青春しょんぼりクラブ 1 (プリンセス・コミックス)

『青春しょんぼりクラブ』は好きになった人が必ず目の前で恋人を作ると言うジンクスを持つ少女と、それを取り巻く周囲の人物のドタバタを描いたラブコメディです。

連載は2010年12月から2017年6月までの約7年間、全15巻にもなる長期連載作品です。短期集中連載のはずが、人気が出たために長期連載に変ったと言う逸話があります。

作者のアサダニッキ先生は大ヒットを記録したアニメ『響け!ユーフォニアム』の原作小説の表紙などを担当し、キャラクターデザインの原案を作ったことでも知られるようになりました。

あらすじ

恋多き女子高生にまは、好きになった人が必ず目の前で恋人を作ると言うジンクスの持ち主です。ある日、彼女の特異体質に目をつけた依子(よりこ)に声をかけられ、部活へ勧誘されることになります。

その部活とは「恋愛感情を観察し、研究する」青年心理研究会。自分の体質を面白がられていると思ったにまは入部を断りますが、部員たちのそれぞれの真摯な姿勢にうたれ、入部を決意します。

しかし、にまの当て馬体質は変わらず、しかも周囲の恋愛事情や失恋なども見ることになり、大きな心の変化を迎えていくことになるのです。

感想

究極の当て馬体質少女と、変わり者たちの恋愛と友情が見所

主人公のにまは惚れっぽいのに人見知りで、勇気を振り絞って告白しようとすると必ず目の前で好きな人に彼女ができるという、究極の当て馬体質です。完全にギャグの設定ですが、本人からすれば深刻な悩みであり、自分の体質を苦々しく思っているのがポイントになります。

第1話では、そんなにまを研究対象と見る依子と衝突し、自分にかかわらないようにして欲しいと告げることになります。しかし、依子はにまを傷つけたことに責任を感じ、資料を燃やすことで不安の種を消そうとするのです。その不器用さに感じるものがあったにまは、依子の友達になることで歩み寄りの姿勢を示します。

冷静沈着で他人の恋愛を観測対称にしていた依子がにまの友達になろうと言う言葉に大いにあわてるのが1話の見所です。冷静さとうろたえぶりのギャップが激しく、メインキャの愛らしさをしっかりと表現しているのが魅力になっています。

にまの優しさと恋心がせめぎあう2話も注目

1話ですでに2度もふられてしまうにまですが、2話でも冒頭から告白する前に振られるなど、アクセル全開の当て馬ぶりを披露してくれます。自分の体質を打破しようと対策を講じているのもポイントで、非常に健気な主人公となっています。

2話は同じ部活の女装男子隠岐島(おきのしま)にスポットが当たる形になります。男が苦手な人を好きになったがゆえに女装をはじめた隠岐島ですが、初恋の人がむしろ男らしい人を伴って学園祭に来てしまい、にまと同じように告白する前に玉砕してしまうのです。

隠岐島を心配するにまですが、隠岐島は失恋直後にもかかわらず、心配してくれるにまに優しく接します。その姿に恋の予感を感じながら、失恋したくないから好きにならないようにしようと複雑な思いを抱くことになるのです。隠岐島に抱きしめられ、恋の予感と矛盾に悩むシーンが2話のハイライトになります。

まさかの両思いに期待するにまの表情に注目

なし崩しに部活に入り、他人の恋愛の研究(と、部員たちの恋模様)に巻き込まれていくにまですが、隠岐島を好きになったストーカー気質のカナが登場することで話が大きくねじれてしまいます。カナはうわさを利用した情報戦等に長けていて、にま自身も危険を感じるような自体に陥るのです。

にまは隠岐島に真実を伝え、何とかカナから離れてもらうように忠告しようとします。しかし、隠岐島には他人の幸せを優先して動くことを第一に考えていて、にまはその賢明さに隠岐島の気持ちや行動を妨げるようなことをしたくないと考えるようになるのです。

5話は、自分の失恋のことよりもにまの当て馬体質を治そうと、隠岐島が協力することを申し出るシーンがあります。にまはまさかの両思いパターンと期待しますが、もちろん落ちがつきます。自分の勘違いに赤面するにまの表情は必見です。そして、にまは自分自身の手でカナと決着をつけることを決意するのです。

まとめ

この作品で際立つのは、にまの当て馬体質だけでなく、にまとその周囲の人物のひたむきさや優しさです。主要人物の一人一人が恋愛に真摯に向き合い、時に自分よりも他人を優先するのです。にまの当て馬体質があるからこそギャップが光る部分もあり、ストーリー構成の巧みさが光ります。

キャラクターデザインの良さや、表情の変化も見所で、まさに漫画的な表現を生かした顔芸もかなりのインパクトがあります。1話1話が怒涛の展開であることもあわせて、読者をあきさせない工夫が随所にちりばめられています。

恐怖に立ち向かうだけでなく逃げたり、避けたり誤魔化したりする姿も非常に人間的で、リアリティがあります。コメディ要素としての割合のバランスも良く、読み直して面白い名作になっています。レーベルはプリンセス・コミックスですが、ラブコメとして完成度が高く、性別を超えて読める内容になっています。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

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記事担当:しらたま。