みなみけ(3) (ヤンマガKCスペシャル)

「この物語は南家3姉妹の平凡な日常をたんたんと描くものです。過度な期待はしないでください」という気の抜けたキャッチフレーズでおなじみの日常マンガ「みなみけ」。今回は新キャラ「南 冬馬」が登場する、みなみけの単行本第2巻のレビューをさせていただきます。

みなみけは南3姉妹の周辺で起こった出来事を描くだけの日常系萌えマンガなので、あまり突飛な出来事は起こらないのが特徴です。普通の少年マンガのように新キャラがバンバン登場するようなこともないので、登場するキャラクターもどの巻でもだいたい一緒です。しかし前述の通り、この巻には新キャラの「南 冬馬(トウマ)」が登場し、新鮮な展開をもたらしてくれます。

トウマが登場することを除けば、他はいつも通りの展開が続きます。相変わらず事件は起こりませんし、嫌な気持ちになるような描写もなく、ただただ眺めているだけで幸せになれそうなみなみけの世界を眺めることができる第3巻。マンガを読んで癒されたい方におすすめのマンガですよ。

あらすじ

ある日チアキは、隣のクラスに「南 冬馬」という同級生がいることを知ります。トウマはチアキと苗字が同じであるだけでなく、名前に季節の漢字が入っていることも共通しています。クラスメイトたちは、トウマとチアキが親戚なのではないかと勘ぐっていました。

そのことを知ったチアキは、トウマを弟にしようと思いつき、隣のクラスに出向きます。トウマのことをてっきり男だと思い込んでいたチアキでしたが、いざ会ってみるとトウマは女の子だったことがわかりました。しかし後にひけないチアキはトウマを弟にする作戦を強行、なぜかトウマもそれを了承してしまいます。

それ以来、南家には「チアキの弟」としてトウマが入り浸るようになりました。演じているうちに本当に男と勘違いされることも多くなり始め、どんどん男らしさを上げていくトウマ。そして本当にトウマを家族のように受け入れ、なんだか嬉しそうな南3姉妹なのでした。

感想

チアキの弟?新キャラ「南 冬馬」が登場!

この巻で最も大きな出来事と言えるのが、新キャラ「南 冬馬」の登場でしょう。南3姉妹の「春香」「夏奈」「千秋」という名前に続き、季節の名前を冠する4人目の南姓です。チアキいわく、トウマは南3姉妹とは親戚でも何でもなければ、同級生なのに顔見知りですらなかったそうです。偶然とはいえ、名前が繋がっていることに興味をもったチアキは、トウマを弟にしようと企みます。名前が似ているから弟にしようという豪胆な発想はチアキならではというか…さすがです。

ところがチアキの計画は思わぬ形で頓挫してしまいます。チアキは「冬馬」という字面を見て男の子の名前だと思い込んでいたのですが、実はトウマはれっきとした女の子だったのです。しかしここまで来てあとには引けなくなってしまったチアキは、トウマを「おとこまえ」と言い切り、そのまま弟にしようと目論みます。何故かトウマもそれを了承してしまい、しばらく「チアキの弟」として男を磨いていくハメになってしまいました。実際のところ、トウマもチアキと友達になりたかっただけなのかもしれません。

本当は女の子なのに、男として生きることになってしまったトウマですが、考えてみればこのマンガにはトウマとは逆の立場にあるキャラクターが居ますね。そう、前巻でカナに女装させられ、本当は男の子なのに女の子として南家の面々と接している「マコちゃん」です。この巻に収録されている第41話「どっちだよ」では、トウマとマコちゃんが夢の(?)競演を果たすエピソードが収録されています。どちらも南3姉妹が原因で性別を逆転することになった2人の間に生まれた妙な連帯感に、ついつい笑ってしまいます。

後輩たちからは意外と慕われているらしい保坂先輩

実際にはほとんど接点が無いにも関わらず、何とかしてハルカと付き合おうとしている保坂先輩。これまではハルカのためにお弁当を作ったり、遠目からハルカを眺めたり、ハルカのことを考えながら突然服を脱ぎだしたり…イケメンなのに気持ち悪い行動が目立つ謎のキャラクターでしたが、3巻には保坂先輩を見直してしまいそうになるエピソードが収録されていました。変な人という印象ばかりが先行していましたが、少し空気が読めなくてナルシストなだけで実はかなりスゴイ人なのでしょうね。

第55話「スッキリおさめる」は、保坂先輩が明らかにケンカ慣れしていそうな不良とタイマンをはっているシーンから始まります。思いっきりグーパンチを見舞う不良と、それを涼しい顔でかわし、片手で受け止めてしまう保坂先輩。そして相手の拳を受け止めたまま、「バレーボールをやらないか?」と不良に対して部活勧誘をしています。ケンカ中に部活の勧誘をするところが保坂先輩っぽいですが、実はこの人ケンカも強かったんですね。プロ並みの料理を数日で習得する描写もありましたし、保坂先輩の底はまだまだ見えません。

その回想シーンで保坂先輩に敗れていた不良は、現在ちゃっかりバレーボール部に入部したみたいです。しかも周囲の人物に対してかなり礼儀正しくなっており、不良だったころの面影はほとんどありません。保坂先輩のウザい絡みにもしっかりと応えていますし、意外にも保坂先輩は後輩から慕われていることがわかります。たぶん、保坂先輩の評判は女子生徒と男子生徒の間でハッキリ分かれているのでしょう。少なくとも、男子生徒からはそれなりに慕われているようでした。ちなみにこのとき登場する元不良少年は、とあるキャラクターの兄弟にあたる人物なので、どのキャラクターと似ているか予想しながら読んでみてくださいね。

チアキは藤岡のことをどう思っているのか

もともとカナに告白したことから南家との接点を持ち始めた藤岡。もちろん藤岡は今でもカナのことが好きみたいですが、この巻でも2人の恋愛に進展は全く見られません。藤岡のことを恋愛対象として見ていなさそうなカナに問題があるのですが、このような関係を続けているうちに、チアキの藤岡に対する態度に変化が見られるようになってきました。恋愛感情とは少し違うのかもしれませんが、チアキはあきらかに藤岡に対して好意を抱いているように見えます。

第52話「どうしたいんだよ」では、藤岡と仲良くなってサッカーの話題で盛り上がるトウマを邪魔者扱いし、藤岡を取り返そうとしているチアキの描写がありました。チアキは藤岡をお兄ちゃん代わりにしたいのかと思っていたのですが、トウマに「藤岡の前では男で通せ」と言っているところを見ると、少なからず恋愛感情を持っているように見えます。さらに第59話「姫である」というエピソードでは、藤岡がカナの前でドキッとした姿を見て、明らかに不機嫌になる描写が見られます。

チアキは藤岡が初めて南家に来た時点から懐いていましたが、最近では藤岡を独り占めしようとしているように感じます。もしかすると、南家には父親が居ないので、チアキは藤岡のような年上の男性に憧れを抱きやすいのかもしれませんね。そもそも藤岡はカナの彼氏になるべくして南家に来ているのですが、チアキはカナにも藤岡を渡す気が無さそうです。さすがに今後の展開で藤岡とチアキが結ばれるということは無いにしても、藤岡とカナの恋路には当分の間、チアキが立ちふさがりそうです。藤岡の恋愛成就はどれくらい先になるのでしょうか…

まとめ

みなみけ単行本第3巻は、新キャラクターのトウマが登場する重要な巻でした。当初、トウマを南家の弟として迎え入れようとしたチアキの目論見通り、トウマは今後も家族同然で南家に入り浸ります。最初から姉妹だったと言われても違和感が無いくらい南家に馴染んでいるトウマの姿に、こちらも思わずほっこりしてしまいました。きっとこれ以降の巻でも、トウマはますます南家に馴染んでいくことになるでしょう。ついでに言えば、藤岡もすでに南家の一員と言って差し支えないレベルの馴染み方を見せてくれました。

ネタ的には、ハルカの「番長」としての振舞いが見られたのもこの巻のポイントでした。前巻のエピソードで、中学時代「番長」と呼ばれ畏怖されていたことが明らかになったハルカですが、3巻では随所にハルカの怖い部分が溢れ出ています。ハルカはこの巻で、下級生を殴って鼻血を出させたり、カナとチアキにアイアンクローをキメてトウマをドン引きさせたりしていました。いつも優しいハルカだからこそ、本気で怒ったときに出る迫力がケタ違いですね。ちなみに、どうしてハルカが下級生を殴ったりしたのかは、3巻収録の第55話「スッキリおさめる」で確認してみてください。

今回軽くご紹介した以外にも、3巻はチアキの同級生を集めてパジャマパーティをする回や、みんなでプールに行く回などがあり、萌え系マンガとしての見どころも多いように感じました。登場するキャラクターがひとり残らずカワイイので、見ていて不快感が無いのがこのマンガの魅力でもありますね。「ひとり残らず」というのはもちろん、藤岡や、保坂先輩や、マコちゃんや、タケルおじさんまで含めての話なのですが。というか、南3姉妹を守るためにいつもヤキモキしてるタケルおじさんがある意味で一番カワイイのかもしれません。そんなわけで今回は、みなみけ第3巻のレビューをさせていただきました!まだ未読の方はぜひ読んでみてくださいね!

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9