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上野さんは不器用 2 (ヤングアニマルコミックス)

超天才かつヘタレな美少女上野さんと愛欲を忘れて生まれてきた田中の日常を描いた『上野さんは不器用』の第2巻となります。しかしこんないじらしい美少女キャラクターが近くにいたなら間違いなく惚れてしまうわけで田中が羨ましい限りです。

ですがそんな田中は相変わらず「田中ァ!!」と突っ込みを入れたくなるような言動をして上野さんとすれ違いを繰り返しています。もちろん上野さんに言わせれば「でもあーいうとこが好き!!」というところなのでしょう。

ますます盛り上がりを見せる第2巻ですが、新キャラクターが登場したり山下さんの苦手なことが判明したりします。徐々にキャラクターたちの内面に迫っている気がしないでもない第2巻の内容についてみていきましょう。

あらすじ

舞台はとある中学校の科学部。部長であり天才少女な上野さん、普通の田中、女性部員の山下さんの3名が部員です。上野さんは毎回新しい発明品を披露して意中の田中をあの手この手で誘惑しますが、田中は恋愛に疎いので何も反応を示しません。

喉がかわいたときのためのペットボトル型水発生装置「ガラクたん」を使い田中との間接キスを狙ったり、水分を空気と同じ組成に変換してしまうタイツ「アンダーゥエア」を田中に被せて水攻めをしたがったりと上野さんは大忙し。

新キャラクターの水泳部に所属している北長(きたなが)さんが持ち前のつるぺたボディで田中を誘惑したり、暗闇の校舎の中で山下さんの意外な一面が披露される第2巻。果たして上野さんの思いは田中に届くのでしょうか。

感想

純情可憐な上野さんにやられてしまう

収録されている始めのお話である第11話「ガラクたん」では上野さんが何とかして田中と間接キスをしようと奮闘しています。間接キスというとエロ度としては低めと思われるかもしれませんが、これが何ともエロい。上野さんが仕掛けるとき田中を視認しながらクポクポ飲む様が…エロい!まるで(これから田中と間接キスをするんだ…)ということを期待しているような表情と全身を流れる汗。変態であればときめかない訳がありません。

何やかんやあって田中が口をつけたペットボトルを手に入れた上野さんが飲み口に口をつけようとする場面の描写もたまらないものがあります。tugeneko氏の作風は決して肉感的なものではないのですが、デフォルメされた描写ならではのエロを感じさせるのです。果たして上野さんは田中と間接キスをすることができるのか…それは本巻をご覧下さい。まるで思春期男子のような初々しいエロ心をみせてくれる上野さんはきっと読者の心を掴むことでしょう。

また、この第11話ではちょっとした試みが行われていたりします。それは「上野さんの心理描写の撤廃」です。他の話や以前の話では上野さんの内面が描写されることも多いのですが、この話ではそれがありません。ペットボトルの水を飲むときにも無言ですし、田中の飲んだペットボトルの飲み口に口をつけようとするときにも無言です。ですが無言であるがゆえに緊張感が生まれ、読んでいるとよりドキドキする効果を生んでいます。漫画表現の秀逸さにおいてやはり侮れない作品です。

新キャラ北長さんのかわいさがたまらない

第15話「キルトハイド」に登場する水泳部所属の北長さんがかわいいそしてエロいのです。北長さんは部室に現れる覗き対策として上野さんに覗かれても大丈夫になる発明を頼んでいて、それを受取に科学部までやってきます。そしてその発明こそ「キルトハイド」で、これは観察者の劣情を催す箇所には黒い映像を投影するというマシンです。そして北長さんはおもむろに上着を脱ぎ捨て下に着ているスクール水着も脱ごうとします。科学部でキルトハイドの効果を試そうとしているのです。

そして試す対象はもちろん部内唯一の男性部員である田中となります。もちろん上野さんがそんな誘惑を認めるはずも無いので阻止しようと北長さんを止めに入るのですが、このときの上野さんもかわいい。いつものメンバーでないので少し他人行儀な口調になっているのです。田中が居るので止めて欲しいと「だだ男子もいるんだし…」とか言っちゃいます。ただ北長さんとしては劣情を催されないと機能が試せないので田中が居るのは好都合。全裸!になってしまうのでした。

北長さんは大人の女性のような振る舞いを見せます。そもいくら優秀な発明であっても男子生徒の目の前で全裸になるというのはなかなかできることではありません。魔性の女なのです。ですがここがポイントなのですが、北長さんは中学生であり見事なツルペタ体型となっています。なだらかな曲線を描くそのボディラインは魔性とは程遠いわけです。このアンバランスさが変態紳士にとってはたまらない妙味となるのは言うまでもありません。また急に焦りだす場面はもう…たまりません。

第18話で上野さんのかわいさが爆発

どの話においても上野さんはかわいいのですが第18話「コイツネトールナD錠」で上野さんのかわいさが爆発します。この話の発明品「コイツネトールナD錠」は短時間で充実した睡眠がとれ、寝ている最中には簡易人格が周囲に応答するという睡眠薬的なものです。そして上野さんと山下さんがデモンストレーションを行い、検証データの採取という名目で田中に薬を飲ませることになります。今回は素直に薬を飲み眠りに落ちる田中。そこで上野さんはかわいくなります。

寝ている田中の簡易人格は素直に返答をする人形のようになりました。そんな田中に対して上野さんは肩をすりよせ様々な質問をします。田中が返答するたびに「ホントかなぁ?」と上野さんが言うのもかわいいのですが、その接し方!田中は寝ているので何でもできるはずなのですが、田中の左手の小指を握って肩を寄せるだけなのです。小指握るってあーた、そんな女子中学生みたいなこと…女子中学生でした。そんな幸せな時間を堪能した上野さんを待っている結末は…田中ァ!!なものとなります。

この「小指を握る」ってかなり生々しい行動だったりします。実際に想像してみて下さい。仲の良い意中の相手が目の前で寝ているとしたら…小指を握るという行動がいかに現実的であるか。触れたいけど触れられない、もちろん大胆な行為なんて万死に値する、なら小指ぐらいなら握ってもギリ問題無いのでは…?という思考の結果がこの「小指を握る」という上野さんの行動なのかもしれません。乙女の心情は誰にも分かるものではありませんが、非常に読者をトキめかせてくれる行動です。

まとめ

前巻からさらに進化した『上野さんは不器用』の第2巻。全体的な読みやすさはもちろん、心理描写を省くという大胆な演出も見られるようになりより素晴らしい作品に進化しています。言葉を発さないからこそにじみ出る緊張感というのは表現の真理をついていると言えるでしょう。かの哲学者ウィトゲンシュタインも「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」と言っているように語らないことで語る、という高度な表現技法を取り入れているわけです。

それから北長さんの登場は作品世界に良いアクセントとなりました。今まで上野さんはリーダーであり部長として扱われてきたわけですが、上野さんと同等の立場にある存在として北長さんが登場することで作品の展開がより広がるようになるはずです。また、新キャラクターの登場を小出しにすることで舞台設定がズレないという効果を生み出してもいます。話の構成が散漫にならずに済み、あくまでも上野さんと田中のやり取りがメインであると言う事が読者に容易に理解できるのです。

これからどのような展開を見せるか楽しみな『上野さんは不器用』ですが、最終ページに掲載されている次巻予告を見ると田中が上野さんを両手で抱きかかえている光景が描かれています。また煽り文として「ついに待望のラブ展開突入か…!」と書かれているのも気になるところです。ただ抱きかかえられている上野さんの目が点になっていたり田中がやけに凛々しい顔つきであることから何かギャグ展開を匂わせてもいます。次巻が楽しみな作品です。

オススメ度
★★★★★★★★★★ ★10

記事担当:くもすい

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