人魚姫のごめんねごはん 1 (ビッグコミックススペシャル)

「人魚姫のごめんねごはん」は、人魚姫が友達である魚が吊り上げられたのを弔いに行くはずが、気がつけば魚の美味しさに虜になってしまうというグルメコメディです。共食いではなく友食いではないかとSNSを中心に話題になり、注目を集めました。

最初は魚を食べるつもりがなかったのに、美味しさに目覚めてから自分の立場に葛藤する人魚姫の姿は完全にギャグです。しかもお刺身などの料理は非常にキレイに美味しそうに書けているため、読んでいる読者もお腹が空くような出来なのです。

海の底にすんでいる姫は段々と居心地の悪さを感じるようになり、地上に出ることになります。しかし、やっている事はあまり変わらず、単なる食いしん坊になりつつ毎回ヒロイックに落ち込んだりするのです。人魚姫が主要人物なため露出度も高めで、一粒で二度三度美味しい漫画になっています。

あらすじ

人魚姫である「エラ」は海底で仲間である魚たちと仲良く暮らしていました。しかし、ある日友人(魚)である鰹男(かつお)が吊り上げられてしまい、弔いのために地上を訪れることになります。そして、居酒屋でタタキになった鰹男と再開するのです。

タタキを食べずに帰ろうとするエラ姫ですが、常連の「釣られたカツオも成仏できない」の一言に反応してしまいタタキを食べてしまいます。あまりの美味しさと、友達を食べてしまったという事実に打ちひしがれるエラ姫ですが、その後、仲間たちの姿が調理済みの魚に見えるようになってしまうのです。

友達が釣られ、網にかかるたびに地上に出て食べ始めたエラ姫は、自分が人魚姫であることに疑問を感じ家出をすることになります。しかし、家出先は地上ですが、魚を食べる誘惑には勝てずに、様々なトラブルを起こしたり、巻き込まれたりしていくのです。

感想

お友達の魚を食べるという衝撃のギャグ展開

人魚姫のごめんねごはんの最大の特徴は、人魚姫が魚を食べるということです。同種同士でなければ共食いにはならず、海ではいつでも行われていることです。しかし、友達を食べることに抵抗があるエラ姫が、魚の味に見せられたことで苦悩の日々が始まるのです。毎回料理が美味しそうに書かれているだけでなく、食べた後の表情が非常に良く描かれているのが特徴的で、毎回色々な意味で涙を流しながらしっかりと残さずに食べていく形になります。

食べられる魚たちはほぼ全員ギャグタッチで書かれていて、個性派揃いです。食事シーンの前にエラ姫とのやり取りが行われることも多く、サングラスをつけていたり、固めに傷を折っていたりとやりたい放題です。そのくせ調理されるときになると非常にリアルな魚で描かれるため、意図して描き方を変えているのが明らかです。調理後のシーンでは美味しい食べ方や自宅での作り方の解説が入るあたり、積極的にエラ姫のハートをえぐりにきているとしか思えない状態になります。

エラ姫もエラ姫で魚の味に魅了されるに連れ、てんぷらなどの調理法や旬という言葉に反応して地上に食べに言ってしまうなど、より重篤化していきます。本来ホラーとして扱われてもおかしくない内容ですが、もともとが食材として使われる魚だけにそれほど悲壮感がないのもポイントです。1巻ではカツオのタタキ、タイの刺身、マグロの握りなど、非常にメジャーな食べ物が中心になっています。こっそりと旬の情報も入っていたりするので、グルメ漫画としても読めるのがポイントになっています。

露出度高め、ナイスバディな人魚姫が主役

主人公のエラは人魚姫であり、非常に露出度の高い格好をしています。優しい性格であることから他の魚にいたずらをされることも多く、回想シーンなどにちらちらサービスカットがあるのも特徴です。かわいい女の子が友達である魚を食べるというギャップを楽しむ作品でもあり、地上に出るときの人間の姿との比較も楽しめるのが特徴です。地上に現れるときのエラ姫は常に喪服ですが、スカートで生足、たまに濡れて肌に張り付いたシーンがあるなどフェチズム的な描写があるのも特徴です。

服装ではなく表情の変化もポイントで、友達を食べる際の葛藤や、食べた後の恍惚とした表情など、表情の豊かさも楽しめるのもポイントです。複数の女性キャラが出るわけではないため贅沢に表情を書き分けていて、エラ姫の魅力を引き出すポイントにもなっています。ただし、作品自体のギャグ度が高いため、たまにやたらとスタイリッシュなポーズをとったりもします。また、異常に字が下手など小ネタ的にちりばめられた属性も多くなっています。

地上に出てからはとにかくドジな面が目立ち、猫に追い回されて気絶するのがパターン化していきます。地上に出てからも魚を食べるときは喪服がデフォルトですが、普段着姿も見ることができるようになります。それでも服の上から胸の大きさがわかるなど、露出度は減ってもサービス分は減らないのが特徴です。常に人間の姿であるため、生足が目立つという説もあります。地上に出てからは実質無職の居候になってしまうため、今後どのように生計を立てていくのかが見所といえます。

ちょいちょい挟まれるギリギリを攻めた小ネタ

人魚姫のごめんねごはんがそれほど悲壮な感じにならないのは、あちこちに挟まれる小ネタが非常にギリギリのところを攻めているからでもあります。例えば、鯛のさばき方を解説するおまけ漫画では、板垣退助が登場し、解説を行います。鯛と退をかけた形になりますが、板垣退助は暴漢に襲われて短刀で刺された経験があるため非常にブラックなネタが入っていることになります。他にも登場する魚が有名作品のキャラのパロディであるケースも多く、それは大丈夫なのかと突っ込みたくなるような内容なのです。

エラ姫が魚を食べるシーンでは美味しい調理法などの解説ページが入るのが恒例になっているのですが、ここにもちょくちょくネタが挟まれてきます。例えばいつでまも一緒にいて欲しいという気持ちを持っていたチームが、まとめて魚肉ソーセージの材料として紹介されていたりするのです。やはりブラックです。食事が無い回ではエラ姫の家族が紹介されたりしますが、お母さんが江戸時代の妖怪画に出てくる人魚そのものであったり、おじいさんが人魚のミイラだったりとハチャメチャな家族構成になっているのです。

ポイントは、本当におじいさんやお母さんが解説のままの姿で出てくることです。どのようにしてエラ姫が生まれたのか疑問が残りますが、深く考えたら負けです。他にもページのあちこちに小ネタがちりばめられているので、探してみるのもおすすめです。ビジュアルだけで笑えるシーンも多く、特に解説されずに流されるケースもあります。モブキャラは芸能人などをモチーフにしていることも多いため、ネタに事欠かない漫画でもあるのです。

まとめ

人魚姫のごめんねごはんは、萌えとグルメとギャグをごった煮にした作品になっています。かわいい女の子が食事をひたすら楽しむ漫画は多いものの、ここまでドラマチックにギャグチックに仕上げたものはまれです。様々な意味で異色の作品であると同時に、魚料理の作画が優れているので、読んでいて非常にお腹が空く作品になっています。特に魚好きに取ってはたまらないため、それぞれのどこをとっても楽しめるようになっているのです。

主人公であるエラ姫の表情の変化などを丹念に書いているため、登場する女性キャラの少なさもあまり気にならなくなっています。一応ロリ体型のサンゴ局長も登場しますが、基本的にはサービスシーンも少なめです。エラ姫は1巻の前半は胸を強調するシーンが多く、地上に家出してからは足を強調するシーンが多いなど、フェチ的な視点を意識して描き分けているのが良くわかります。ギャグシーンは手抜きとも思えるほどディフォルメされることも多いので、漫画的の技術の高さに支えられている部分も大きいのです。

萌えとグルメだけでなく、かなりエッジの効いたギャグも入っているため、好みが分かれる部分もあります。ただ、1話公開で27000RTを達成するなど、非常に注目度が高い作品であるのは確かです。単行本ならではのおまけ漫画も充実していて、むしろ明らかにアウトだろうと突っ込みたくなるギリギリのネタが公開されています。カバー裏の6コマ漫画も海外の有名俳優をモデルにした人物が登場しますが、非常にそっくりに書きあがっていて、見ているだけで笑える内容になっています。サービス精神の高さも評価したいポイントです。

オススメ度
★★★★★★★★★☆ ★9

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記事担当:しらたま。