わずか10歳の魔法使いの少年ネギ・スプリングフィールドが女子校で担任を務めることになってしまう「魔法先生ネギま!」。今回は、待ちに待った「麻帆良祭」がいよいよ始まる単行本第10巻のレビューをさせて頂きたいと思います。

麻帆良祭とは、ネギが務める麻帆良学園で年に1度だけ行われる最大級のイベントです。3日間という短い開催期間のなかで40万人もの入場者数を誇るケタ違いの学園祭で、開催期間中には学園中で様々なイベントが催されます。この10巻から始まる「麻帆良祭編」はファンの間でもかなり評価の高いエピソード集となっています。

前巻では麻帆良祭の準備に奔走していたネギですが、本番はここからです。現時点ですでに20人以上の女子生徒たちと学園祭を回る約束を取り付けているネギですが、果たしてどのようにスケジュール調整をするつもりなのでしょうか…?詳しくは、以下のレビューにて解説させていただきます!

あらすじ

長い準備期間を終え、とうとう始まった麻帆良祭!3‐Aクラスでは「ドキッ!女だらけのお化け屋敷」と題して、最新のホログラムを用いた本格的なお化け屋敷が開催されています。クラスの催し物以外にも、各生徒たちは自分が所属する部活やサークルなど、それぞれ別々のイベントに参加して初日から大賑わいです。

すでに20人以上とデートの約束を取り付けているだけでなく、教師の仕事と魔法使いの仕事までこなさなければならないネギは初日からてんやわんやの大騒ぎ。なんとかして全ての約束を守ろうと努力するネギでしたが、前日に徹夜だったこともあり、午前中で体力を使い切ってしまいました。ネギは仕方なく保健室で仮眠を取ろうとしましたが、なんと看病のために同席していた刹那ともども、夜の8時まで眠りこけてしまいます。

寝ている間に麻帆良祭初日が終わってしまったと気づいたネギと刹那は大慌てです。初日にしていた約束を全てすっぽかしただけでなく、教師の仕事も魔法使いの仕事も全てドタキャンしたことになってしまいました。しかし2人が慌て始めたその瞬間、超 鈴音にもらった謎の懐中時計がカチリと音を立てて動きはじめたのでした。

感想

1日を何度も楽しめる!?超の発明品・カシオペアとは

前巻で20名以上の女子生徒と学園祭を回る約束を取り付けていたネギ。さらに教師の仕事と魔法先生としての仕事まで追加すると…とてもじゃありませんが予定通りにスケジュールが進むはずもありません。しかもただでさえ余裕の無いスケジュールのなかで、ネギは刹那と一緒に保健室で眠りこけてしまい、気が付いたら夜の8時になってしまいました。あれだけ大々的にぶち上げた「麻帆良祭」の初日が「寝ている間に終わった」というオチになり、拍子抜けを通り越して驚いた読者も多かったのではないでしょうか。

しかし、もちろんタダで初日が終わったわけではありません。麻帆良祭初日を寝て過ごしてしまったというミスは、前巻から続く「ネギはどうやってスケジュールをこなすつもりなのか」という謎を解くための伏線でもあったのです。ネギが使ったのは、前巻で3‐Aクラスの問題児・超 鈴音を助けたときに貰った「カシオペア」という懐中時計型の発明品でした。実はカシオペアは魔力を動力源にして動くタイムマシンの一種であり、魔法使いが使うと24時間ていど時間を逆行できる力を持っていました。これさえあれば、いくら忙しくてもスケジュール調整を行うことが可能です。

24時間まるまる時間を戻せるのですから、極端な話をすれば永久に麻帆良祭を楽しんでいたっていいわけです。忙しすぎてイベントを楽しむ余裕すら無かったネギですが、カシオペアのおかげでゆっくりと過ごすことができるようになります。魔法先生ネギま!のなかでもかなり長い「麻帆良祭編」ですが、実はその長さの理由もカシオペアにあったります。麻帆良祭の開催期間は3日間ですが、ネギは初日だけでもカシオペアを2回使いますので、計3日間は麻帆良祭初日を体験するわけです。というわけで10巻に収録されているのは全て「初日」のエピソードですので、麻帆良祭編は次巻以降もまだまだ続きます。

人の恋愛を邪魔する設定が邪魔な気も

麻帆良祭編は、何度も時間を逆行するとはいえ、エピソード自体はサクサク進んでいくので読みやすいです。ネギたちは「格闘大会」に参加するのでバトルシーンもあるにはあるのですが、あくまで身内同士での戦いなので嫌らしい敵なんかは登場しません。麻帆良祭編のいいところはシリアスなシーンが少なく、読者もお祭りに参加しているような気持ちで明るく読み進めることができる点ではないでしょうか。バトルもラブコメも程よいバランスで盛り込まれているので、この作品で10巻あたりが一番好きだという読者も多いと思います。

悪いところを挙げるなら、「学祭最終日に世界樹の下で告白すると必ず成功する」という設定がやや邪魔に感じるところですね。ネギを含めた麻帆良学園の魔法先生・魔法生徒たちは学祭期間中に世界樹付近で告白しようとした生徒を阻害するのですが、それが何とも後味悪く感じたりします。世界樹付近で告白することを防げばよいのですが、その方法はそれぞれに一任されているので、シーンによっては「告白しようとしてるだけの人をそんな方法で止めなくても…」と思わなくもありません。

例えば、魔法生徒のひとりである高音・D・グッドマンはこの巻で憎まれ役に回っていますね。彼女は決して悪人ではないのですが、真面目すぎるがゆえに学祭を楽しむネギを蔑んだり、告白しようとした生徒を力づくで排除しようとしたり、楽しい麻帆良祭編には似つかわしくない行動を繰り返します。個人的には高音が登場する度に「またコイツが来た…いいところなんだから邪魔しないでくれよ…」と感じてしまいました。高音の行動を見ていると、クラスにひとりはいた空気の読めない真面目な委員長を思い出すんですよね…

格闘大会が開幕!その出場者は…?

今回の麻帆良祭で最も大きなイベントのひとつが「まほら武道会」です。麻帆良学園内にいる全ても猛者が集い最強を決める…いわゆる格闘大会ですね。超人揃いの麻帆良学園で、年齢・身長・体重・性別・流派など一切関係なく、1対1でも戦いが繰り広げられます。刃物と銃の使用は禁止ですが、それ以外の武器なら何を使ってもOK、さらに呪文さえ詠唱しなければ魔法を使ってもOKというメチャクチャなルールです。規模が大きすぎて忘れそうになりますが、一応「学園祭」のイベントでこのルールは…現実世界だったら運営側が大炎上しそうです。

しかし読者にとってこれほど興奮する展開もありませんね。王道かつ使い古された設定かもしれませんが、1対1のバトルトーナメントというのは男子なら心躍らずにはいられません。ドラゴンボールの「天下一武道会」しかり、幽☆遊☆白書の「暗黒武術会」しかり、名作と呼ばれるマンガにはバトルトーナメントがあるものです。本来は萌え系マンガであるはずの魔法先生ネギま!にバトルトーナメントを求めるのはどうなんだという気がしないでもありませんが…やはり期待はしてしまいます。

10巻の最後にはまほら武道会のトーナメント表が載っているのですが、これを見る限りでは今後の展開に全く予想がつきません。ネギの1回戦の相手は初登場からずっと強キャラ感を出していたタカミチですし、明日菜VS刹那、古韮VS龍宮といった予想外の組み合わせが多いのです。トーナメント表のなかには明らかに雑魚キャラなんだろうな、といった感じのキャラクターもいますが、現時点で姿を現していないだけに不気味です。まほら武道会の開始は次巻ということになりますが、バトル展開好きの方にはますます目が離せない展開が続きそうです。

まとめ

というわけで今回は、魔法先生ネギま!第10巻のレビューをさせていただきました!ファン人気の高い麻帆良祭編がいよいよ始まり、内容もにわかに活気づいてきたと感じます。10巻は始めから最後まで一貫して、シリアスなエピソードの少ない楽しい巻でしたね。ネギの過去を探るエピソードが無かったのでストーリーはあまり進展しませんでしたが、これはこれで面白かったです。萌え系マンガとしての出来で言えば、8巻や9巻を大きく超えてきたのではないでしょうか。

また、この巻あたりから刹那のファン人気が急上昇してきたことが伺えます。初登場時はあまり人気のなかった刹那ですが、登場するたびにファンを増やし続け、このあたりで開催された人気投票では絶対王者だったまき絵を抜いて1位に踊り出ています。その影響もあるのか作中での扱いも良くなってきており、10巻ではネギがカシオペアを使って時間移動をするのには必ずついていくパートナーのようになっています。最初に時間逆行した際には、ネギと刹那がコスプレをしてデートする描写なんかもありますので、刹那ファンの方は楽しみにしていてください。

それにしても、初めて1巻を読んだときには明日菜がメインヒロインなのだろうと思っていましたが、10巻あたりからは誰がメインヒロインなのか解らなくなってきます。明日菜にももちろん可能性がありますが、このあたりから明らかにネギと親密になった刹那や、すでに告白まで済ませているのどか、他のメンバーより共に過ごす時間が長いエヴァンジェリン…考え始めると、ネギのクラスに在籍している女子生徒の半数近くにメインヒロインの可能性が浮上してきそうな気もします。次巻は格闘大会メインとなるので恋愛の進展は少なくなりそうですが、本当のメインヒロインもきっといつか明らかになるでしょう。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

記事担当:だいなごん