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みなみけ(5) (ヤングマガジンコミックス)

「この物語は南家3姉妹の平凡な日常をたんたんと描くものです。過度な期待はしないでください」という気の抜けたキャッチフレーズでおなじみのマンガ「みなみけ」。キャッチフレーズの通り、ごく普通の3姉妹が暮らす様子を眺めるだけの日常系萌えマンガです。今回は、みなみけ単行本第6巻のレビューをさせていただきたいと思います。

5巻でも、平和に暮らす南3姉妹のカワイイ姿を眺めることができます。相も変わらず大した事件は起こりませんが、すでにこの作品を1巻~4巻まで読んだ方にとって、そんなことは承知の上だと思います。あえて言えば、みなみけ5巻の魅力は「いつも通り」であることですね。

この巻で起こるイベントとしては、七夕、夏休み、家庭訪問、クリスマス、バレンタインデーなどがあります。他にも、もはやお馴染みとなった南家での勉強会や、「もうひとつの南家」との交流など、いつも通り盛りだくさんの内容です。今回はみなみけ単行本第5巻に収録されている中からオススメのエピソードのレビューを行っていきたいと思います。

あらすじ

小学生のチアキ、中学生のカナ、高校生のハルカの3人で暮らす南3姉妹の家には、以前にも増して多くの友人が訪ねてくるようになりました。トウマや藤岡といったいつものメンバーはもちろん、藤岡とお近づきになろうと目論むカナの友人・リコや、トウマの兄たちも南家の面々と親密になってきたようです。

特に、トウマの兄の一人であるナツキは、どうやらハルカに気があるようです。当のハルカは何故かナツキを邪険に扱うことが多いため、彼のことをどう思っているのか未だ不明ですが、ある意味で他の男性に対するときよりも気を許しているのではないかとカナは分析しているようです。

多くの友人と触れ合い充実した日々を送る南3姉妹でしたが、ある日「悲しい夢」を見たチアキに心境の変化が現れます。夢を見たくらいで性格が変わるチアキを見て最初はあきれていたカナでしたが、次第にカナの身にも変化が起こり始めます。近頃バラバラに行動することが増えていた南3姉妹でしたが、この件をきっかけに互いの絆を再確認することになるのでした。

感想

七夕からクリスマスまで!イベント盛りだくさんの5巻

みなみけは、週間ヤングマガジンに隔週ペースで連載されていて、1話が8ページしか無いので単行本の発刊周期が遅い作品です。単行本1冊分には20話分収録されているので、1巻分のエピソードが溜まるまでには1年近くの時間がかかる計算となります。作中の時系列はある程度現実とリンクしているため、単行本1冊ごとに作中時間も1年過ぎるということですね。そのため、これまでのみなみけ単行本を読んでみると、ほとんどの巻にクリスマス回があります。単行本の発刊スピードが遅いことで、季節色の強いイベントを絡めたエピソードが多くなることは、みなみけという作品の特徴になりつつあります。

もちろん5巻にもクリスマス回が用意されていました。しかしこれまでのクリスマス回と一味違うのは、そのエピソードの主人公となるのがチアキではなくトウマであるという点です。これまでは、チアキのために藤岡がサンタさんに扮装するエピソードや、チアキがプレゼント用のくつしたを作る回など、クリスマス関連のエピソードはチアキの行動を中心に描かれてきました。しかし今回はチアキよりも若干大人の目線からクリスマスを見ているトウマが主人公となっていて、今までのエピソードとは違う新鮮な切り口の物語を堪能することができます。

この巻にはクリスマスの他にも、七夕、夏休み、家庭訪問、バレンタインデーなどのエピソードが収録されていました。夏休みやバレンタインデーのエピソードは毎巻おなじみといった感じですが、七夕と家庭訪問のエピソードはみなみけ初ですね。個人的に好きだったのは、第83話「願い事とか」では、カナが七夕の短冊に書いた一文が原因でハルカとチアキが大慌てする件です。南3姉妹の絆を再確認できるような良いエピソードでした。

何やら親密になってきた様子のハルカ&ナツキ

トウマの兄として3巻で初登場したナツキですが、何故か巻数を重ねるごとにハルカと親密になってきた印象を受けます。現在ハルカとナツキは同じ高校に通っており、学年こそ違いますが、校内で会えば会話を交わす程度には仲良くなっているようです。とはいっても決して「仲良し」と呼べるような関係では無いようで、ハルカはナツキに対して強く当たることがほとんどです。ナツキは先輩であるハルカを敬っているようですが、ハルカの方は無神経な発言をするナツキに怒りをあらわにする描写が多くみられます。

しかし、客観的に見てみるとナツキに対するハルカの言動や態度は、好意の裏返しなのではないかという気もしてきます。前巻でカナが「今までハルカがあんなに感情的になる相手がいたか?好きなんじゃねーの?」と評していたことも、案外的を射ていたのかもしれないと思わされます。実際ハルカはナツキのことを嫌っているというわけではないらしく、この巻でもハルカ側からナツキに電話をかけるシーンや、クリスマスプレゼントの選び方に悩むナツキの相談に乗ってあげたシーンが見られました。初対面で顔面を殴った者と殴られた者の関係だと考えれば、かなり驚異的なスピードで仲良くなっていると思えなくもありません。

一方、ナツキのほうは少なからずハルカを異性として意識しているようです。わざわざ学年の違うハルカの教室まで会いに来るシーンや、たまたま手に入れたハルカのセクシーな写真に見入るシーンがありました。以前は硬派なヤンキーだったため、これまで異性との関わりが少なかったナツキにとって、ハルカは初めての「物怖じせずに近づいてくる女性」だったのかもしれません。思い返してみれば、ナツキは初対面のハルカに殴られたあと、何故か笑顔で機嫌よくしていました。もしかすると、強い女性が好みなのかもしれません。ナツキとハルカの関係については、回想シーンなどの細かい描写が多いので、見落とさないよう注意して読んでみてくださいね。

なんやかんやで仲のいい南3姉妹にも注目

この巻でも最もオススメのエピソードが、5巻では一番最後に収録されている第101話「たまには」です。近頃は友人たちに焦点を当てたエピソードが多くなっていたみなみけですが、このエピソードは純粋に南3姉妹だけが登場する久しぶりの回となっています。大まかなあらすじを説明すると、このエピソードではいつも勝ち気なチアキが「悲しい夢」を見たことが原因で、カナにぴったりくっついて離れなくなってしまいます。チアキが見た夢はカナが買い物に行ったきり行方不明になってしまうというものだったらしく、しっかり捕まえていないとカナが居なくなってしまう気がしたようです。

いつもはカナを「バカ野郎」扱いして触れようともしないチアキですが、このエピソードではすごく大人しくカナに抱きついています。連載が始まって以来、こんなにしおらしいチアキの姿は見たことがありません。かなりレアな回だと思います。そんなチアキにあきれつつも無理やり引きはがそうとはしないカナや、事情を知って2人をほほえましく眺めるハルカ。南3姉妹の仲の良さが伺える良回でした。さらにこのエピソードのラストでは、チアキにあきれていたカナにも変化が起こります。カナの身にどんな変化が起こってしまうのかは、ぜひ本編で確認してみてください。

また、先ほども少し触れましたが第83話「願い事とか」も南3姉妹の絆を確認できるエピソードとなっています。こちらはカナが七夕の短冊に「私はもう、いらないので消えますよ」とだけ書いてどこかへ行ってしまうというストーリーです。短冊を家出の書き置きだと思ったハルカとチアキは、カナに厳しくしたことを後悔してしまいます。もちろんカナは本当に家出したわけではないのですが…どうしてこんな騒動が起こってしまったのかは、こちらも本編を読んでのお楽しみです。

まとめ

みなみけ単行本第5巻は、南3姉妹の仲の良さについ癒されてしまうエピソードが多い巻でした。特に第101話「たまには」と、第83話「願い事とか」の2本は、みなみけファン必見の良回だったと思います。姉妹の友人たちに魅力的なキャラクターが多すぎて、最近はサブキャラクターがメインになったエピソードが増えてきていた感がありましたが、この巻では南3姉妹がメインとなり原点に立ち返ったようなエピソードが多かったです。カナにベッタリくっついて離れないチアキや、いつも厳格なハルカがカナを甘やかせば良かったと後悔する姿など、姉妹のレアな姿が拝めますよ。

もちろん、サブキャラクターたちも相変わらず大活躍です。もはやお家芸のようになったマコちゃんとトウマの性別交換ネタもありますし、カナと藤岡とリコの不思議な三角関係も健在です。また、前巻から登場したチアキの学校の保険医・熊田先生がこの巻で早くも再登場します。なぜかチアキの担任の先生の代わりに家庭訪問をすることになった熊田先生が、何故かタケルおじさんとお見合いを始めるというギャグ回です。熊田先生はかなり強烈なキャラクターなので、今後もちょくちょく登場するかもしれませんね。

あまり新キャラの登場頻度の多くないみなみけという作品ですが、実はもともとの登場キャラクター数が多いこともあり、巻が進んでも飽きが来ないのが魅力ですね。5巻も例に漏れず新キャラは1人も登場しないのですが、今までのキャラクターが今まで通りの展開を繰り返しているだけで十二分に楽しめました。ただ、この巻にひとつ残念なことがあるとすれば、読者に人気のキャラクターである保坂先輩の出番が無かったことです。もともと出番の多い人ではありませんが、1巻に1エピソードくらいは保坂先輩主役の回が無いと物足りない感じがしますね。次巻では保坂先輩の活躍が見られるのでしょうか?6巻も楽しみにしたいと思います。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8

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