門司雪『アイドルマスター ミリオンライブ!』は「ゲッサン」にて2014年から2016年まで連載された、スマホゲームアイドルマスターミリオンライブ!のコミカライズ作品となっています。

本作は、もともと個性的な面々の揃うミリオンライブ!のアイドルたちを門司先生の圧倒的な漫画力でさらに輝かせた傑作です。

少年漫画的な大見えきった台詞や、ドドンと繰り出される大ゴマ。そしてそのストーリーテリング。全てにおいてハイクオリティの作品、そのはじまりです。

あらすじ

やりたいことに真っ直ぐな14歳・中学生の春日未来は、ある日学校の屋上で同い年でアイドルに励む最上静香と出会います。そこから彼女の人生は一気に速度を上げることになる…というのが第一話です。

そこで最上静香のステージを見て、自分のやりたいことを見つけた未来。そこで待ち受けるのは個性あふれるアイドルの面々でした。

そんなアイドルたちの中で、完全新人の春日未来は奮闘します。そして定期公演の日を迎えることになったのですが……。

感想

晴れた日の屋上で、二人は出会う

ある春の日。公演が近いなかでレッスン中止を告げられた最上静香は、自主練習を敢行することに。あれこれ練習できる場所を探したなかで屋上に行き着いた最上静香。すっきりと晴れた春空の下、自主練に励んでいる最上静香は屋上で洗濯物を干していた春日未来に出会います。

これが第一話「あふれる夢」なのですが、ここで最上静香と春日未来のふたりの視線が合うシーンがとても素敵なのです。なんというか”出会っちゃった”という感じがして。ときめきが詰まっているような気がするんですよね。

そして、これから春日未来・最上静香の二人が前に進んでいくという意味でもここで出会っていたことは非常に重要で、運命のはじめましてなのです。あとから読み返すとこのシーンでとてもしみじみとしますし、グッとくるのです。

繋がることと彼女に残された時間

第三話「Let’s dance!」で練習中にケタケタと笑いあってる春日未来と最上静香の様子がとても可愛いですよね。そこに至るまでの二人の笑かせあったりするやりとりが。初めて出会った日からこのときまでの関係性の進展を感じさせます。

この二人が仲を深めていくこと、それがこの作品の重要なファクターなのです。なので、この一連のシーンは笑い合ってて可愛いだけではなく、とても文脈的にも意義のあるシーンなのです。先輩のアイドルから伝えられた「繋がること」という言葉にもそれは現れています。

「繋がること」という言葉はのちのちにも響いていくので覚えておきましょう。果たして「繋がること」という言葉の意味を、受験を迎え、最上静香のアイドルとしての時間が終わるまでにつかむことはできるのでしょうか……?

第三極あらわる/彼女の描いた夢

第4話「かけがえのない夢」では主要キャラクターの一人である伊吹翼がついに満を持して登場。一ページまるまる使われて披露された「…ダメぇ?」はひたすらにかわいい。そして彼女はヘラヘラしながらも圧倒的な実力を兼ね揃えているのです。

そんな彼女の実力を見せつけられた静香と未来は夜まで居残りレッスンに励みます。そして、どっぷりと日が沈んだ帰り道の公園。二人はそこにあったジャングルジムで夢を語らうのです。その光景が、とても素敵できらきらとした輝きに満ちています。

「いつか…武道館いっぱいのファンの前で歌うんだ。」という大きくかけがえのない夢を、その残された時間からすれば、途方もない夢を、未来に語る静香。その姿が、とても愛おしく、彼女の人間性がみえるようで、素敵に感じます。

まとめ

表紙の円陣を組む未来・静香・翼の三人から、ライブ=物語の始まりを感じさせる第1巻。キャラクター・背景ともに圧倒的な作画クオリティで非常にハイレベルのストーリーテリングがなされる本作。何より漫画が上手いんです。

本当に、どこかにライブシアターがあって、どこかでライブをしてるんじゃないか……とさえ感じてしまいます。そんな説得力のある描写を積み上げつつ、春日未来や最上静香の関係性をしっかりと描いていて、隙がない作品です。

登場するキャラクターはみんな魅力的で愛おしい、アイドルマスターを知らない人にも、ちょっと手を出してみてほしい作品です。1巻を最後まで読んだ暁には、次の巻をすぐ読みたくなること間違いありません。そばにニ巻も用意しておきましょう。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

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