ガヴリールドロップアウト (1) (電撃コミックスNEXT)

ガブリールドロップアウトは優秀な成績で天界の学校を卒業した天使が、地上の研修に行った途端ネットゲームにはまり過ぎて道を踏み外すというギャグ漫画です。2017年1月からアニメ化され、その駄天使ぶりが話題になりました。

ガブリールの脇を固めるのは、非常に良心的で落ちこぼれていくガブリールを放っておけない悪魔のヴィーネや、常にスケールの小さい悪事を働き、ガブリールにライバル意識むき出しのサターニャなど非常に個性的な面々になっています。

それぞれ天使や悪魔への適正が疑われるキャラばかりであり、それぞれにトラブルを起こしたり巻き込まれたりするのが特徴です。何よりもガブリールの傍若無人振りとたまに行いがそのまま返ってくるしっぺ返しが特徴で、美少女同士の掛け合いが好きな人にはたまらない作品になっています。

あらすじ

天使学校を主席で卒業したガブリールは、下界で修行を積むことになります。しかし、ネットゲームとであったことから本来の目的をすっかり忘れ、引きこもり街道をひた走ることになるのです。しかし、行いが悪ければ天界に強制送還される可能性があるということから、しぶしぶ学校に通うようになります。

ガブリールは同じ学校に通う級友であり、本来は敵対関係であるはずのヴィーネに突っ込まれたり、生活指導を受けたりしながらゆるゆるとした生活を送ります。そのガブリールをライバル視し、様々なちょっかいを出してくるサターニャをあしらったりからかったりしながら日々が過ぎていきます。

果たしてガブリールは更生できるのか、天界に戻れるのか…といった緊迫の展開は全くありません。日々自堕落に過ごすガブリールの生活ぶりを追ったコメディーであり、日常系漫画の新たな分野を開拓するような形になっているのです。

感想

天使なのに自堕落街道まっしぐらのガブリール

この漫画を支える主役が自堕落街道まっしぐらのガブリールです。優秀な成績を収めながらネットゲームや文明の利器に完全に毒されており、優等生時代が仮の姿で今の自分が芯の姿だと真顔で言えるような状態になっています。仕事も勉強もせずにひたすら楽しいことだけをしていたいという気持ちを体現する生活をしており、その徹底振りに共感したり、うらやましいと考える読者も多いはずです。そして、そのたびに悪魔のはずのヴィーネに怒られることになるのです。

ヴィーネとの約束を忘れて数時間寝過ごしてみたり、部屋のエアコンが壊れたからとヴィーネの部屋にあがりこんで涼んだりと傍若無人ぶりもひどいものになっています。突っ込みを入れながらもなんだかんだ面倒を見てしまうヴィーネがとても良い悪魔に見えるのも不思議です。とばっちりを食らうことも多いため、なぜそこまで面倒を見るのかと問いたくなりますが、人間界の修行を終えたら人助けをできる立派な悪魔になりたいと思っているあたりヴィーネも相当歪んでいます。

何よりもガブリールがひどいのは、天使としての能力は一級であることです。自分の失敗をなかったことにするために週末のラッパを吹いて人類を滅ぼそうとするなど、行動がエキセントリックです。能力があるのに詰めが甘いせいでドジを踏んでしまうのもポイントです。1話から学校に行く手間を減らそうと瞬間移動しようとして失敗し、パンツだけを教室に飛ばしてしまうなど目も当てられない失敗も両立しています。自分の部屋での自堕落な格好を含めこの漫画のお色気、ネタ担当でもあるのです。

圧倒的な小スケール、サターニャのギャップに笑う

ガブリールと並んで1巻の顔役となっているのが、自称ガブリールのライバルであるサターニャです。大悪魔を自称する彼女は、ペットボトルの蓋を取らずにゴミ箱に捨てるなど非常に地味な悪事を積み重ねています。とにかく悪事のスケールが小さく、方向性がおかしな方向に行っているのがサターニャのポイントなのです。その上、中二病で友達がいない、犬が苦手などへたれ振りが目立つ結果になり、悪魔のあの字も連想できないような残念な子になっているのです。

自爆が多いのも特徴で悪事を積み重ねるためとわざと宿題を忘れ、泣きながら廊下に立たされることになるなど頭のねじの緩み具合も目立ちます。非常に怖がりなのに強気ぶるため、オチが予想できる展開が多いのです。おだてられるとすぐ乗ってしまうな非常にわかりやすく、他人に思うままにコントロールされる場面も目立ちます。そのくせ能力は意外と高いらしく、学校の設備の配置や配置を完璧に覚えているなど実力の片鱗を見せることもあります。ただし、配置はわかっても生かし方がわからない片手落ち具合がサターニャのサターニャたるゆえんです。

1巻中盤からはその行動の面白さから天使のラフィエルに目をつけられるようになり、完全におもちゃ状態になってしまいます。自分がからかわれているのに全く気づかないのもポイントで、段々と哀れに見えてくるのもポイントです。一方で、お約束を固めに固めたベタなキャラでもあるため、安心して見ていられるキャラにもなっています。トラブルの引き金になったり、オチ要員に使われたりと、作者にも便利に使われている節があります。ただし、胸のサイズに関してはガブリールに差をつけているため、別な意味でもいじられ役となっています。

日常系の流れを汲みつつじわじわ腹筋を責めるスタイル

ガブリールドロップアウトは、話のふり幅はそれほど大きくなく、お約束間満載なギャグが多く出てきます。大爆笑するようなインパクトのあるギャグはほとんどなく、じわじわと腹筋にくるようなネタが多いのです。明確なストーリーラインがないのも特徴で、天使や悪魔が日常生活をしたらどうなるかといった構成になっています。天使のような悪魔や、悪魔のような性格をしたキャラクター自体は様々な漫画に登場しているため、設定のインパクトよりも配置の巧妙さなどが目立つのもポイントと言えます。

何よりもいいのは、先入観などを持たずにゆるっと読める点です。天使であってもネトゲ廃人など、漫画好きが共感できる部分が多く、親しみが湧きやすいのです。感情移入がしやすければ、その分登場人物の感情の触れ幅にも共感しやすくなります。大げさなあおりなどがなくても面白いと感じるのは技術的なうまさも入っているからなのです。一方で、あまりまじめすぎる人はガブリールに感情移入できない可能性があります。そういった場合はヴィーネに感情移入すればよいなど、感情移入しやすいポイントが随所にあるのです。

1巻はあまり男性キャラが登場しないため、安心して読める部分もあります。男性キャラとの恋愛要素が邪魔に感じる人もいるため意外に重要な部分です。ちょい役ででる学校教師がモブ程度しか男性が出ないため、恋愛物が好きな人には若干物足りない可能性があります。百合要素低めですが、ゼロではないのもポイントです。特にサターニャとラフィエルの絡みはツッコミどころも満載です。フラット気味のギャグが好きな人、日常系4コマなどが好きな人にはおすすめです。

まとめ

ガブリールドロップアウトはゲームで道を踏み外した元エリート天使が登場するなど、キャッチーなネタが特徴です。あくまで自堕落な生活を描くのが基本の日常系ギャグ漫画で、派手なバトルや恋愛も、ストーリー性もほとんどないのが特徴です。登場キャラは地味に増えていきますが、それぞれ性格に難がある人物ばかりで、ツッコミどころが多いのが特徴です。ヴィーネが貴重なツッコミ役となっていますが、あまりに登場人物が個性的過ぎてツッコミを放棄する事もままあります。

お色気シーンもあるのですが、ガブリールはお色気シーンも積極的にぶち壊してくるのも特徴です。全年齢対象漫画にありがちな表現をしっかり理解している節があり、そのうち作者や読者にも突っ込みを入れそうな勢いがあるのです。破天荒でありながらゆるいのが特徴であり、あまり多くを気にしない方が楽しめる漫画といえます。考えるよりもゆるい空気に身を任せた方が楽で、あまりまじめに読もうとするとガブリールの行動に振り回されることになるのです。

特筆すべきはキャラクターの可愛らしさで、読者の支持の厚さがアニメ化に結びついた部分があります。アニメと原作を比べてみるのも楽しみ方の一つです。随所随所でおまけイラストが入るだけでなく、書き下ろしの4コマも収録されているためお得感があるのも魅力です。気を抜いて読むのに向いている一方で読み応えを追求する人には物足りない部分もあるため、イラストが好みかどうかや、引きこもりあるあるネタに共感できるかで購入を決めるのもおすすめです。

オススメ度
★★★★★★★★☆☆ ★8

記事担当:しらたま。