エロマンガ先生 (1) (電撃コミックスNEXT)

エロマンガ先生は、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』のタッグが放つライトノベルをコミカライズした作品です。主人公マサムネは現役高校生ライトノベル作家ですが、小説に挿絵を書いているのが実は引きこもりの妹だったというコメディー展開になっています。

タイトルのエロマンガ先生は、妹である紗霧のペンネームからきています。しかし、妹は引きこもり状態で家の中でも絶縁状態だったため、兄も妹もお互いの正体を知らない状態で仕事をしていたのです。あるきっかけでお互いの正体を知った二人は、お互いのあり方について探っていく形になります。

マサムネは妹の紗霧を引きこもりから開放しようと奮闘することになりますが、あくまで妹の意思を尊重するのが特徴です。紗霧はそんな兄の姿に少しずつ惹かれていき、態度を軟化させていきます。血が繋がっていない兄妹のラブコメが展開されていくのです。

あらすじ

高校生でライトノベル作家の和泉マサムネは、ある日ネット上で自分の作品をぼろぼろにけなしているブログを見つけます。ブログを書いていたのは自分の作品に挿絵を書いているエロマンガ先生で、マサムネは会ったことがない相手になぜそこまでけなされるのか疑問を持つようになります。

偶然エロマンガ先生のネット生配信があることを知ったマサムネは、ネット生配信をみることでエロマンガ先生の正体を見極めようとします。しかし、画面の中にちらりと映ったものは、マサムネが妹のために作った食事で、エロマンガ先生は妹であると確信することになるのです。放送中の事故がきっかけで一緒の家にいながら絶縁状態だった二人の距離が近づいていきます。

妹のもつ実力を認めるマサムネは、あくまで妹の意思を尊重しながらもっと家族らしい暮らしをするために努力を重ねるようになります。まず紗霧を引きこもり状態から脱出させるための方策を練ろうとするものの、自分があまり売れない作家であることがネックになります。売れっ子作家がエロマンガ先生を指名してイラストを描いてもらおうとするなど、ライトノベルのライバル関係も巻き込みつつ物語は進行していくのです。

感想

義妹が超のつく美少女で、天才絵師という展開

エロマンガ先生の最大の特徴はヒロインの紗霧の設定です。色素が薄く、顔立ちの整った超のつく美少女で、母の死をきっかけに引きこもりになってます。引きこもりの意志は固く、数々の迷言を生んで引きこもりがちな読者の共感を呼ぶことになります。また、エロマンガ先生とペンネームはかなりふざけたものではあるものの、その実力は本物です。日本で最も売れているライトノベル作家山田エルフに目をつけられるほどで、特に美少女のイラストが評判になっています。オリコン1位のラノベ作家ととマサムネのエロマンガ先生争奪戦は物語の一つの軸になるのです。

紗霧は極端な照れ屋であり、最初はマサムネに対しても可能な限り距離をとろうとしてます。どれくらい照れ屋かといえば、一緒の部屋にいてもしっかりと声を出せず、ヘッドフォンマイクを利用して会話するほどです。しかし、クールな性格というわけではなくテレ顔を含めて表情の変化が豊かで、マサムネが惚れ込む理由の一つにもなっています。マサムネが何かしら要求をする場合はほとんどエッチなものだと考えている節があり、勘違い振りも含めて可愛らしい部分です。

もともと仕事でお色気シーンなども書くこともあり、エッチなことには興味はあります。しかし、3次元対象になると全く免疫がないという若干ませたキャラになっているのです。紗霧が勘違いをするたびにマサムネは弁明をする形になり、その姿は完全に彼女と彼氏状態です。もともと紗霧はマサムネの父の再婚相手の娘であり、血はつながっていない状態です。義理の兄と妹のラブコメディーの要素とホームコメディーの要素を合わせた形になっていて、的確に読者のハートを打ち抜いてくるのです。

1巻だけで3人のヒロイン候補が出てくる

エロマンガ先生の特徴の一つが、ヒロイン候補が数多く登場することです。メインヒロインは紗霧ですが、紗霧のクラスメイトのめぐみ、オリコン1位のラノベ作家の山田エルフと3人の美少女が登場します。めぐみは最初からマサムネに対して思わせぶりな態度をとるなど非常に積極的で、山田エルフは典型的な美少女ライバルとして登場します。しかも、山田エルフはチョロイン属性がありそうな空気があり、マサムネは服装や雰囲気を含めて陵辱系ゲームに出てきそうな美少女と考えてしまったほどです。

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』のタッグが原作であり、主人公がモテまくるハーレム展開はすでに約束されている部分があります。次の巻以降に続く伏線も張り巡らされているため、紗霧とエルフの奪い合いが予測されるような状態になっているのです。特に巻末に収録された原作者書下ろしのおまけ小説では、より明確な言及があります。すでに3角関係以上のラブコメ展開が約束された状態であり、読者からすればそれぞれ好みのヒロインを推せるような状態になっているのです。

ちょっぴりお色気が入った書き下ろしイラストが追加されているだけでなく、妄想がはかどる台詞が随所に挟まれているなど萌えポイントは非常に多いのも作品の魅力です。注意したいのは、1巻ではほぼマサムネの年下のキャラしか出てこないことです。大人の女性は編集の神楽坂くらいです。そして、紗霧は12歳という設定です。すでに成人している男性が紗霧にほれ込んだ場合はほぼ確実にロリコン認定されてしまうことになるのです。近年まれに見るロリコンほいほいな作品であるため、ある程度覚悟して読む必要があります。

ライトノベルの事情に関してはかなりリアル

マサムネと紗霧のラブコメがメインの作品ではありますが、ライトノベルの出版事情などはかなりリアルに描かれています。もともとの原作がライトノベルであり、原作の伏見つかさ先生は売れっ子ライトノベル作家でもあります。自身の経験などを作品に反映させている部分があり、誇張などを含みつつも物語にリアリティを与えるポイントになっているのです。1巻時点でマサムネはあまり売れないライトノベル作家であり、商業的にエロマンガ先生と組ませるのが本当に良いのかという危機的な状況でもあるのです。

ライトノベルの世界は、非常に数字にシビアな世界です。部数が伸びなければシリーズが途中で打ち切られる事も珍しくないのです。現状を理化した上でマサムネが奮起することで1巻が終了しており、今後どのような成果を出せるかが問われる形になります。ラブコメとは別に出版業界での生存競争がストーリーの軸として存在していて、主人公の立場などを左右する重要な要素となっているのです。作品が出せなくなればマサムネと紗霧の仕事上関係も失われるため、マサムネは結果を出すしかないのです。

一方で、結果を出すための努力がシリアス路線にばかり行かないのも特徴になっています。特に巻末小説ではリアルな描写を学ぶためにマサムネが紗霧にとあるお願いをすることがラブコメ展開に繋がっていきます。紗霧の妄想力が垣間見えるだけでなく、マサムネに対する好意も透けて見えるのがポイントです。甘い展開のラブコメが見たい人にもおすすめですが、オチもしっかりつきます。1巻時点では甘々な感じまでは進展しないものの、先が気になる形になってしまうのです。

まとめ

エロマンガ先生はアニメ化もされた人気作です。もともと人気作家とイラストレーターが組んだ作品のコミカライズですが、作画は原作の雰囲気をうまく取り入れており、キャラが非常に可愛らしくかけているのが特徴です。ライトノベル版から入っても違和感がほとんどなく、紗霧をはじめとしたヒロインのかわいらしさを存分に楽しむことができます。作中の紗霧のイラストは別なイラストレーターを雇って挿絵を描いてもらうなどこだわっていて、巻末のおまけスペースではイラストの全体像を楽しむことができます。

1巻は露出やお色気シーンが少なく、ちょっとエッチなシーンに期待すると若干物足りない可能性が出てきます。ただし、狭霧の部屋着は生足の露出部分が多いため、足フェチ歓喜なシーンはかなりあります。巻末の小説にあわせて書かれた扉絵もサービスカットになっているため、単行本を購入した人のみが楽しめるポイントになっています。ロリータ服を身にまとったエルフなど服装やキャラの書き分けにも気が使われているため、ヒロインが多い方が楽しめるという人にはうってつけの作品です。

カバー裏にもおまけ4コマがついているなど、サービス精神が旺盛なところも評価のポイントです。コメディとしての完成度も高く、ネタとして優秀な台詞もいくつも出てきます。原作のよさをいかせる人材を用意しているところに、出版社の力の入れ具合を感じるほどです。メディアミックスとしても成功している本であるだけでなく、笑って読めて先が気になる構成のうまさも特徴です。伏線の張り方も絶妙なため、ストーリーを読ませてラブコメも楽しみたい人向けの萌え漫画となっています。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:しらたま。