Pocket
LINEで送る

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ! (1) (角川コミックス・エース 200-3)

魔法少女たちの間に育まれた友情が、最後の敵・バーサーカーを打ち倒す力となり、短くも苦しかった夜は終わりました。イリヤに施された封印や美遊の素性他、多くの謎を残しつつも「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」は大団円を迎えます。

ところが、イリヤが日常生活に戻ってから一ヶ月後に新たな問題が発覚します。クラスカードの回収を終えた時点で回復するはずの地脈が、未だ不安定な状態にあるというのです。時計塔からの指令を受けた凜・ルヴィアと共に、イリヤと美遊は冬木の大空洞へ向かうことになりました。

新たに紡がれる、カレイドライナーの物語。今回は「プリヤ」第2期の開幕となる「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ2wei!(ツヴァイ)」第1巻をご紹介したいと思います。通算で3巻目となる本作は、前期からの続きとなっておりますので、未読の方はまずそちらをご覧ください。

あらすじ

クラスカード回収を終え、平和な日常を取り戻したイリヤは、美遊の極端な距離感に戸惑いつつも、友人たちとの楽しい毎日を満喫していました。そんな時、再び凜から任務と称して呼び出しを受けてしまいます。カードが乱していた冬木市の地脈に、未だ異常があるというのです。

一行は時計塔の指示に従い、地脈の中心である冬木の大空洞で地鎮の儀式を行います・ところが、手順・魔力量共に適正だったにも関わらず、魔法陣は暴走。洞窟内部に魔力を撒き散らし、イリヤたちは一転して大ピンチを迎えてしまいます。

イリヤの機転でどうにか危機を脱すことに成功しましたが、その直後に新たな問題が発生します。なんと、イリヤが二人になってしまったのです! 以来、何故かイリヤの命を狙ってくるもう一人のイリヤ「黒化イリヤ」と魔法少女たちの仁義なきバトルが始まったのです。

感想

第二期コスチュームのお披露目と、詰め込まれた百合要素

いよいよ新章突入です。第二期が開始するにあたり、イリヤたちのコスチュームがリニューアルされました。こういう魔法少女モノのお約束をしっかりと踏襲してくれるのが嬉しいです。学校に遅刻しそうになったから転身して飛んでいく、というシチュエーションも平和的でほのぼのします。家族やクラスメイトたちとの何気ないやりとりも、イリヤたちが取り戻した日常の象徴です。平穏な日々が輝いているからこそ、非日常が映えるのでしょうね。

しかし、平和は長く続きませんでした。クラスカードを集めることで安定するはずだった冬木の地脈が、何故か乱れたままだったのです。このままでは、街に災厄が降り掛かりかねません。そこで、時計塔の指示を受けた凜とルヴィアが地鎮の儀式を行うことになったのですが、この儀式は本来、十人以上の魔術師が協力するか、カレイドステッキの力を振るう必要があったのです。となれば当然、イリヤたちが巻き込まれる訳で。リムジンで拉致(?)された魔法少女たちは冬木の大空洞で儀式に挑むのですが、失敗の反動で何故かイリヤが二人に増殖! 一体何が起こったのでしょう。もしや、彼女がイリヤの封印に関わっているのでしょうか。

さて、前期から微妙に匂わされてきた百合要素ですが、今回から色濃く出てきているように感じます。開幕から、寝ぼけたイリヤが美遊に「おはようのチュー」。慌てるイリヤと、まんざらでもない美遊。この巻では、他にも女の子同士のキス・いちゃいちゃシーンがそこかしこに散らばっていますので、百合的シチュエーションが苦手な方は要注意です。逆に、大好物な皆様方にはドンとこいな状況が待ち受けております。もちろん恋愛的な意味でのキスではなく、別の事情によるもののようですが、この巻で詳細が語られることはありませんでした。

黒いイリヤに振り回されるイリヤ、シロウを見て動揺する美遊

新キャラクターの黒化イリヤ(以後クロ)は、無邪気系少女かと思いきや、外見年齢にそぐわぬ大人っぽい言動を垣間見せました。具体的には、高校生である兄のシロウに対して、同じ年頃の少女のように迫ってみたり(イリヤと美遊は小学生です!)、凜がクロの行動を封じるために使った魔術も知っているようでした。イリヤに対して明確な殺意を見せる等、イリヤと何らかの関係がありそうですが、クロ本人を問い詰めても、はぐらかすばかりで答えは得られません。

クロだけでなく、新たな謎も増えました。シロウを見た美遊が、彼を「お兄ちゃん」と呼んだのです。天然気味なシロウは「はい、イリヤの兄です」などと返していましたが、彼の声を聞いた美遊の動揺ぶりはただごとではありません。イリヤとシロウに血の繋がりはなく、シロウはイリヤの父であり、彼を拾って養子にした衛宮氏の姓を名乗っています。つまり、彼らの境遇次第ではシロウと美遊との間に何らかの関係があってもおかしくないということです。

けれど、シロウは美遊のことを知っている様子はありません。過去に何かが起きて記憶を失っているのか、それとも本当に知らないのか。クロの件も相まって、謎と伏線のバーゲンセール状態になった第2期1巻でした。第一期を見ている限り、お話作りがとても上手い作者様ですので、これらの謎も綺麗に回収してくれるものと期待しています。なお、今回は伏線の積み重ねや日常回が重点的に描かれている影響で、バトル描写が非常に少ないです。とはいえ、原典があのFateシリーズなので、平穏なまま物語が進行するとは到底思えませんが。

サービス満載! 扉絵と番外編は要チェック!

見どころ満載の「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ2wei!」第1巻ですが、物語本編以外にもサービスシーンが盛り沢山です。まずは各話の扉絵です。どうやら女の子たちの着替えがテーマになっているようで、イリヤだけでなく美遊、凜、ルヴィアのあられもない姿がバッチリ収められております。イリヤたちではさすがにストライクゾーンから低すぎて抵抗のあったお兄さんたちにも安心の品揃えです。凜に至っては、メイド服まで完備。滅多にヒラヒラな服を着ない彼女の、珍しい姿が拝めます。

サービスシーンは、何もお色気だけではありません。本作には、第1期では描かれなかった凜とルヴィアの倫敦での学生生活や、彼女たちが時計塔から派遣されてきた理由を描く番外編が掲載されています。他にも、イリヤのシロウに対する想いが溢れる物語や、凜がメイド服を着ることになった経緯など、細かい補完をしてくれるストーリーが盛り沢山です。これまで今ひとつわかりにくかった、凜とルヴィアの関係が理解できたのは嬉しい誤算です。

また、前述した百合的イベント(主にイリヤとクロ関係)も満載です。寝ぼけたイリヤに唇を奪われてしまう美遊、キス魔・クロの毒牙にかかる女の子たち……。女の子同士の恋愛というわけではありませんが、可愛い少女たちのイチャラブシーンにドキドキすること間違いなし。小学生女子中心の物語であるはずなのに、いいぞもっとやれと内なる叫びを上げてしまうこと請け合いです。残念ながら、そういう方向性が苦手な方にはオススメしにくいのが難点ではありますが。

まとめ

衝撃的なキスシーンから始まった「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ2wei!」第1巻は、開幕の勢いそのままに驚きの連続となる構成でした。新キャラクターのクロに振り回される魔法少女たちの姿は見ていて微笑ましく、前期のシリアスな空気を一新しており、新たな物語の幕開けを感じさせてくれます。いっぽう、凜・ルヴィアとシロウの関係も見逃せません。どうやら彼女たちはシロウと同じ高校に編入したらしく、ツンでデレな毎日を送っているようです。美遊との関係性も匂わされたシロウの行く末は果たしてどこに続いているのでしょうか。

第一期では微妙に固かった女の子の絵に柔らかさが加わり、可愛らしさと魅力がアップしているのも本作の特徴です。特に印象深かったのが、瞳の描き込みが複雑になっていたことでしょうか。前期まではほぼグラデーション表現だけだったところへ、黒目やハイライトが新たに加わり、表情に奥行きが出てきたのも大きいです。目の描き方ひとつで、女の子の印象はここまで大きく変わるものなのですね。コマ割りなどもだいぶこなれてきており、漫画としての読みやすさも向上。読者としては嬉しい変化です。

クラスカード回収が終わっているため、バトルの回数は大幅に減ってしまいましたが、その代わりにドタバタした日常の中で転身する姿が見られる等、魔法少女要素もバッチリ残されており、第一期から読み続けてきた読者の方にも安心して読める一冊に仕上がっています。ただし、前述の通り百合的要素がマシマシになっているため、全ての方におすすめしにくくなってしまった点だけはマイナスポイントでしょうか。とはいえ、女の子同士のイチャラブが気にならない方は、文句無しに楽しめるはずです。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8

Pocket
LINEで送る