みなみけ(2) (ヤンマガKCスペシャル)

「この物語は南家3姉妹の平凡な日常をたんたんと描くものです。過度な期待はしないでください」という気の抜けたキャッチフレーズでおなじみの日常マンガ「みなみけ」。今回は、「みなみけ」の単行本第2巻のレビューをさせていただきます。

みなみけは、本当にこれといった事件の起こらない平和な萌え系マンガです。南家3姉妹と、その友人たちの可愛らしさを眺めて楽しむための作品といった感じですね。今回ご紹介する2巻でも、3姉妹はいつも通り平和に暮らしているだけです。ストーリー性を求めて読むというよりは、癒しだけを求めてマンガを読みたい方におすすめです。

2巻に収録されているのは、第20話「なれなれしい」から、第39話「流してほしい」までの計20話となっています。今のところ、3姉妹と周囲を取り巻く環境に大きな変化は訪れませんが、少しづつ人間関係は広がっていっているようです。この巻で注目したいのは、マコちゃんの登場、藤岡と夏奈の関係の変化、春香の意外な過去…といったところでしょうか。それぞれ、このレビューでご説明していきたいと思います。

あらすじ

小学生のチアキ、中学生のカナ、高校生のハルカの3人で暮らしている南3姉妹。特にこれといって大きな事件も転機もなく、いつも通り平凡な日々過ごしています。この巻で起こる出来事はといえば、クリスマス、大晦日、バレンタインデー、海開きなど。やっぱり普通のイベントばかりです。

以前と変わったことがあるとすれば、南家に男子がよく遊びにくるようになったということくらいです。これまではハルカの友人など、女子生徒しか遊びに来なかった南家。しかしカナが藤岡に告白されて以降、南家には藤岡が家族同然で入り浸ることになります。

そして南家に遊びにくるようになった人物はもう一人…春あたりから、南家には「マコちゃん」というカナの後輩の女の子…という設定の男の娘が遊びにくるようになりました。相変わらず平和な南家ですが、ちょっと不思議な人間関係が出来上がっていくようです。

感想

正直うらやましい…「マコちゃん」誕生秘話

2巻から準レギュラー的に登場するようになるキャラクターが「マコちゃん」です。マコちゃんは一見すると可愛らしい女の子のようですが、その正体はチアキの同級生である「マコトくん」です。マコトくんは以前、チアキ主催の勉強会で南家に来たときにハルカに恋をしてしまったらしく、少しでもお近づきになろうと策を練っていたのです。しかしハルカとマコトくんが仲良くなることを面白く思わなかったチアキが、マコトくんを自宅に呼ばなくなってしまいます。そのことを知って面白がったカナが「変装して私の友達として来りゃいいだろ」と提案し、マコトくんを女装させて生まれたのが「マコちゃん」でした。

最初は嫌がっていたマコトくんですが、女装したことで南家に自由に出入りする権利を手にしてしまいます。マコちゃんの正体に気付いているのはカナと内田の2人だけで、ハルカとチアキは全く気付いていないので問題ありません。バレたときのリスクが大きそうですが、正直うらやましい状況ですね。常にカワイイ女の子のたまり場になっている南家に、自由に出入りできる男子生徒…思春期の少年にとって、こんなに夢のような状況はなかなか無いでしょう。現実で真似したら逮捕される気しかしませんが。

それにしても、マコトくんの狙いはハルカだったんですね。1巻を読んだ時点では、てっきりマコトくんはチアキの彼氏ポジションに収まるために生まれたものかと思っていたのですが。しかしチアキはチアキで、今のところマコトくんのことを異性としては全く意識していないように見えます。こうして見てみると、ハルカやカナはそこそこモテるみたいですが、チアキはあまりモテていないんですね。とはいっても、3姉妹ではチアキだけがまだ小学生なので、恋愛感情なんてあって無いようなものなのかもしれないですね。これからチアキとマコトくんの関係性はどう変化していくのでしょうか。

初代「番長」の正体はハルカだった!?

カナは藤岡のことを、学校を裏から支配する「番長」だと思い込んでいます。実はもう勘違いだったことに気付いているのかもしれませんが、表面上は未だに藤岡への番長呼ばわりをやめていません。そんなある日、図書室で藤岡を「番長」と呼んでいたカナは、それを聞きつけたとある上級生と出会うことになります。その上級生はこの中学校の「三代目番長」と呼ばれているらしく、藤岡が番長と呼ばれていることに興味を持ったようでした。実は先輩たちは番長と言っても不良というわけではなく、この学校では伝統的に多数決で番長が決められているのだとカナたちは知ります。

三代目番長と会話しているうちに、話は「初代番長」に移ります。なんと、この学校で最初に「番長」と呼ばれたのは、南家の長女ハルカだったというのです。たしかに怒ると手がつけられなくなるイメージはありましたが、まさか学校では番長と呼ばれていたなんて…現在はおしとやかで真面目なイメージのあるハルカの過去としては、かなり意外に思えました。番長と呼ばれていたのはハルカの中学生時代のことなので、これより2年前のことになります。2年前までのハルカは、今とは少し性格が違っていたのかもしれませんね。

そして、そんなハルカの番長時代を知ってご満悦のカナは、三代目番長たちから情報を収集し、ハルカの伝説をノートにまとめていきます。どうやら番長時代のエピソードが、ハルカにとっての弱みになると考えていたようです。自宅に帰ってからさりげなく番長エピソードを発表するカナと、予想以上に焦るハルカの姿には笑ってしまいました。ちなみに、ハルカが中学時代に番長としてやらかした行動の数々は、第37話「面白い本」というエピソードで読むことができます。若き日のハルカの度胸と傍若無人ぶりが伝わる貴重なエピソードです。

3姉妹を中心に複雑になっていく恋模様

2巻を読んでいく限り、3姉妹を中心にした恋愛関係が複雑になってきたという感じがします。まず、当初チアキの彼氏ポジションなのかと思われたマコトくんは、チアキの姉であるハルカに恋心を抱いているようでした。そしてチアキはというと、どうもカナの同級生の藤岡に好意があるようですが、一方の藤岡はカナのことが好きで…とややこしくなってきました。1巻からハルカのストーカーを続けている気持ち悪いイケメン・保坂先輩は相変わらずハルカ一筋でストーキングを繰り返しています。普通のマンガなら、関係がこじれて一悶着あってもおかしくないほど複雑な関係になってきました。このマンガにおいては、当然そんな心配はいらないのですが。

また、藤岡に恋をする新キャラ・リコもこの巻で登場しました。リコもかなりの美少女ですが、なにぶん意中の藤岡がカナ一筋すぎて残念な想いをしてしまう女の子です。リコが登場するエピソードとしては、第27話「いっぱいもらった」というエピソードが笑えました。カナ以外の女の子からチョコレートを貰いたくない藤岡と、藤岡が貰ったチョコレートを貰おうと待ち構えるカナ。互いに問題の本質を全く理解していない2人のすれ違いが、コントのようで面白かったです。

みなみけは恋愛がメインのマンガではないので、このまま誰も恋愛関係にならないまま最終回を迎えるという可能性は十分にありますね。この調子だと関係性はどんどん複雑性を増していくのだと思われますが、きっと進展という進展はしないのでしょう。なにせ、藤岡がカナに告白したことは無かったことのように扱われてしまっていますし、保坂先輩なんか2巻も使ってハルカと会話すら出来ていませんし。マコトくんに至っては、ハルカに男だと認識してすらもえらていません。今後の巻で、南3姉妹に対する彼らの恋が成就する日はくるのでしょうか…

まとめ

みなみけ単行本第2巻は、相変わらずこれといった進展の無いエピソードが豊富な巻でした。もちろん決してそれが悪いと言っているのではありません。読んでいくと分かりますが、「何もない」ことこそがみなみけというマンガの真骨頂なのです。むしろ、大した事件も起こっていないのによくこんな面白いエピソードが紡ぎ出せるな…と感心してしまうくらいです。爆笑できるというほどでもありませんが、物語の随所にクスッと笑えるような小ネタが多くて満足です。

2巻に収録されているなかで個人的に好きだったエピソードは、第24話「玄関から来るサンタ」です。クリスマスイブの夜、「とある理由」でサンタさんを信じていないチアキのもとに、サンタに扮装した藤岡がやってくるというエピソードでした。笑ったのは、チアキがサンタを信じなくなった理由を作った張本人であるタケルおじさんが、藤岡サンタを見て狼狽するくだりです。タケルおじさんは作中トップクラスのいい人だと思うんですが、登場する度に何かドジを踏んでいて憎めません。

少しだけ次巻の予告をさせてもらうと、3巻にはみなみけという作品に居なくてはならない重要な新キャラが登場します。「もうひとつの南家」と呼ばれる家族が登場したことにより、南家を取り巻くなんだかややこしい関係は、さらに加速していきます。…なんて書いてみましたが、実際のところは3巻でも、相変わらず平凡な毎日を送る南家3姉妹の日常が描かれるだけです。小難しいマンガや理屈っぽいマンガが増えてきている昨今、このくらいゆるーいマンガがもっと流行ってもいいんじゃないでしょうか。みなみけは、考えるのに疲れて、癒し系のマンガを読みたくなったときにおすすめのマンガですよ。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8