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涼川りん『あそびあそばせ』(YOUNG ANIMAL COMICS)は2015年よりヤングアニマルdensiにて連載がはじまり、現在はヤングアニマル本編で連載されている漫画です。冬を意識させるマフラー姿の香純が表紙の第三巻。

新キャラクターの活躍が目立った第二巻と比較すると、第三巻では遊び人研究部の三人にフォーカスがあてられています。もちろん、あそ研の三人以外も、生徒会長や顧問の先生も登場しますよ。でもあそ研三人のお話が好きだというかたには嬉しい巻になっているかもしれません。

また第三巻には『あそびあそばせ』第一巻が発売された際に発表された特別読み切り、「映画制作」が掲載されています。あそ研の三人が文化祭企画で映画を制作することに。転がり落ちるように繰り出されるボケの応酬が珠玉の一話になっています。

あらすじ

舞台はとある女子校。”遊び人研究部”を立ち上げた華子・オリヴィア・香純の女の子たち三人の日常を描いていくギャグ作品。第三巻は前巻から引き継ぎ、生徒会室のどこかに隠されている”バナナ文書”についての話となっています。

“怪盗”として生徒会室に乗り込んだあそ研、無事バナナ文書を発見したものの、その場に生徒会長が入ってきてしまう…?というところから第三巻は始まります。怪盗あそ研に訪れる絶体絶命の危機。いったいどうなってしまうのか…??

そんなこんなで始まる第三巻。クラスでは未だに日本語ができないエセ外国人キャラが定着しているオリヴィアの話しなどなど、三人の馴れ初めから特別読み切りも掲載されていて非常に盛りだくさんの内容となっています。

感想

罰ゲームの嵐!恐怖の「魔のスゴロク」

第30話「魔のスゴロク」では、オリヴィアが自分の得意だという神経衰弱で、一回の試行で全ての組み合わせをオープンさせてしまうところからはじまります。その様子をみて驚愕する華子と香純。豪運だけでは説明できない出来事を目の当たりにした華子と香純は、ここでオリヴィアに対し、究極の運ゲーであるところの”スゴロク”勝負をしかけることになりました。なんとそのスゴロクは華子お手製のものであり、かつ、全てのコマに罰ゲームがあるのです。

スゴロクで遊び始める3人。「ブタの鳴きマネをする」を引いたオリヴィア。そのブタの鳴きマネ姿はただ単純に可愛いのでずるい。「電柱におしっこしてる犬の真似」をする羽目になった香純。そして、「残りの二人にお尻を叩かれる」を引き当ててしまった華子。作中では華子の罰ゲームが一番嫌そうと言われてますが、個人的にはおしっこしてる犬の真似のほうがキツくないですか?そんなもん?そしてなんとスゴロクは次の回まで続くのです。

さらにエスカレートしていく罰ゲームが三人を苦しめていきます。「先生の前でセーラー○ーンのモノマネをする」本田華子がとても可愛い。作者の圧倒的作画クオリティの有効活用ですね。かわいい。そんなこんなで周囲の人間も巻き込みながら進んでいくスゴロク。みんなの魅力的な姿が見られてとてもありがたい回でしたね。個人的に、神経衰弱のくだりで見られる、オリヴィアのちょっと調子にのってみんなをからかう姿がとくに魅力的に感じています。。

エセ外国人から抜け出せないオリヴィア

とある女子校とに転校してきたオリヴィア。その転校初日、オリヴィアは日本語がペッラペラなのにもかかわらず、ド緊張してしまい、自己紹介でカタコトになってしまいます。それはまるで、外国人そのもののように。そんなオリヴィアを見て外国の人だと勘違いしてしまった華子。オリヴィアの隣の席になった華子は、学校のあれこれを教えてあげてね、と指示されるものの、オリヴィアに日本語が通じないと思い込んで、とてもあたふたしてしまうのです。

転校してきて緊張していたオリヴィアですが、そんなあたふたしている華子を見ると緊張が収まるのです。あっ…この娘面白そう、とそう感じて。華子をおもちゃにするために自ら日本語が喋れないカタコト外国人キャラクターを演じるようになったオリヴィア。その結果、華子や香純にカタコト外国人でないことが知れても、クラスでは日本語ができない英語ペラペラのカタコト外国人というキャラ設定が定着してしまうことになったのです。オリヴィアは英語が苦手なのに。

定着してしまったキャラクター設定の結果、クラスメイトから無邪気に英語を教えて?と詰めかけられるオリヴィア。その慌てている様子がとてもかわいい。そんなオリヴィアが困っていることを知った華子。まあオリヴィアのカタコトキャラも好きだけど、本人が困ってるなら…と、「オリヴィアは実は日本語ペラペラなんだよ」という助け舟を出そうとしてあげる華子の優しさがとても素敵でほっこりします。そしてその助け舟の結末もとても笑えるものになっています。

おとなしそうなのにエキセントリックな香純

第26話「電波でGO」では、オリヴィアと香純の補習のおかげで部室にひとりぼっちとなった華子によって長編大作BL小説を執筆していることが明らかになった香純。優しかった卓球部の先輩に体育倉庫に閉じ込められる後輩の主人公。しかしそこに粘着力の強い方のガムテープが登場することで…??という奇天烈でエキセントリックな内容。そのBL小説をちょっと読んでしまった華子も、読まれてしまった華子も、お互いに大ダメージを受けている様子が愛おしい。

また、前述のオリヴィアエセ外国人回において、香純はオリヴィアのカタコト外国人ムーヴを、”狙ってそんなキャラクターを演じている”と勘違いしていることが明らかになります。そして、その設定を、守ってあげようとするのです。その守り方がめちゃくちゃ面白いのですがそれはおいといて、その一連の行動にみられる、香純の遊び人研究部に対する、強い思いがとても素敵です。今のままがいい…!という強い思いはギャグ漫画にも関わらず心打たれてしまいました。

特別読み切り「映画制作」では、文化祭の企画でSF映画を制作することになったあそ研。その理由は…香純がスタートレックを観ちゃったから……。ただ、それだけ。それだけの知識だけでSF映画を作るぞ!とアクセルを全開にする香純。そんな香純がとても可愛いですよね。走り出したらどこまでも突っ走りがちなところといいますか。全力で映画制作に没頭する香純(と突き合わされるあそ研の仲間たち)がとても生き生きしていて可愛いですよね。

まとめ

表紙のマフラー姿の香純が季節を感じさせる『あそびあそばせ』第三巻。第ニ巻に比べて、”三人の遊び人研究部”という構図が多くなっている、というのが印象的でしょうか。もちろん脇を固める他のキャラクターも登場するのですが、やっぱり”あそびあそばせ”といえば華子・オリヴィア・香純の三人でしょ!とくにスゴロク回は三人で部室で遊ぶ、という原点回帰の構図になっていて、それでいて面白さは健在。うれしくなってしまいますよね。

また、今回第3巻ではおまけとして、特別読み切り「映画制作」が掲載されています。これは第一巻発売当時にヤングアニマル誌上に掲載されたものですが、当時の編集長に「この漫画は人類には早すぎる」と評価されたのも納得の内容となっています。変な所でアクセル全開の香純、常にノリノリで行動するオリヴィア、そしてツッコミ側でありながら思い切りも良く、なおかつまともな感性を持ち合わせている華子、この三人のバランスってやっぱり良いなと思わされる一話になっています。

第二巻では学年で一番かわいい青空つぐみさんなど、個性あふれるたくさんのキャラクターが登場し世界の広がった感のある『あそびあそばせ』。第三巻ではその原点に立ち戻って、メインメンバーである華子・オリヴィア・香純三人でしっかりと話を回してきました。おかげでしっかりと地盤が整ったように思います。新キャラを登場させるのでなくもともとのキャラクターだけでもとても面白い!こうなると、これからの展開がますます楽しみになってきます。

オススメ度
★★★★★★★☆☆☆ ★7

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