ラブひな 13

個性豊かな美少女たちの住む女子寮ひなた荘の管理人を務めながら、東大合格に向かって猛勉強を続ける青年、浦島 景太郎を主人公にしたラブコメの金字塔「ラブひな」。今回は、景太郎のモテ男っぷりが大爆発する単行本13巻のレビューをさせていただきます。

前巻のラストでは、長いあいだ煮え切らない態度を続けていた成瀬川がとうとう景太郎と結ばれました。自他共に認めるカップルとなった2人は、ようやく堂々とイチャつくことが出来るように…と思っていたら、ここでまた一波乱起こります。

この巻では、なんと景太郎を巡ってヒロインたちのガチバトルが始まってしまうのです。これまでは景太郎への恋心を隠そうとしてきた素子も、しのぶも、キツネさえも、景太郎の花嫁になるべく奮闘します。どうしてそんなことになってしまったのか…詳しくはこのレビューでご説明しましょう。

あらすじ

紆余曲折ありましたが、他のヒロインたちの協力もあり、ようやく正式なカップルになった景太郎&成瀬川ペア。しかし2人の恋の成就に協力はしたものの、素子やしのぶはまだ内心で景太郎のことをあきらめられていないようです。

そんな複雑な恋模様を断ち切り、「約束の女の子」と2人で東大に行くという夢を叶えるため、景太郎は成瀬川を誘って東大に向かいます。しかし東大に到着する直前で何者かに追われている瀬田さんに遭遇した景太郎。「君の力が必要なんだ」と言う瀬田さんに連れられ、景太郎は謎の国「モルモル王国」に旅立つことになってしまいます。

ちょうどそのとき、ひなた荘の全権限を持つ景太郎の祖母からFAXが送られてきました。そのFAXには、「一週間後に景太郎と共にいた女の子を景太郎の嫁にして、ひなた荘の全権限を相続させる」という旨が書かれていたのです。一度は景太郎をあきらめたヒロインたちでしたが、これが景太郎と結ばれるラストチャンスだと知り、全速力で景太郎を追いかけるのでした。はたして、景太郎を射止めるのは誰なのでしょうか。

感想

ヒロインたちによる「景太郎争奪戦」が発生!

巻数が進むごとにイケメン度を増し続けてきた景太郎ですが、ここまでくるといよいよ異常なモテっぷりです。この巻では、ひなた荘のヒロインたちが本気のバトルを繰り広げつつ、景太郎の嫁の座を奪い合うのです。成瀬川に告白してもらうまでに12巻もかけてしまった景太郎ですが、この巻では他のヒロインたちからの告白ラッシュを受けることになります。景太郎と成瀬川の正式な交際が始まったことにより、ヒロインたちが焦っているのが伝わってきます。彼女たちにとっては、この争奪戦が景太郎と結ばれる最後にして最大のチャンスなのでしょう。

景太郎の祖母が提示してきた条件は3つ。「期限は一週間後」「ひなた荘の相続には景太郎が結婚していることが必要」「帰ったとき景太郎の隣にいる女を婚約者とみなす」です。つまり、モルモル王国に旅立ってしまった景太郎をいち早く連れ戻し、ひなた荘で景太郎の祖母と面会することが条件になるのです。最初は景太郎が自分以外を選ぶわけがないとタカをくくっていた成瀬川も、他のヒロインたちの本気っぷりを見て慌てて争奪戦参加を決めます。

成瀬川が争奪戦参加を決めた理由はもうひとつありました。それは、景太郎が居るとみられるモルモル王国の遺跡の名前が「トーダイ遺跡」だったということ。景太郎と成瀬川が幼い頃にした「いつか一緒に東大に行こう」という約束は、十数年後に2人を引き寄せる強力なジンクスとしての役割を果たしていました。成瀬川は「トーダイに行く」というジンクスが他の女の子と達成されてしまうことを危惧したのです。しかも後に、現地には「トーダイ遺跡に男女2人で入ると幸せになれる」という言い伝えがあることがわかり、景太郎争奪戦はますますヒートアップしていくのでした。

カオラの実家の謎がついに明らかに

何気にここまでずっと謎だったのが、「カオラの国籍はどこなのか」という問題。景太郎がカオラのことを「インド娘」と呼ぶ描写もありましたが、実はそのことを裏付けるような説明がこれまで一度もありませんでした。カオラの実家についての描写は「景太郎に似た兄がいる」ということくらいで、あまり詳しく語られてきませんでした。どこの国出身なのか、なぜ日本に住んでいるのか、両親はどうしているのか…などなどカオラは解らないことだらけの謎が多いヒロインだったのです。しかし13巻では、景太郎争奪戦を通して、カオラに関する謎が明らかになっていきます。

実はこのとき景太郎がいる「モルモル王国」は、カオラの母国だったのです。もちろんカオラも景太郎争奪戦に参加するのですが、ここで意外な出来事が起こります。景太郎のことなんて顔も知らないはずのモルモル王国の国民たちまでもが、なぜか景太郎を捕獲しようと集まってくるのです。どうしてモルモル王国の国民が景太郎争奪戦のことを知っているのか…というともちろん、カオラが暗躍していたからなのですが。問題はどうして、モルモル国民が一人の高校生に過ぎないカオラに従ったのかということです。そこには、ラブひな史上でも最大級の秘密が隠されていました。

果たしてカオラとモルモル王国との関係とは?そして他のヒロインたちを出し抜いてまで、景太郎を射止めようとするカオラの真の目的とは?これまで謎に包まれてきたカオラの真実が明らかになっていくのが、この巻の見どころではないでしょうか。1巻からずっと明るくて何も考えていないキャラだと思っていたカオラが、この巻ではまさかの「ラスボス」としての役割を果たします。少し前までこの作品のラスボス的存在だった可奈子も、カオラの本気に巻き込まれて手も足も出なくなってしまいます。彼女がいかにして他のヒロインたちを無力化したのか、注目しながら読んでみてください。

この巻で結婚するキャラクターとは!?

さて、この巻ではある人物が結婚します。ここまで13巻も続けてきて、景太郎と成瀬川の1カップルしか誕生してこなかったこの漫画ですが、「交際」の描写をすっ飛ばして「結婚」してしまうカップルが現れるのです。誰と誰が結婚するのかは本編を読んでみてのお楽しみということにしておきますが、かなり意外な人物の結婚であることだけは明記しておきます。13巻は景太郎と結婚するためにヒロインたちがバトルロワイアルを繰り広げるというエピソードが中心となっていますが、結婚するのはもちろんそのエピソードに関わる人物です。

このように説明すると、「どうせ成瀬川と景太郎が結婚するんでしょ?」と思う方が多いかもしれませんが、それは違います。少なくとも、この巻で結婚するのは成瀬川と景太郎の2人ではありません。もっと意外な人物が結ばれます。ついに景太郎に気持ちを打ち明けた素子、まだ景太郎をあきらめきれていない可奈子、モルモル王国の人たちの応援を受けて景太郎を狙うカオラ…すぐにでも結婚してしまいそうな勢いのあるヒロインはいくらでもいますよね。

もちろん、例に挙げた以外のヒロインが結婚する可能性もあります。この巻のラストで結婚する2人は、成瀬川よりも先に「トーダイ遺跡」に辿りつくことが出来る人物なのです。ただ、このヒロインが結婚するかもしれないという伏線は、これまでにも幾度かはられていました。ストーリーを注意深く読んでいけば、プロポーズのシーンよりも前に結婚するヒロインに気付けるかもしれません。13巻は、誰が結婚するのかを予想しながら読んでもらうと面白いと思います。

まとめ

ラブひな単行本第13巻は、ひなた荘を飛び出して「モルモル王国」で巻き起こるエピソードとなっていました。こうして読んでみると、ラブひなは海外を舞台にしたエピソードの多い漫画という感じがしますね。8巻で収録されていた「パララケルス島編」や、直接の描写は少なかったものの景太郎がアメリカ留学していたこともありました。海外ではなくとも、「傷心旅行編」や「成瀬川失踪編」など、日本各地を飛び回るエピソードも多かったように感じます。意外に、肝心のひなた荘を舞台にしたエピソードは少なかったのかもしれません。

ひなた荘の面々が世界各地を飛び回る理由は、たいてい成瀬川か景太郎のどちらかが失踪し、それを追いかけるという構図になっていますね。しかしこの巻での追走劇は、これまでのものとは性質が全く異なることにお気づきでしょうか。これまでは「景太郎を連れ戻す」「景太郎に東大合格を知らせる」など、単に「ひなた荘の管理人として」心配されていた景太郎。ところがこの巻では、「景太郎を連れ戻した人が彼と結婚できる」という、ヒロインたちの私情によって追いかけられることになったのです。景太郎も初登場時に比べて大きく変わりましたが、ヒロインたちもまた、景太郎の影響を受けて変化したことがわかりますね。

そんなところで、いよいよラブひなも最終巻に近づいてきました。ラブひなは全14巻なので、あとは残すところ4話+エピローグ2話のみとなります。とはいっても、景太郎が抱えていた問題や謎はここまででほとんど解決してしまっているので、あとは後日談的なエピソードになるのか…と思いきや。次巻、最後の最後で成瀬川と景太郎の間を引き裂く問題が発生してしまいます。果たして2人の関係はどうなっていくのか。最終巻も要注目です。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9