かつて『涼宮ハルヒの憂鬱』というライトノベルが社会現象となりました。原作であるライトノベルは凄まじい売上となりアニメを始めとしたメディア展開も大成功、1つの巨大なコンテンツになるまで成長したのです。つまりラノベは…一攫千金のチャンスを孕んでいるのです!

本作はそんなラノベで一発あてたい少女とその作品のモデルになってほしい女の子が中心となって展開するギャグ漫画となります。もちろんギャグ漫画ですしタイトルにも「間違った」とあるように滅茶苦茶なことになるのです。

そして何よりエロと萌えが存分に配合されているのでありがたい。主な登場人物は先述した女の子が2人とラノベの「先生」の3人となるためキャラクター数は多くありませんが、色々なシチュエーションが巻き起こります。登場人物が女子高生にもかかわらずデザインのロリ度が高いため紳士にもおすすめの一冊です。

あらすじ

とある高校に通う2年生の安藤涼葉(あんどう すずは)はあるときラブレターのような手紙を受け取ります。そこに書いてある通り、昼休みに校舎裏で待っていると1人の女の子が話しかけてきました。彼女は1年の日向霧乃(ひむかい きりの)で、急に告白してきたのです。

霧乃はライトノベル作家志望の学生で「ハルヒの後釜」を狙っています。涼葉に声をかけた理由は「作品の主人公のモデルになって欲しい」とのこと。なぜかというと「エロい意味で魅力的」だからでした。涼葉は断り続けますが何となく協力していくことになります。

その後、裸エプロンでクリームをかけあったり死神に扮した同級生にパイオツをもまれるなどする中、霧乃の師匠である筋肉ムキムキで女性下着のみしか着ていない男性作家のバラ野マリア先生と出会います。やがて霧乃とマリアは対決をすることになりどちらが早く売れっ子作家になるかを競うことになるのでした。

感想

攻めのボケ役が見せる一瞬の恥じらい

本作の基本的な構図は霧乃が強引に涼葉へ迫り数々の難題をこなしてもらう形となります。例えば漫画などで定番の状況「出会い頭に衝突」を再現するため霧乃が涼葉への口へトーストを突っ込んだりするのです。また「突如降ってきたヒロインをキャッチする主人公」の再現では霧乃が窓から飛び降り涼葉にキャッチしてもらっています。このとき霧乃は決死の覚悟で飛んでいるのですが、そのかい合って涼葉のパンモロが見れたりするのでした。

他には手料理を研究するために涼葉の力を借りるのですが、このとき裸エプロンを着せて、さらには霧乃自らも同じ衣装に身を包み最終的には生クリームを互いの体にかけあうといった展開になります。このように、基本的には霧乃がボケ役かつ攻めをこなし、涼葉がツッコミ役かつ守りというパターンなのです。ですが萌えというのは何時の時代も隠されているもの。本作で萌えが強力に発露する場面というのは霧乃が守りに入るシーンとなります。

それまで意気揚々と涼葉に対して数々のエロい所業を行っていた霧乃がふとした拍子に守勢に回ったときに見せる慌てた様子、恥らう様子、たまりません。先述した生クリームのかけあいでも一瞬ですが霧乃が戸惑います。また持ち込みが失敗に終わった後のエピソードではそのトラウマを思い出すだけで尿意が高まるようになる場面も見逃せません。またラスト付近で師匠とカート対決をすることになるのですが、このときに涼葉の事を強く思う純粋なシーンも良いものです。普段ボケ役をやっている女の子が見せるふとした表情に萌えタンクが爆発してしまいます。

登場人物が少ないため世界が狭め

本作では主要キャラクターに涼葉、霧乃、マリアの3人を据え、さらにたまに登場するキャラクターとして涼葉の同級生であるゆかりがいます。他にも霧乃の母や出版社の受付嬢や警備員なども登場していますが各エピソードに少し顔を見せるぐらいです。つまるところ、本作品は3、4人で話が構成されている状況となります。1巻で完結している作品なのでそこまで多いキャラクター数でなくても良いのですが、サブキャラクター自体の数が少ないためより一層作品世界は狭い印象を受けるかもしれません。

このように登場キャラクターが少ないことは狭い世界でエピソードを構築していかなければならないため、どうしても閉塞感が漂ってしまうものです。まるで世界には霧乃と涼葉、それからマリアだけしか存在していないような印象を受ける可能性もあります。もし各キャラクターに関わるキャラクター、例えば同級生や幼馴染、兄弟や親(特に母親)が登場していたならもっと作品として豊かになったかもしれません。この登場人物の数をどの程度にするか、というのは難しい問題です。

新しいキャラクターを出せば出すほどメインキャラクターの話を掘り下げるコマは少なくなりますし、かといって世界観が狭いままでは展開のバリエーションもつけにくくなります。本作はメインの3人で話を回すエピソードがやや多めなのでもう少し登場人物が増えればより豊かな作品世界となったかもしれません。ただまたややこしい話ですが、本作はストーリー漫画でかつ1巻で完結するという制限がついています。ストーリーを終わらせなければいけませんし、与えられた猶予は1巻のみという困難な状況です。もし長期連載を見越していたならもっと豊かで広い作品となったでしょう。

ノウハウ本をテーマにした珍しい作品

本作ではいわゆる「ラノベハウツー本」で語られるようなことを主軸として話が進んでいきます。例えば第1話のタイトルは「キャラクターを作ろう」ですし第2話は「印象に残る登場をしよう」そして第4話は「自分なりのアイディアの思いつき方を探そう」となっています。本編でも各話の冒頭に簡単にタイトルの概要を示しているのです。ハウツー本で語られていることをいわばネタとしてエピソードを作っているのでしょう。こうした形式の漫画はなかなか見られません。

また、タイトルが『間違ったラノベの作り方』とあるように真っ当なハウツー本ではなくあくまでネタとしている点もユニークです。実際メインキャラ一行は持ち込みの際にアポを取らず夜中に忍び込んでいたりします。マリアは当たり前のように壁をぶち破り果てはテレビで捜索されていたりするほどです。本作はエロありの萌え漫画ですが、漫画の形式としても面白い構造をしています。中でもマリアこと師匠の言動は勢いがあり、もしかしたら作者の代弁をしている可能性すらあるほどです。

持込をした後でリフレッシュのために霧乃と涼葉がプールへ赴くのですが、そこには師匠も居ました。師匠はこのとき売れない元プロ作家として絶賛やばい状況なのですがストレスを解消するための方法をプールで実践します。その方法とはウォータースライダーを駆け落ちながら「編集のバカ野郎オオオ」と叫ぶもので、このコマの台詞の配置と吹き出しの荒々しさに何か強い念を感じるはずです。他にも執筆に追い詰められると栄養ドリンクを頭からかぶるといったイカしたことをしています。本作はハウツー本をネタにするというメタ要素が含まれていますが、師匠にも上位存在の影を感じる事ができるでしょう。

まとめ

これまで攻めかつボケ役な霧乃と師匠について触れてきましたが、実は本作のメインヒロインは涼葉です。世話焼きお姉さん的ツッコミ役な涼葉のエロエロなシーンが満載なので黒髪ロングな子が好きな方にはご褒美となるでしょう。ただ表紙は要河オルカ氏によるもので本作の作者である松林氏のものではないという点には注意しておきましょう。なお松林氏のイラストは裏表紙で正座している霧乃と涼葉で確認することができます。あくまで表紙は「涼葉を主人公としたラノベができたらこんな風になるかな」という霧乃の想像のようです。

登場キャラクターはメインの3人とたまに登場する1人で構成されているため少な目と言えるでしょう。そのため作品世界は狭めで、広がりをもっているとは言い切れません。ですがそれも1巻でかつストーリー漫画という縛りがあるので仕方の無いことです。明確なゴールが無ければいけませんし、1巻という短い尺で物語をまとめる必要があります。その場合、登場人物が少なくなるのはむしろ正解と言えるかもしれません。もし本作がもっと巻数のある作品だったならより広がりのある展開を見せていたでしょう。

本作は「萌えとは何か」という問いに1つのヒントを与えてくれます。もちろんしょっちゅうエロエロな目にあってしまう涼葉は萌えなのですが、それよりも時折見せる霧乃の萌えにはより強いものを感じるのです。もしかしたら萌えとはレアさ、貴重さという要素が含まれることでより強い効果を生み出すのかもしれません。また霧乃がブラジル水着を着るなどありがたいサービスシーンもあるので要チェックです。本作『間違ったラノベの作り方』はギャグとエロ、それから貴重な萌えを垣間見ることができる作品となっています。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8

記事担当:くもすい