古見さんは、コミュ症です。 1 (少年サンデーコミックス)

『古見さんは、コミュ症です。』1巻はコミュ症が行き過ぎてほとんど会話が出来ないヒロイン古見さんを中心にしたコミュニケーションコメディです。古見さんがコミュ症を克服するために友人を作ろうとする姿を中心に物語が進んでいきます。

古見さんは絶世の美少女で、ただ立っていても絵になるため誰もコミュ症だと気づいていないのがポイントです。主人公の只野くんだけがその状態に気づいてしまい、斜め方向に向かっていく世間のギャップとも戦っていくことになります。

黒髪のクール系美人でコミュ症という古見さんの性格のギャップが読者から好かれるポイントになっています。女性キャラクターのバリエーションは少ないものの古見さん一人でも内面の葛藤などを含めて十分な萌えを供給してくれるのです。

あらすじ

只野くんは普通であることが個性の高校生です。高校入学でたまたま絶世の美少女である古見さんの隣の席に座ることになりますが、周囲から嫉妬に視線を浴び、邪魔者扱いされるなど入学早々痛い目にもあってしまいます。

しかし、ふとしたきっかけで古見さんと交流することになり、彼女が極端なコミュ症であり、人と話すことに緊張を覚えてしまう人間だと言うことがわかります。古見さんがコミュ症だと気づいた只野くんは少しでも力になろうと友達作りを手伝うことにするのです。

見た目から気になっていただけでなく、内面を知るうちにますます引かれていく只野くんですが、只野くんの優しさに古見さんも惹かれるようになっていきます。コミュ症克服のために様々な障害と闘うだけでなく、二人の関係がどうなっていくかも見ものです。

感想

クール系美人なのにあまりにも気が弱い古見さんに萌える

古見さんはコミュ症の症状を極端に抽出したキャラクターであり、人は話そうとしても緊張して言葉が出なくなってしまいます。失敗を恐れる心などは誰でも持っているものであり、自分自身がコミュ症なのではと思っている読者の方もそう珍しくないはずです。そういった意味で非常に共感を得やすいキャラであり、コミュ症あるあるから感情移入しやすいのが特徴になっています。しかし、クール系美人のため内面がそうと推測する事は難しく、かなりのギャップがあります。

ギャップ萌えが極端に出るのは只野くんへの態度です。思春期の女性らしい恥ずかしさが立つ部分もあり、素直に伝えられない事も非常に多いのです。只野くん自体が恋愛ごとに疎く、非常に鈍いキャラなので余計な回り道をせざるを得ない場合もあります。感情表現が苦手な古見さんのテレた姿は必見で、中毒的な読者が多い原因の一つになっています。心の中で極端すぎるとツッコミを入れつつも可愛らしいと思ってしまうのです。それだけで只野くんは幸せ者と言えます。

古見さんが普段非常にもてるのも読者の優越感をくすぐるポイントになっています。他に古見さんの本当の姿を知っている人はいないため、心の交流をできる人間自体がいないことになるのです。アイドルなどを独り占めにするような感覚もあるのが古見さんに萌える人が多い理由の一つになっています。物語が進むにつれ友達といえるかは微妙な学友が増えていきますが、個性が強すぎることと性格に難がありすぎる面々ばかりのため、しばらくはライバル登場と言った展開にならなさそうな安心感もあります。

個性的でアクが強いキャラばかり出てくるのもポイント

『古見さんは、コミュ症です。』の登場人物は非常に個性的なのが特徴です。と言うのも、只野くんと古見さんが通う高校は個性を重視して生徒を集めており、アクが強いキャラしか集まらないようになっているためです。普通を愛する只野くんがなぜ入学を決意したかというなぞは残るものの、教室に普通に忍者がいるなどかなり異常な状態になっています。多くの人は苗字と名前が性格などを体現するものになっていて、古見さんも下の名前が硝子でつなげると『こみしょう』と文字が入るなど非常にわかりやすいものになっています。

古見さん以外の女性キャラも登場しますが、山井さんは明らかに精神的に病んでいて言動が危ういなど、ヒロイン力にかける形になっています。中には性別不明のキャラなども出てくるため、コミュ症であろうと古見さんのヒロイン力が輝く形になっているのです。なお、学校の生徒全員と幼馴染のキャラなど、ぶっ飛んだ設定のキャラも出てきますが、つっこんだら負け状態になっています。常識がある人ほど損をするような学校であるため、古見さんの友達作りは難航する形になるのです。

周囲の人物に難があるとはいえ、友達作りの努力を続ける二人には受難が待っていることになります。受難は受難で笑いの要素になるため、読者からすれば毎回ギャグによる波乱がある感覚になります。1巻でどれだけ友達が増えるかは読んでみてのお楽しみですが、友達と呼んで言いのか分からないキャラも増えていくのがポイントです。古見さんが美人過ぎて周りから崇拝される粋までになっているのもその原因の一つですが、普通って何かと考えたくなるようなマンガでもあるのです。

毎回斜め上にいく古見さんへの誤解も見所に

このマンガの見所の一つに、周囲の人間が古見さんに対して抱く誤解の斜め上さがあげられます。毎回どうしてそういう結論に至るのかわからないという感じに周囲が都合よく解釈していくため、古見さんがコミュ症だということが全くバレないのです。物事を好意的に解釈するにしても限度があるため、限度を越えるとギャグにしかなりません。周囲とのギャップがそのまま笑いになってしまうだけでなく、ほぼ毎回誤解が大きくなっていくところもこのマンガの見所なのです。

注意したいのはいつも学校で顔を合わせる人間だけでなく、初めて会った人間も古見さんを誤解してしまうところです。どのように飛躍してどのように着地するかが見所の一つであり、その予想のつかなさが腹筋を攻撃する形になります。古見さんがオシャレなコーヒーショップでトッピングつきコーヒーを注文をする回がありますが、店員の発想が斜め上すぎてひどいことになっています。人の親切心も行き過ぎればトラブルの元になってしまうのが良くわかるという物悲しさもあります。

古見さんの行動を好意的に取ってしまうのは教師も一緒のため、本当に大丈夫なのか突っ込みたくなる瞬間もありますが、やはり突っ込んだら負けです。かなり強引なギャグ空間になっているため、リアリティよりもノリを楽しむ人向けのマンガなのです。会話のテンポや物語の緩急と言ったリズムは良く、たまに超のつく急展開が入るのがこのマンガの魅力でもあります。どのように古見さんを好意的に解釈すればよいのか頭を悩ませるようになったら立派な中毒患者です。

まとめ

コミュ症をギャグテイストで書いた本作ですが、ヒロインは美人でコミュ症だけど主人公と読者以外は気づいていないと言うのが魅力の一つでもあります。憧れの人の秘密を除くような感覚で読み始めることができるだけでなく、古見さんのコミュ症な部分に共感しながら読み進められる人も多いはずです。展開の速度が速くギャグに偏っている部分はあるものの、しっかりとヒロインのかわいさを打ち出すシーンが入っているのも好感が持てるポイントになっています。

1巻時点でキャラクターのバリエーションはあまり多くなく、ちょっとだけ絡む女性キャラの方が多いのが若干の難点です。古見さんが黒髪ロングのクール系美人、そして脚線美重視の構図が多いためツボに入るなら買いです。ハーレム系の話ではないものの、主人公の只野くんが微妙に性別不明な幼馴染にもてるなど、古見さんの嫉妬を買うシーンも若干混じっています。2巻以降はキャラクターが増える前提で予告が組まれているため、シリーズの入門としておすすめと言えます。

ポイントになるのが古見さんがまれに見せる表情の変化です。とくに照れ顔などは破壊力が高くなっています。行動で感情表現をすることも多いため、貴重なシーンはたいてい大きなコマを使って描かれています。普段ギャグ率が高いだけに、その可愛らしさのギャップにはまってしまう人も多いのです。基本的にツッコミ不在に近いギャグマンがですが、萌えのポイントはしっかり抑えられています。あとは只野くんと古見さんの関係がどうなるかも含めて気になる作品です。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8