。あやりはそんなサチを見て尊敬の念を強くするシーンも登場し、ますます姉妹が仲良くなっていくのです。

あらすじ

親の再婚で急遽姉妹になったサチとあやりですが、あいかわらず料理をしながら絆を深めていきます。2巻でプリンの作り方を覚えたサチがあやりのデザート作りをサポートするなど、調理の体制にも少しずつ変化が現れ始めます。

平和な日常が続くかと思われていましたが、突如サチの親友絵梨にラブレターが送られたことでサチの日常が崩壊の危機を迎えます。サチは絵梨といつも一緒に昼食を食べていたため、一緒に食事をする人がいなくなることを想像してパニックになってしまうのです。

混乱するサチを見たあやりは、絵梨に料理をプレゼントすることを提案します。気持ちは思っているだけでは伝わらないからです。料理でサチと気持ちをつなげたあやりは、姉妹なりのやり方で気持ちを伝える方法を提案し、サチもその提案を受けて手作りお菓子を作ることにするのです。

感想

サチの隠れた能力が判明!尊敬できるお姉ちゃんに!

2巻はサチのポンコツぶりが目立つギャグシーンが多めになっていましたが、3巻ではサチのセンスや能力を現すエピソードが増えています。もともと味覚に鋭く、発想が柔軟なことを示すエピソードは入っていたものの、3巻では特にそれが顕著になるのです。ポイントになるのが食材選びのシーンです。あやりから食材選びのコツを教わったサチは驚異的なスピードで知識を吸収し、あやりが教えていない食材の判別の仕方まで思いつき、最高の食材を調達するスキルを身につけてしまうのです。

とはいっても、コミカルで食いしん坊であるのがサチの持ち味でもあります。表情がころころ変わるだけでなく物事を大げさに表現してあやりを混乱させたりなど、どこかネジが緩んでいるのではという部分はかわりません。あくまで長所がはっきりしただけであり、言葉足らずであったりポンコツ成分があるのはかわらないのです。ただし、あやりがサチのポンコツ部分に対しておおらかであるため、ますます尊敬する姉として認識されるだけなのです。

逆に最もサチがコミカルになるシーンは、クリスマスにローストチキンを作るシーンです。丸鶏を見て目を丸くするだけでなく、おなかにリゾットを詰める作業では自分が何をしているのかわからなくなってしまいます。ローストチキンは丸鶏の内側までキレイに洗い、リゾットをつめて肉汁をいきわたらせる必要があるのです。あやりは食材になれているため全く平気ではあるものの、鶏や魚を丸ごとさばくというのはサチにはまだまだ早そうです。

3巻になってもサチとあやりの親の情報が少ない

3巻ではあやりの父親の情報が少しだけ出てきます。1巻、2巻とサチとあやりの親は登場しないため、不明点のまま話が持ち越されています。話の流れから、サチの父親とあやりの母親が再婚したことはわかるものの、明確な言及はなく謎が多いままになっているのです。片親がいない時期が合ったサチもあやりに気を使って聞かないことを選んでしまうため、伏線として長く引っ張られる形になりそうです。姉妹の仲が良い分、親の動向が気になってしまう部分もあるのです。

3巻ではあやりのおばであるみのりが登場することで、若干の親戚づきあいがあることもわかります。一方で、サチの血縁者はまだ現れておらず、親友であり幼馴染である絵梨に若干の依存が見られます。これから親たちが登場するのか、登場したらどのようにするのか、家族との関わり方の内容はどうなのか、提示される情報によっては雰囲気が壊れる可能性があるのです。ただし、あやりが料理好きになったのは父親の影響が強いようで、関係が悪くなかったことを思わせる描写もあります。

とはいえ、新米姉妹のふたりごはんの魅力は、毎回安心して読めることです。1話ごとの完成度が高く、笑いとおいしそうな料理の情報を届けてくれます。何かあっても二人なら料理を通じて乗り越えられそうな予感もするのです。作品の根本に料理に対する愛情や、作る人と食べる人を大切にする気持ちが流れているため、不安になりにくいのがポイントです。何かあってもサチの勘違いなどで終わってしまう可能性があり、ギャグとしてオチがつくことが否定できないのです。

百合分増量でその筋の人が歓喜する展開に

3巻の特徴になっているのが、百合分の多さです。1巻や2巻でも百合分は含まれていましたが、3巻は絵梨がラブレターを受け取るというシーンがあります。定番の下駄箱に入っていたという流れですが、それを見たサチの慌てぶりと、絵梨の落ち着き具合が対照的で見ていて面白いのです。絵梨がラブレターを贈った相手にどのように返事をするのか、その絵梨に料理をプレゼントするサチはどうなるのか、結果は3巻を読んでのお楽しみです。

ラブレター回以外でも、絵梨がサチとあやりの家に招かれたシーンでは、姉妹のやりとりに複雑な表情をしてしまうシーンもあります。絵梨はあやりとサチのやりとりに反応し、あやりはサチと絵梨のやりとりに反応してしまうのです。嫉妬というよりも、お互いがうらやましいと思っている部分と、疎外感や距離感を一方的に感じてしまう部分が多めになっています。これからどういう風に関係が変化していくかも見物で、距離のとり方がどうなるかが注目のポイントにもなっています。

姉妹のスキンシップも多めになっています。特にいちゃいちゃぶりが目立つのが、幕間のパンを作るシーンです。料理をしていると耳たぶくらいのかたさという表現が良く出てきますが、サチは耳たぶが薄く、触ってもわからないことを不満に思うようになるのです。結果としてあやりの耳たぶを触ることで疑問を解決しようとします。また、コタツに入ったときにあやりにかにバサミを仕掛けるなど、仲が良くなっていることが良く伝わるシーンが多くなっています。あやりが照れ屋であることも深まって、妄想力がかきたてられるのです。

まとめ

『新米姉妹のふたりごはん』3巻は相変わらず完成度が高く、料理がおいしそうであることや、百合過ぎないことが魅力になっています。どちらかに偏りすぎてバランスを崩してしまうケースは珍しくないため、微妙な匙加減で調整されているのが上手いと思う部分です。相変わらず登場人物がみな可愛らしく、大人の女性であるみのりが加わったことで女性キャラのバリエーションも更に豊かになっています。一方で、鹿肉の調理はハードルが高いと思わされることになります。

料理の監修に気を使っていることがあとがきで触れられているのもポイントです。特にジビエは出す時期が限られます。しっかりと作中の時間に合わせて登場させないと、新米姉妹が『脱法姉妹』や『違法姉妹』になってしまうからです。猟の解禁にあわせる、法的に難しいものは上手く落ちをつけるなど作者が愛情をもって作品を作っていることがわかります。コラムの情報充実度も高く、生春巻きなどは家でも再現しやすいメニューになっています。

作中時間が冬に突入することで、ちょっとしたサービスシーンも登場します。注目はあやりがセーターを着ているシーンです。セーターが体にフィットするタイプのもののため、メリハリのある体のラインが良くわかるのです。基本的にお色気シーンが少ないだけでなく、あやりはエプロンを着ていることが多いため体のラインが見えないケースが多々あります。隠れた見所が多いのも特徴になっているため、貴重なサービスカットを探してみるのもおすすめです。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:しらたま。