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かぐや様は告らせたい 2 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)

相手に「告らせたい」という一心で熾烈な恋愛頭脳戦を繰り広げる生徒会メンバーの姿を描いたマンガ「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」。今回は、強情だったかぐやの態度が緩み始めるエピソードが豊富な単行本第2巻のレビューをさせていただきます。

前巻では、会長をはめる策略を数々打ち出しつつも、藤原書記の悪意なき妨害もあり、ほとんど成功を収めることが出来なかったかぐや。しかし数々の作戦失敗を通して会長との距離が縮まってきたのか、この巻では高圧的だった初期に比べると、かぐやの態度がかなり緩んできています。会長への気持ちを隠しきれなくなっている場面も多く、最初は近づきがたい雰囲気だったかぐやが、なんだか可愛く見えてきます。

そしてこの巻では、新キャラの「早坂 愛」の登場にも注目です。実は会長とかぐやの恋の行方に裏で大きく関わっていた早坂は、今後も作中で大きな役割を担っていく重要なキャラクターです。もちろん、「ヒロイン」こと藤原書記もこの巻で大活躍…というよりも大暴れしてくれます。この物語に、やはり彼女の存在は欠かせません。サブキャラクターも増え、この巻では会長とかぐやの恋にどのような進展があるのでしょうか。

あらすじ

日本中の天才や大金持ちが集まる名門校・秀知院学園にて生徒会会長を務める白金 御行は、副会長の四宮 かぐやに恋心を抱いています。かぐやもまた、会長に対して恋心を抱いており、2人は事実上の両思いにありました。しかし互いに高いプライドが邪魔して「相手が告ってきたら付き合ってやろう」というスタンスを崩さないため、いつまで経っても交際が始まりません。

そんなある日、頑固なスマホ不要論者だった会長が、とうとうスマホを持つことになります。しかしそれは、スマホを利用して会長に告らせようと考えたかぐやの策略の上なのでした。かぐやは莫大な私財を投じ、会長がスマホを持ち始めるように誘導していたのです。

しかし会長も防戦一方ではありません。スマホを最大限に利用し、「連絡先を聞いた方が負け」というステージにかぐやを引きずりこみます。実は両者ともに「休みの日とかに連絡を取り合いたい」というだけの理由で繰り広げられる熾烈な頭脳戦。2人の恋愛は、今日も激しく火花を散らすのでした。

感想

2巻には新キャラ「早坂 愛」が登場!

この巻からは新キャラクターとして、かぐやの使用人を務める「早坂 愛」が登場します。早坂はこれまでも数コマだけ出演してはいましたが、名前や素性が明らかになったのは2巻の第19話「かぐや様は送らせたい」が初出となります。使用人とはいっても、かぐやと早坂は幼い頃からの付き合いだったようで、主人と使用人というよりも姉妹のような関係であることが見てとれます。早坂は常に凛としており、かぐやに対しても敬語で礼儀正しく振舞っていますが、ふとした隙にかぐやの携帯から会長にメールを送ろうとするなど、イタズラができる程度には親しい間柄であるようです。

かぐやにも物怖じせず意見が言える早坂は、この作品において「常識人」としての役割を果たしているようです。よくよく考えてみれば、天才と称されているはずの会長やかぐや、もちろん藤原書記も、一般的な価値観からみれば常識人とは程遠い存在でした。特に会長とかぐやは、こと恋愛において一般人からは考えられないほど突飛な発想を持っており、誰も2人に正しい価値観を教えてくれる人物がいなかったのです。なんて難しく書いてみましたが、要するにこのマンガは今まで「ツッコミ不在」だったわけですね。

早坂は、かぐやに対して的確にツッコめる稀有な存在です。明らかにおかしなアプローチをかけるかぐやを、的確に方向修正してあげるのが早坂の仕事となっています。もしも早坂がいなかったら、かぐやはさらに異常な行動を取っていたのかもしれないと思わされるほどです。1巻を読んだ時点で、藤原書記は「会長とかぐやの恋愛をかき乱す存在」だと感じましたが、その対極にいるのが「会長とかぐやの恋愛を進展させる存在」の早坂なのでしょう。また、早坂は単純にルックスも良いので、サブキャラクターというよりは今後新ヒロインとして扱われる可能性もありそうです。

おすすめは第18話「生徒会は言わせたい」

2巻に収録されているなかで個人的に最もおすすめのエピソードは、第18話「生徒会は言わせたい」です。このエピソードは会長と四宮の恋愛というよりは完全なギャグ回なのですが、かなりストーリーの出来が良く笑えました。第18話はファンの間でも評価の高いエピソードになっていて、藤原書記の「ドーンだYO!」というセリフはこの作品のなかでも代表的なセリフとして知られています。「ドーンだYO!」がどんな経緯で使われたセリフなのかは秘密ということにしておきますので、未読の方にはぜひ実際に読んでもらいたいと思います。

一応、このエピソードの大まかなあらすじだけご紹介しておこうと思います。物語は、秀知院学園がパリの姉妹校と交流会をもつことになり、その準備に追われている生徒会のメンバーたち…という場面から始まります。準備を進めるなかで、パリ校の生徒たちに配る土産物の買い出しが必要になることがわかり、生徒会メンバーのうち誰か2名が休日返上で買い出し作業を行うことになります。「面倒くさいからゲームで負けた奴が行こう」ということになりましたが、実は会長とかぐやは内心、2人きりで買い物に行きたくて仕方ありません。会長とかぐやは、何も知らない藤原にわざと負けて買い出しに行こうと画策するのでした。

このエピソードで注目したいのは、怪物・藤原書記の底知れなさです。作中では「誰にも行動が読めない」として、かぐやにも会長にも恐れられる存在である藤原書記ですが、「行動が読めない」という特徴は、テーブルゲームにおいて無類の強さを発揮します。日本屈指の天才である会長&かぐやが、なぜ天然ボケの藤原書記に対してそこまで入れ込んでいるのか不思議でしたが、このエピソードで初めて藤原書記の内に秘めたポテンシャルが見えてきました。ゲームで最終的に誰が勝つのかは内緒にしておくとして、ゲーム中の藤原書記無双には本当に笑ってしまいました。

書き下ろしのおまけページも充実

2巻の巻末には、本誌連載時には掲載されていなかった書き下ろしおまけマンガが収録されています。わずか3ページの短いエピソードではありますが、このおまけマンガがかなり良いエピソードでした。今回のおまけマンガで描かれているのは、2巻収録の第20話「白金御行は話したい」というエピソードの後日談です。第20話で開催されたパリの姉妹校との交流会で、パリ校の生徒に口汚く罵られてしまった会長と、それを聞いてブチ切れてしまったかぐや。当の会長はフランス語がほとんどわからないので涼しい顔をしていましたが、かぐやは我を忘れて件のパリ校の生徒を追い詰めていました。

おまけマンガで描かれたのは、パリ校との交流会が終わり、片付けに勤しむ生徒会メンバーの姿でした。しかし、かぐやは先程の件でかなり落ち込んでしまっているらしく、彼女にしては珍しく立ち上がれないほど沈んでいます。そんなかぐやに対して、会長はどのように声をかけたのか…というのが、おまけマンガの内容でした。これが本当に良エピソードすぎて、おまけマンガだというのがもったいなく感じられるほどです。とはいえこのエピソードを巻末で読むことができるのも、単行本ならではのメリットだと思います。「かぐや様は告らせたい」が連載されているヤングジャンプ本誌を買っているだけでは、このエピソードを知ることはできませんでした。

また、巻末以外にもちょっとしたおまけページが充実しているのも、「かぐや様は告らせたい」単行本の魅力です。例えば、第12話「かぐや様は止められたい」でかぐやが男子生徒から貰ったラブレターの内容がおまけページで明かされています。本編では「とても情熱的な内容」としか言及されていなかったラブレターの内容ですが、その全文がおまけページでのみ確認できるのです。他にも、第14話「白金御行はまだしてない」でかぐやが言っていた「動画を撮られながらしたキス」の写真や、本編ではさらっと流されていた「会長にメールを送るかぐや」など、様々なシーンを補完するイラストが豊富に描かれています。

まとめ

「かぐや様は告らせたい」単行本第2巻は、前巻に比べるとかぐやの態度が軟化してきたように感じられる巻でした。今回のレビューではあえてかぐや以外のキャラクターに言及しましたが、かぐやと会長の恋はちゃくちゃくと進展を迎えているようです。2人の仲が進展していることが分かるエピソードとしては、第17話「かぐや様は愛でたい」がおすすめです。猫耳をつけたかぐやに萌えすぎて死にそうになっている会長と、猫耳をつけた会長に萌えすぎて死にそうになっているかぐやが見られます。もはや好意を隠しきれなくなってきている2人の初々しさに注目です。

サブタイトルにもある通りこのマンガは「恋愛頭脳戦」を描いた作品なのですが、会長とかぐやの恋煩いが酷すぎて、そろそろ頭脳戦の要素が減ってきたようにも感じます。相変わらず互いに「告らせよう」と必死な2人ではありますが、そろそろ単に恋愛下手同士が付き合いあぐねているだけのように見えてきました。読者としても、ただかぐやと会長の可愛らしい姿を眺めるだけの萌えマンガになりつつあるように感じます。実際このあたりのエピソードからは、かぐやはもちろん、会長の姿さえ可愛く見えてきます。ここまでちゃくちゃくと親密度を増してきた2人ですが、次巻ではどのような進展が見られるのでしょうか。

そして次巻には、生徒会第4のメンバーが登場します。この巻のおまけページで「次から出番っすか…イヤ、ラブコメで男増えても誰も得しないっすよ。やめときましょうよセンパイ…」と卑屈なことを言っている後ろ姿の彼が、件のメンバーです。まだ彼の素性は明かせませんが、ただでさえ個性派揃いの生徒会メンバーに彼が加わることでどんな波乱が巻き起こるのでしょうか。キャラクターが増えてますます面白くなってくる「かぐや様は告らせたい」、今後もますます目が離せなくなってしまいそうです!

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

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