ふらいんぐうぃっち(1) (週刊少年マガジンコミックス)

東北・青森県弘前市(ひろさきし)を舞台にした「ふらいんぐうぃっち」は、2016年にアニメ化もされた作品。どこかのんびり・のほほんとした作風で、親戚の家がある青森へ魔女修行に来た「木幡真琴」と、居候先である「倉本家」を中心に、素朴ながらも魅力的な日常生活が描き出されています。

ファンタジーを感じさせる「魔女」がテーマですが、真琴が過ごす日常は現実的。ショッピングモールで購入した竹ぼうきで空を飛んだり、道端で取れた、ふきのとうを天ぷらにして舌鼓を打ったりと、話の大半が魔女を感じさせない作風も特徴的。魔女たちが自然豊かな東北地方を好む設定もすばらしい。

自然豊かな青森の地で楽しく過ごす登場人物たちや、たまに姿を現す不思議な存在・現象。すべてがマイペースで、自分らしく生きている様子も伝わってくる。
そして、帰省シーズンになると無性に読みたくなる作品です。
そんな不思議な魅力を放つ、魔女修行系日常マンガ「ふらいんぐうぃっち」をご紹介します。

東北で魔女修行! ふらいんぐうぃっち


※引用元 vap official

「ふらいんぐうぃっち」を簡単に説明すると、魔女で主人公「木幡真琴(こわた・まこと)」が15歳で独り立ちするという魔女のしきたりにより、青森県弘前市に住む親戚「倉本家」へ居候をします。

魔女修行として青森に来た真琴ですが、料理が得意で女子力の高い同級生男子「倉本圭」や、圭の妹で好奇心旺盛・元気いっぱいの9歳「倉本千夏」らと一緒に楽しい日常生活を送っていきます。石塚千尋先生によって別冊少年マガジンで絶賛連載中の作品です。

アニメ化による聖地「弘前市」とのコラボ

過去に行われたイベント

「ふらいんぐうぃっち」舞台めぐり|公益社団法人 弘前観光コンベンション協会

弘前市は青森県西部に位置す都市で、リンゴの生産数が全国トップクラス! 作中にも登場する国の重要文化財に指定された「弘前城天守」が建ち、毎年多くの観光客で賑わう「弘前ねぷたまつり」も開催されます。
著者である石塚千尋先生は青森県弘前市出身なので、ふらいんぐうぃっちにも実際の風景や建物が登場します。2016年4月に放送されたアニメをきっかけに、実際に弘前市とコラボしたイベントも過去に行われました。弘前ねぷたまつりとのコラボも記憶に新しいですね。

聖地巡礼アプリ「舞台めぐり」に対応

ソニー企業株式会社が提供する「舞台めぐり」は、日本各地を舞台にしたアニメに対応する聖地巡礼アプリです。
「ふらいんぐうぃっち」も例外ではなく、実際にモデルとなった場所を簡単に検索ができます。ARカメラ機能によって、キャラクターと一緒に写真撮影も可能。まさに聖地巡礼を何倍も楽しくするアプリなのです。

魅力的なキャラクターたち

木幡真琴・チト

本作の主人公で新米魔女。魔女のしきたりと、不安定な魔女業を心配した両親の意向により、親戚の倉本家に居候することになります。非常に方向音痴で、最初は高校の登下校も圭と那央に付き添ってもらうほどです。天然な性格によって、すぐ魔女であることを那央にバラしたり、おっちょこちょいな所もユニーク。
真琴の使い魔の「チト」は実年齢17歳のネコですが「ネコみたいな人間」らしい。体重を気にする性格で、すぐ爪で布をバリバリする癖がある。

倉本圭・倉本千夏

倉本家の長男で真琴の又いとこ。料理が得意で女子力が高く、オバケが怖いらしい。男性ですがふらいんぐうぃっちのヒロインという声もあったりなかったり…
圭の妹で好奇心旺盛の千夏。真琴や千夏に影響されて魔女に憧れる9歳です。真琴をはじめとするお姉さん方に懐いて遊んでいる姿が可愛らしい。

石渡那央(なお)

酒屋の娘で真琴と圭の同級生。真琴とは入学早々に魔女であると告白され、戸惑いつつも一緒に過ごす時間が多いです。カエルと料理が大の苦手でイケメンが好き。

木幡茜・ケニー

茜は真琴の姉。能力の高さから魔女界でも有名で、使い魔であるシャム猫ケニーと共に世界各国を旅しています。世界のヘンテコなお土産を買ってくるなど、中々に破天荒な性格です。

犬養・アル

使い魔であるハムスターのアルと共に、昼は路上占い、夜は夜間大学に通う魔女。茜の友達で、茜が試作した魔術薬を酔った勢いで食べてしまった結果、昼は獣人に変身してしまう体質となりました。
獣人の時も素敵ですが人間の時も美人で、圭に「たんげタイプだった」と言われるほど容姿端麗。

倉本家の凄さ

その人の生き方を否定せず、受け止める寛容さが素敵!

真琴の居候先である倉本家は、圭と千夏、父親が農家を営み、母親が絵本作家という家族構成です。 一見普通に見える家族ですが、魔法を始めとする怪異に大変好意的で、何でも受け入れる姿勢を感じます。

例えば、獣人の犬養さんとの初対面時、母親の奈々さんは驚く様子もなく自然に接したので犬養さんは驚いていました。

また、真琴や茜の姿を見て魔女になりたいと言った千夏に対して
「わー 魔女!? なっちゃえ! なっちゃえ!!」
「かっこいいな」
と、母親と父親が何とも寛容的なのです。

茜いわく、人から魔女になるのは大変で、人としての人生すら送れない可能性もあるらしい…

そんな中で、千夏の「魔女になりたい!」という意見を尊重するご両親に感動します。

 

長男である圭に対しても、家業と親のことは気にせず好きなことをやれ と言われているらしいです。そんなこと中々言えない言葉ではないでしょうか。本当に素敵なご両親ですよね!

身体の描き方に著者のこだわりを感じる

「ふらいんぐうぃっち」の特徴として、キャラクターの身体(特に下半身)の描き方が大変美しく、石塚先生のこだわりを感じました。また女性キャラは皆スタイルが良くて、女性の美しさが全面に表現された作品だと思います。

何もかも素朴だが、日常系作品の醍醐味が丁寧に描かれる

「ふらいんぐうぃっち」には、日常系と呼ばれる作品に必要な要素が一通り揃っています。
山へ山菜取りに出掛ける、家庭菜園で育てた はつか大根を収穫して皆で食べるなど、倉本家で過ごす日常生活は素朴ながら楽しそうです。

親しい知人が集まって何か楽しいことをする描写に優れ、たまに怪異な現象や魔術によって「そういえば、魔女がテーマの作品だった…」と我に返ります(笑)

※画像は春の運び屋

そう感じるほど、ファンタジーチックになりやすい「魔女・魔法」といった要素が現実と上手く溶け込んでいるのです。だからどんなに小さな魔法でも新鮮に映り、不思議な存在たちのことも面白おかしく感じることができます。

帰省シーズンに読みたくなる?


引用元: ふらいんぐうぃっち3 石塚千尋 株式会社講談社 第8刷 P85

執筆者だけかもしれませんが、「ふらいんぐうぃっち」のアニメ然り、帰省シーズンになると無性に作品を読みたくなります。
理由を考えた結果、自然豊かな青森を舞台にしている以外にも、登場人物たちが寛ぐシーンや何処かに出掛けるシーンが、地方に帰省した人が落ち着くあまりに堕落した生活を送るソレと非常に似ているのです。

もちろん「ふらいんぐうぃっち」で描かれる日常シーンは、帰省して堕落気味の生活を送る人間とは違い、他者から見ても魅力的に映ります。しかし、日向で茜がお腹を出しながら昼寝をするシーンなんかは、帰省した社会人の姿と一致するし、千夏と一緒に遊ぶ真琴たちを見ると、帰省時にかわいい姪っ子と過ごす親戚たちを連想させます。

しかも、登場するキャラクターはお茶目で皆が優しい! だから読者たちも居心地が良いと感じるのでしょう。

未アニメ化の話を少しだけご紹介

4巻 第24話「兎の逆立ち」


引用元:ふらいんぐうぃっち4 石塚千尋 株式会社講談社 第4刷 P136

真琴は魔女教会へ修行報告を終えた帰り道、夜間大学に通う犬養さん(人間)と出会い、海に連れて行ってもらうことに。そこで海辺の安全を守る不思議な浜辺兎「ハマベー」に出会う。倉本家までついてきたハマベーと千夏の交流が描かれています。

5巻 第26話「雨の降る日は機嫌が悪い」

教会から初仕事を依頼された真琴。仕事内容は5歳のミヅハよもぎ君を少しの間だけ預かるというもの。よもぎ君と一緒に過ごしますが、どうやら部屋の雨漏りが酷いようで…。

6巻 第34話「亀の甲より2年の功」

鹿角小夜(かづのさよ)は、真琴と同じ学校に通う一つ先輩。彼女は一年生から魔女をしていて、魔女に対する規則が昔よりユルくなったこと、魔女としての自覚を感じない真琴に強い言動で指導しますが…。

最後に

ふらいんぐうぃっちで描かれた青森で過ごす日常は素朴で素晴らしく、魔女たちはもちろん、登場人物たちが気取らず自然体で生きているように伝わってくるのです。帰省シーズンに無性に見たくなる理由も、物語全体で実家のような安心感と雰囲気を感じるからで、たとえ帰省シーズンじゃなくても真琴たちの自然体な日常生活を見ると気持ちが安らぎます。
2016年に放送されたアニメも素晴らしい出来だったので、原作のストックがたまったら是非2期が観たいですね。

帰省時には「ふらいんぐうぃっち」の作品にふれながら、ゆっくり過ごすのも良いかもしれません。

石塚千尋先生のtwitter(@ishiduka007) | Twitter
TVアニメ「ふらいんぐうぃっち」公式サイト
アニメ「ふらいんぐうぃっち」 (@flying_tv) | Twitter

記事担当:キリンリキのしっぽ