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かぐや様は告らせたい 1 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)

「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」は、現在週刊ヤングジャンプにて連載されている作品です。学園の生徒会長を務める白金 御行(しろがね みゆき)と、副会長の四宮 かぐやによるラブコメが楽しめる人気マンガです。

この作品において、かぐやはヒロインではなく「主人公」に位置付けられています。一方で会長も「もう一人の主人公」と決められており、男女2名のW主人公形式というラブコメにはちょっと珍しい作品となっています。男女どちらか一方の目線から描いたラブコメではなく、両方の視点から恋愛を進めていくという面白い発想のストーリーがこの作品の特徴です。

1話の冒頭ですでに、会長とかぐやの2人はいわゆる両想い状態にあります。双方ともに一刻も早く付き合いたいと考えているのですが、なかなか恋愛が成就しません。その理由はタイトルにもある通り、2人とも自分から告白するのではなく相手に「告らせたい」と考えているからなのです。天才たちが集う学園で1位2位の学力を有する2人が「恋愛」のためだけに頭脳戦を繰り広げる様子が笑える、今大注目の萌え系マンガですよ!

あらすじ

かつて貴族や士族を教育する機関として設立された名門校・私立秀知院学園。貴族制が廃止された現在でも、そこに通う生徒たちは将来国を背負うことを約束された優秀な人材ばかりです。そんな優秀な生徒たちのなかでも、ひときわ強い存在感を放っているのが生徒会長の白金 御行と、副会長の四宮 かぐやの両名。常に学生たちのトップに君臨する2人は、全校生徒のあこがれの的です。

たしかにズバ抜けて優秀な2人でしたが、会長とかぐやには誰にも言えない秘密がありました。それは、相手に「告らせよう」と画策しているということでした。会長とかぐやは両想いにも関わらず、2人とも絶対に自分からは告白しないと決め込んでいるのです。プライドの高い2人は、「告った方の負け」だと勝手に自分ルールを作ってしまっているのです。

もともと全国レベルの天才である両名は、相手に告白をさせようと様々な謀略を巡らせます。思いもよらないような作戦で攻め続けるかぐやと、それを華麗にかわして反撃する会長、そして何も気付かず空気をぶち壊す藤原書記。周囲の人間には気づかれないほど高い次元で繰り広げられる2人の恋愛頭脳戦は、果たしてどちらに軍配があがるのでしょうか。

感想

「恋愛頭脳戦」という発想が面白い!

学園を舞台にしたラブコメはこれまでも腐るほどありましたが、この作品が面白いところは「恋愛頭脳戦」という発想です。自分から告白をするわけでも、相手が告白してくれるのを待つわけでもなく、積極的に相手に「告らせよう」という展開をここまで本格的に描いた作品はこれまで無かったのではないでしょうか。この作品の主人公にあたるかぐやと会長の2人はどちらもプライドの塊のような人間であり、最初は「自分ほど魅力的な人間なら、放っておくだけでもあっちから告白してくるだろう」とタカをくくって生活しています。しかし相手に告白する気が無いと知るや否や、2人の思考は「告白を待つ」から「告白させる」に切り替わるのです。

日本トップレベルのポテンシャルを持つ2人の恋愛頭脳戦は、とにかく笑えます。本来ならとっくに両想いなのでどちらかが告白してしまえば丸く収まる話なのですが、「自分からは絶対に告白しない」という一点において、両者は頑として譲りません。周囲からは普通の世間話しか聞こえないような会話も、本人たちにとってはカマの掛け合いと誘導尋問の仕込み合いになっているのも秀逸です。W主人公と言うだけあって、会長が攻撃手になることもあれば、かぐやが攻撃手になることもあり、どちらが勝つかはまだまだ分かりません。

この作品では、エピソードごとのラストに毎回「勝敗」が表示されます。最後に表示される勝敗が、そのエピソード中でどちらがより優位に事を進めたかが分かる「オチ」になっているのもこの作品の特徴です。一応は会長とかぐやの対決という図式にはなっていますが、2人の最終目的が「相手と付き合いたい」である以上、どちらも応援したくなってしまいます。この作品を読んだ読者は「どっちが勝ってもいいけど2人とも頑張れ!」とつい変な応援したくなってしまう、不思議な図式のマンガであるといえるでしょう。

ヒロインはかぐやではなく藤原書記

かぐやはヒロインだと勘違いされがちですが、かぐやはあくまでこのマンガの主人公であって、ヒロインではありません。公式の発表で「かぐや様は告らせたい」のヒロインは生徒会メンバーのひとりである「藤原 千花」だとされています。藤原 千花は秀知院学園生徒会で書記を務めている人物で、会長とかぐやの恋愛頭脳戦をかき乱す超天然ボケの女の子です。ヒロインと称されるだけあって、毎回のようにこのマンガのオチに関わる重要な役どころを担ってくれています。

会長やかぐやと常に顔を突き合わせている生徒会メンバーでありながら、藤原は2人の頭脳戦の応酬に全く気付いていません。それどころか、少なくともこの1巻の時点では会長とかぐやが秘めている恋心にも気づいていないといった様子です。何も気付いていないため、藤原は2人の立てた「告らせる」ための作戦をよく台無しにしてしまいます。しかし本人に全く悪気がないので、会長もかぐやも、藤原に対して本気で怒ったりはしません。恋愛成就のためとはいえ常に相手を陥れようと画策している会長とかぐや、2人の雰囲気が必要以上にギスギスせずに済んでいるのは、間違いなく藤原の功績だと言えるでしょう。

そんな藤原の役どころの重要性を最も感じることが出来るのは、1巻収録の第10話「生徒会は悪戯したい」というエピソードです。生徒会室で居眠りをしていた会長に対し、かぐやが洗脳のために睡眠療法を行おうとするのですが、ちょうどそこへ藤原が現れて…という内容になっています。かぐやが組み立てた告らせるための作戦も、それを返り討ちにするための会長の企みも、風のように現れた藤原が「かなりバカらしい方法で」全て破壊してしまいます。日本トップレベルの天才たちも、いつも天真爛漫な藤原には敵わないようです。

おすすめは第5話「かぐや様はいただきたい」

1巻に収録されている10話のなかから、最もおすすめのエピソードを挙げるとすれば第5話「かぐや様はいただきたい」が秀逸な回でした。これは、会長が持ってきた手作り弁当をひとくち貰うために、かぐやが様々な謀略を巡らせるというエピソードです。いつもは会長に告らせるために作戦を練っているかぐやですが、この回では純粋に「会長の手作り弁当が美味しそう」という理由だけで行動します。作中の説明によれば、かぐやは大富豪であるため、タコさんウインナーやハンバーグなどが詰め込まれた庶民的な弁当を見たことがなく、「宝箱のように見えた」のだそうです。

しかし会長の弁当を目にする直前、かぐやは「ひとくちちょうだい」と言って彼女の弁当を貰う男子生徒の姿を目撃しており、彼を「物乞い」扱いしてしまったため、自分から会長の弁当を貰いにいくわけにはいかないのです。このエピソードは、いつもの恋愛頭脳戦とは一味違い、生徒会メンバーの素性に迫れる回でもありました。完全無欠に見えたかぐやの「庶民の生活へのあこがれ」が垣間見えてきます。果たしてかぐやは、会長の弁当を分けてもらうことができるのでしょうか?かなり笑える回なので、ギャグ好きの方必見です。

ちなみに、もちろんこの回をかき乱すのも我らがヒロイン藤原書記の役目です。自分から「ひとくちください」とは言い出せないプライドの高いかぐやを尻目に、藤原は会長の弁当を見て2秒でひとくち貰うことに成功します。しかも翌日から会長は藤原の分の弁当まで作ってくることに…このことが、会長の弁当を貰うために必死だったかぐや様の逆鱗に触れることになります。とはいえ、結局その場を収めるのも藤原の役目なのですが。生徒会にとって藤原書記の存在の大きさを知ることができる回でもありました。

まとめ

「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」というタイトルは、この作品の本質をしっかり表現しています。この作品で起こる出来事は基本的に、主人公である会長とかぐやの熾烈な恋愛頭脳戦を中心に描かれています。天才同士の頭脳のぶつかり合いは見事というほかありませんが、しかし読んでいるこちらとしては頭を使わず気楽に読めるマンガでもあります。ギャグ成分の強いラブコメといった感じでしょうか。とにかく毎回生徒会メンバーの掛け合いには笑わせられます。

ストーリーの面白さはもちろんのこと、この作品を読むときは登場するキャラクターの可愛さにも注目です。いつも冷静沈着という設定のかぐやですが、実のところ作中ではよくテンパったり、天然ボケを発動することも多く、客観的に見ればちょっと抜けたキャラクターだったりします。会長への恋心を頑として認めないかぐやですが、実際はかなり会長に惚れ込んでいるみたいです。第6話「白金 御行は隠したい」というエピソードでは、かぐやが会長に褒められて真っ赤になっているシーンがあるのですが、いつものクールな表情とはギャップがあってかなり可愛かったです。

「ストーリーが面白い」「キャラクターがカワイイ」という2点を兼ね備えたこの作品は、萌え系マンガの中でも近年稀に見る良作ではないかと感じます。読者も目が肥え、ストーリー構成かキャラクターデザインのどちらか一方でも欠ければ「駄作」とされてしまう近年、ここまでバランスのとれた作品もそうは無いと思います。まだ連載が始まって間もないため、知名度がそこまで高くない作品ですが、きっと今後大きな話題を呼ぶ作品となるのではないでしょうか。未読の方には是非、まずはこの「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」第1巻を手に取ってみることをおすすめします。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

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