ブランクアーカイヴズ(1) (アフタヌーンコミックス)

表紙の凛とした緑の瞳が美しいセーラー服の黒髪美少女にひかれて、「ブランクアーカイブズ」をジャケ買いでゲットいたしました!

「ブランクアーカイヴズ」は講談社の「good!アフタヌーン」連載。「ビブリア古書堂の事件手帖」のコミカライズで有名な交田稜先生の初オリジナル作品です。

他人の思考が読める青年・吉野ひばりと、他人に姿が見えない少女・らいかが、不思議な能力の持ち主たちと巡り合うSFストーリーが繰り広げられます。

あらすじ

吉野ひばりは「認知拡張症候群」という他人の脳に干渉してしまう病気で、近くにいる他人の考えていることがわかってしまう症状を持っています。

ひばりはその力を活かして、似たような「認知拡張症候群」の患者を支援する「社会福祉法人アーカイブズ」を経営。そんなひばりの元に、他人から姿が見えない・声も聞こえないという症状の少女・らいかが現れます。

らいかは自分の存在を分かってくれるひばりに懐き、ひばりの家に居候して仕事を手伝い始めます。2人は病院や警察からの相談依頼を受けて、同じような能力を持つ患者たちが巻き起こす案件の解決に臨みます。

感想

少女・らいかのピュアでまっすぐな可愛さ

らいかは明るい性格で、野球が好きな活発な少女。冒頭では金属バットを持ってワイルドな薄汚れた姿で登場しましたが、ひばりの妻・千景さんのスタイリングでセーラー服とリボンが似合う可愛い美少女に変身しました。本名は「神沢冬美」で、らいかは自分でつけたニックネームです。

元々は普通に生活していたのに、とつぜん他人から姿が見えなくなってしまったらいか。仲良くしていた野球友達に「幽霊がいる」と恐れられて自分の状況に気づき、助けを求めて「社会福祉法人アーカイブズ」にやってきました。

ひばりや千景さんの前では無邪気に泣いたり笑ったり甘えたりと、年相応の少女らしい表情を見せるようになったらいか。自分を見て話してくれることや、誰かに頼りにされていることが嬉しくてたまらないようです。似たような症状の患者たちに物怖じせず正面からぶつかっていき、心を通わせるのが上手いところもステキです。

ほぼ完璧イケメン・ひばりと、奥様(?)・千景さんの魅力

ひばりは長髪ロングヘア、メガネがトレードマークのめっちゃ美形。頭脳明晰でクールな性格ですが、友達との別れで涙をこらえていたひばりに「今は俺しか見てない」と言って思いっきり泣かせてあげるなど、優しいところもあるイイ人ポジションです。

ひばりが思考を読めるのは人間のみなので、動物は直接触れることができます。らいかが連れてきた白い猫に触りたくてたまらないひばりですが、お猫サマのほうはツンデレで思いっきり避けられていてかわいそう。ひばりのギャグっぽいシーンもチョコチョコ挟まれていて面白いです。

ひばりの秘書的なポジジョンで働いている千景さんは、黒スーツに黒タイツがステキな優しい美女。千景さんは1話で客から千景の「奥さま」と呼ばれているのですが、あまり生活感もラブラブ感もなくて違和感があります。何らかの事情があるのか、ひばりの能力ゆえに距離を置いているのか…ミステリアスさもまた魅力的です。

「認知拡張症候群」のさまざまな症例パターンが奥深い

「認知拡張症候群」は未解明のナゾ多き症状で、基本は「無意識、あるいは意識的に他人の脳にアクセスして何らかの力を発動してしまう」ことです。しかし、ひばりは他人の思考が読める、らいかは他人に自分の姿を消す幻覚を見せてしまうといったように、その症例や周囲への影響は人によって様々なパターンがあります。

それを調査して問題の解決にあたるのが、ひばりの経営する「社会福祉法人アーカイブズ」の仕事。「認知拡張症候群」は他者から見るとスゴい超能力ですが、らいかのように無意識に発動してしまうなどの危険性も高いので、あくまでひばりは病気・症例・症状といった言葉を使い、患者を保護・支援することを掲げています。

1巻では最初の事件でらいかがひばりと遭遇した後、他人の意識にあるものをコピーして具現化する患者、カーナビのようなマップや道案内を表示できる患者、突然ケンカが強くなった患者などが登場。それぞれの症状のパターンや患者とのやりとりがバリエーションに富んでいて、独特の世界観にグイグイひきこまれます。

まとめ

「認知拡張症候群」という不思議な病気が存在する世界観、治療法もあるらしいが詳細は不明というナゾ。ひばりの重く冷たい表情や、いつもひばりを過剰に心配する千景さんを見ていると、まだまだ深い事情を負っていることが窺えます。

当初は「危険だから大人に任せて」と言ってらいかを巻き込まないようにしたひばりでしたが、ひばりの明るいキャラと現場での活躍にかなり助けられている様子。誰かの為に力を尽くしたいという2人の共通の思いが、別の患者たちを支え、そしてまた支えられていくという流れがとても感動的です。

そんなひばり・らいかが織りなすヒューマンストーリーと、「認知拡張症候群」の秘められた謎に迫る展開が「ブランクアーカイブズ」の大きな魅力。1巻ラストには「認知拡張症候群」の重要なカギを握るナゾの男の存在がチラつき、新たな患者も登場したところ。大きく広がりそうな今後の展開がとても楽しみです。

オススメ度:★★★★★★★★★☆ ★9