かつて魔法少女と悪は敵対していた。(3)(完) (ガンガンコミックスJOKER)

『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』3巻は敵対するはずの悪の参謀と魔法少女が殺しあわない、シチュエーションラブコメディです。魔法少女に一目ぼれした悪の参謀の愛情は病的な域に達しており、自分の立場と感情との狭間で悶絶し続けることになるのです。

魔法少女が囚われの身になり、監禁が始まったことで悪の参謀であるミラの感情は歯止めが利かないのではという域に達してしまいます。魔法少女も自分多とらわれたことをすんなり受け入れてしまうのも問題で、敵対のての字も出てこないから完全な茶番劇が繰り広げられる事もしばしばと言う状態になります。

連載中に作者の藤原ここあ先生が病死したため、結末を迎えないまま3巻で完結しているのも特徴となります。巻末には藤原ここあ先生のデビューのきっかけとなった投稿作が掲載されていますが、キャラクターの設定やネーミングから『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』に引き継がれている設定があるのです。

あらすじ

悪の参謀であるミラは敵対する魔法少女に一目ぼれしてしまい、戦わずに贈り物などを贈って親交を深めていくことになります。表向きは敵対ままであるものの、魔法少女が囚われの身になったことから事態は急展開を迎えることになります。

実は魔法少女が囚われの身となるのは二回目のため、今度は逃がさないように厳重な警備がしかれます。しかし、ミラは監禁の趣旨を取り違えたかのようなおもてなし体勢を整えてしまい、魔法少女を手厚く保護する形になってしまいます。

表向きは敵対することになっているため様々な手法を用い、魔法少女から重要な情報を引き出そうとするミラですが、全くうまくいきません。何かしようとするたびにあまりの可愛らしさに目的を忘れることを続け、結局ラブラブ空間が出来てしまうのです。

感想

早々に拉致監禁が始まるものの危機感はゼロ

今回は冒頭で魔法少女が捕まってしまい、悪の組織の所有する塔に幽閉される形になります。形としては拉致監禁ではあるものの、病気になってしなれては困るからとミラがふかふかの別途や心を癒す花などを用意してしまい、拉致監禁とは何かが問われるような事態になってしまいます。当然危機感はゼロで、むしろ危険なのはミラの理性や悪の組織での地位などになってしまいます。表向きは敵対しているため周りから早く結果を出すように催促されるなど、ミラの苦難の日々が始まるのです。

ポイントになるのが、ミラの魔法少女のもてなしぶりです。むしろ、用意しているアイテムなどを見たら完全に恋人をもてなすような物ばかりになっており、そこから色々ばれるのではとツッコミたくなります。しかし、もともと有能でうっていたミラのため、誰も疑いを抱かないままツッコミ不在のまま物語が進行していくのです。魔法少女も完全人状況を受け入れてしまうため、ラブコメ要素は1巻や2巻よりも強くなっています。完全にホームラブコメのノリです。

ツッコミどころは監禁中の魔法少女の衣装にも現れています。胸元の開いたドレスやチャイナドレスなど、それこそ誰がなぜその衣装を用意したのかと言いたくなるものばかりとなっています。冷静に考えればミラ以外に衣装を用意する人間がいないため、かなりフェチズム的な趣味の持ち主であることがわかります。そのくせエロいことをしようとすると躊躇してしまうため、妄想オチになってしまうのもポイントです。妄想上はモザイク多めで、全年齢対象に配慮したつくりになっています。

シチュエーションで萌えを演出する力は相変わらず

3巻は拉致監禁されていると言うこともあり、魔法少女はほぼ変身せず、ミラの用意した衣装ばかり着ることになります。その癖にフェチズムにあふれたセレクトがされているだえけでなく、シチュエーションに凝っているのも特徴になっています。1巻2巻でも発揮されたフェチ心をくすぐり萌えさせる実力は健在で、より表情などの変化に重点が置かれる形になっています。実際に美少女に上目遣いで寂しそうにお願いされたら断れることなどないのではと思ってしまいます。

ギャグ要素も健在で、一応拷問をする体裁を保つためにミラが知恵を絞るのも見所です。言葉だけを聞くと非常に残虐ではあるものの、実態を見ると完全に茶番と言うシーガン繰り返されるのも3巻の特徴です。問題は魔法少女の一言でミラの理性が崩壊しかけることが何度もあると言うことで、むしろそのまま勢いに任せた方が幸せに慣れるのではと突っ込みたくなるほどです。妄想がはかどる台詞も非常に多いため、想像力がある人間ほどエロく聞こえてしまうのです。

健気な少女がひたすらに愛する人を待つような構図になっているため、不幸さや悲壮さは全く感じないのもラブコメ度に拍車をかけるポイントです。二人の感情は完全に両思いというレベルになっているため、立場の違いさえなければ全く問題が生じなくなるのです。それでも悩んでしまうあたりがミラのかたい部分と言えます。一方で、功績を挙げて戦利品として魔法少女を貰い受けると言う考えも浮かぶようになるあたり、若干は欲なども出て思考が柔軟になりつつあるのがわかります。

魔法少女以外の女性キャラのサービスシーンも

3巻は2巻に引き続き悪の組織の女幹部が登場します。ミラに思いを寄せているだけでなく妄想癖が激しいキャラのため、妄想が垂れ流しの状態になると自然とサービスカットになります。タイプの違う女性のサービスカットがあると言う点ではお得度が高いのも特徴です。ただし、3巻のメインはあくまで魔法少女であり、サービスカットの割合としては若干低めです。とはいえ、褐色肌、エルフ耳、ナイスバディの悪の女幹部と言う属性が好みであれば読んでみるのも方法です。

投稿作でも女性キャラの露出度は若干高めになっているのもポイントで、特に胸元や肩の露出にこだわりがあるのは変わっていないことがわかります。投稿作品はフェチズム的な要素は少なく、あくまでファンタジー要素と悪と人間が敵対すると言う構図や、登場人物の名前に共通点があるのみです。フェチズム的な魅力は藤原ここあ作品に共通するものではあるものの、最初期には無く、連載を始める中で見につけていったものと言えます。投稿作品は中学生時代に物であり、アナログ全盛の時代だったことも含めて読むと色々見えてくるものがあります。

魔法少女のサービスシーンと、魔法少女以外のサービスシーンが両方ある3巻ですが、台詞をよく読むとエロさが増すようになっているのは把握しておきたいポイントです。特に3巻はじめの魔法少女のマスコット同士の口論は見もので、非常に妄想がはかどるようになっています。一方で会話の内容がひどいため、笑いどころも多いのが特徴です。見た目でも話の内容でもエロやお色気の成分が多めに入っているものの、決して露骨なエロになり過ぎないバランスは絶妙と言えます。

まとめ

連載中に作者が亡くなった作品であり藤原ここあ先生の遺作となった作品ですが、悲壮さなどは全く無く、読んで純粋に楽しめる作品になっているのが特徴です。フェチズム的なエロさやシチュエーションにこだわった萌えは一読の価値があり、代表作の一つになっています。続きが読めないことや、しっかりとした完結が見れないことが残念である一方で、妄想で補う余地も多く、下手な打ち切りなどよりも歯切れのいい終わりになっているのもポイントです。

中学生でデビューを飾った漫画家で、アナログマンガでデビューしたことなど、時代の変化を感じる部分もあります。デジタル化が進み、web連載から単行本化される作品も珍しくなくなっているからこそ、投稿作品の資料的な価値が増している部分もあります。キャラクターの名前などから作者の思い入れなどが伝わる部分も多く、創作に関わる人間であれば共感する部分があるはずです。本編以外にも価値があるため、萌えマンガ好きならおさえたい本の一つになっています。

何気に魔法少女の露出度が高いのもお約束です。各話ごとに胸元が開いた衣装になるか、脚線美を重視するかが異なってくるため、どちらが好きな人でも楽しめるようになっています。貧乳好きには若干物足りないものの、ロリ巨乳やエロスを求めるのであれば文句なしでおすすめです。ミラの想像も含めて妄想シーンも多めになっているため、想像力に自信があれば余計に楽しめます。変身していないのにフリルレース分も多めになっているため、衣装フェチも楽しめるようになっています。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9