筋肉☆太郎『スマイル・スタイル』(まんがタイムKRコミックス) は2011年から2014年にかけてまんがタイムきらら誌上にて連載された漫画作品。 転校生の主人公を待ち受けるのは…誤解の嵐!?ニュースタイル女子寮コメディ!

表紙は可愛らしい女の子4人組……とパンツを被っている女がもう一人。表紙からもうホラホラ突っ込んでいいよオーラがぷんぷんしていますが、本編も表紙に負けず劣らずツッコミがどころ満載のコメディ漫画となっています。

可愛らしい絵柄による愛らしいキャラクターたちと、独特のテンポで繰り出されるほんわかしたギャグがとても素敵。表紙カバーやカバー下表紙にも遊び心がたくさんで、本全体で楽しんでもらおうという意欲を感じる一冊です。

あらすじ

物語は、主人公、”山咲百合”が両親の仕事の都合で、とある女子校に転校することになるところから始まります。それに伴って、女子寮に入寮することになった百合でしたが、そこの寮生たちの様子がおかしくて……??

主要キャラクターは4人います。まずは、とある女子校に転校してきた主人公、そして何故か周囲の生徒からは色々な意味で怖がられている山咲百合。そんな主人公と仲良くしてくれるものの、ちょっと怖がっている朝宮ゆめ。

小さい、かわいい、その愛おしさが危険な子、神崎歩。そして、いつもあっけらかんとしているものの、仲良しの歩のこととなるとちょくちょく動揺したりする月山紅葉。この4人が織りなすコメディはマックス癒やされます!

感想

周囲を”勘違い”させる女、山咲百合

主人公の山咲百合が夏休み中に女子校へと転校、そして寮に入寮するところからはじまる『スマイル・スタイル』第一巻。その寮の寮長さん、薗田彩乃の仕業により、この山咲百合はひょっとしてひょっとすると、”女性が好きなのではないか?”という疑いをかけられてしまい……というところから物語はスタートします。もちろん(建前上)誤解なのですが。そして自己紹介で明かされる山咲…”百合”という名前、これはもう状況証拠は揃ってる…!だなんて。

一緒に生活することになる寮生の朝宮ゆめなんてもう百合のことをいちばん怖がっていました。どうみても月山紅葉と神崎歩の関係のほうが……あれ??ねえこれ!?これさあ!?という感じの様子なのに。まあ、誤解はあると言えども、そんなこんなで仲良くなっていく百合と寮生たち。しばらくすると誤解もある程度解けるのですが、そこで夏休みが終了、新学期が到来、再び同様の誤解を受けて……という展開。コメディで天丼は大事ですよね。

といっても、この学校の生徒はみんなとってもいい子なので、変な噂が流れていても百合と仲良くしてくれるのです。しかし大事なのはここから、山咲百合本人は別に女性が好き、なんてことはない(多分)のですが、山咲百合の純粋無垢な魅力と、誰とでも仲良く出来る積極性に、あたり一面を勘違いさせてしまうのです。むしろ余計に罪深い。その片鱗は山咲百合がさくら荘(寮の名前です)への入寮した初日から既にみられます。恐ろしい子……!

ふたりでひとつ…?神崎歩と月山紅葉

百合と同じく、さくら荘(ちなみにこの寮の名前はとてつもなくどうでも良いタイミングで発表されました)の寮生である神崎歩と月山紅葉ですが、この二人の関係性がちょっとどころではなく近すぎるのです。歩の目に入ったゴミを紅葉が取る、という単純なシークエンスなのに”二人の世界”に入り込んでしまう歩と紅葉。そしてそんな様子をいつものことだよ?と当たり前に受け取る朝宮ゆめ。いやそれはいいんだ!?と思ってしまう百合。

何をしてもまあそんなもんだよね、と受け入れている歩と紅葉の二人。行き着く果ては神崎歩・月山紅葉、二人について描かれた同人誌「ふたりでひとつ」(寮長:薗田彩乃作)(即日完売)(続刊5巻)が刊行され、なんと学内で流通しているという事実……!おかげさまで、歩と紅葉の”二人を見守る会”というファンクラブまで開設される始末です。もはやなんで百合のあれやそれやで怖がったりするんだよ!?という段階に入っています。

まあ、創作と実物は別だからさ……、とかそんなスタンスなのでしょうか?まあその点では納得できなくもないですが。そもそも薗田彩乃は寮長という立場でありながら、生徒のナマモノ(実在の人物を題材とした)同人誌を作成していること、それが本人たちに知られていること、そのうえ本人たちの学校内で流通しているということ、どの事柄もクレイジーそのものですが、周囲もそんなもんだよねーと受け入れているのです。もはや百合はツッコミの休む暇もありません。

脇を固めるサブキャラクターたち

山咲百合・朝宮ゆめ・神崎歩・月山紅葉ら、4人の主要なキャラクターだけでなく、脇を固めるキャラクターも個性あふれる面々が揃って……いや、むしろメインキャラクターよりも濃い味付けがなされているやもしれないキャラクターが揃っています。その一人がこれまでの文中にも出てきた、さくら荘寮長”薗田彩乃”。山咲百合が誤解されるきっかけを作った張本人であり、寮内では寝る時間を潰して生徒の同人誌の執筆作業に勤しむのです……。

さらにさらに、その寮長という立場を活かして寮生の様々な触れ合いをインプット、自らの同人誌の血と肉としているという豪傑。しかしながら、寮長としての手腕は確かなのです。とくに料理に至っては非常に高い技術を誇り、その腕前から披露される料理は非常に美味。料理のできないゆめ・歩・紅葉の三人が今まで無事生きてこられたのも寮長あってこそ。そしてそんな寮長よりも更にぶっ飛んでいるのが、百合たちが通っている学校の教師、伊藤和沙です。

伊藤和沙は『スマイル・スタイル』の表紙にも(パンツを被って)登場しており、その様子どおり薗田彩乃に更に輪を幾百もかけてエキセントリックにしたような人間です。彼女のやらかしたことといえば、まずはさくら荘で干されている百合たちの洗濯物を見る・吸う・触るとフルに堪能し、誰のかわからないパンツを携帯しさらにはゆめたちを直接触って味わい倒す、そんな”先生”なのでした。でも先生の仕事はそれなりにこなしています。そんなキャラクターたちがしっかりと脇を固めてギャグに磨きをかけているのです。

まとめ

表紙の百合たち4人がとても可愛らしく(左隅のパンツ野郎も)印象的な『スマイル・スタイル』第1巻。転校してきた山咲百合が、新しい環境のなかで出会った新しい仲間たちと、誤解に誤解を重ねつつ実はそれ誤解じゃないのでは…?という触れ合いを通して仲を深めていく様子が描かれています。そしてちょっとこの作品の意外性だな、と感じるのが、舞台が女子寮であることなんですよね。実際、転校してくるのは夏休み期間中ですし、作中で学校に通うのは暫く経ってからになります。

そこの先に女子寮で物語を走らせておいて、主要なキャラクターを描写して土台を固めつつ、その後に満を持して学校という新しい舞台に繋げる構成がうまく嵌っています。また、女子寮での出来事と学校での出来事を被らせることで天丼ネタをつくり笑いをとってくるのが上手いな~と感じました。学校に通いはじめてからも、舞台は基本的に女子寮なのもまた良いですね。可愛らしい絵柄とテンポが良いギャグは疲れた心をふわーっと癒やしてくれます。

第一巻で山咲百合を中心とした誤解の嵐が吹き荒れながらも、百合とゆめ・歩・紅葉たちがお互いに仲を深めあいつつ更に誤解が広がりつつお互いの関係性を深めていく様子がありありとコミカルに描写されました。また、寮長・先生というエキセントリックで個性しかない大人たちも魅力的な『スマイル・スマイル』ですが、夏休みが終わり、本格的に学校に通い出した百合たちのわちゃっとした日常は続くんだろうな、と思うと続巻も楽しみになるのです。

オススメ度
★★★★★★☆☆☆☆ ★6