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金沢シャッターガール (バンブーコミックス)

「金沢シャッターガール」は、石川県金沢市を舞台にしたカメラ女子の青春ストーリー。2018年2月に実写映画化される注目作品です。

歴史ある古都・金沢のリアルな風景を舞台に、夢や進路に揺れる花菜の日々が文学作品のような繊細な心理描写で爽やかに紡がれています。

「東京シャッターガール」で桐木憲一先生が描く叙情的な作品の魅力を知っていたので、今回の金沢版が発売されるのを楽しみにしていました。

あらすじ

主人公の花菜は石川県金沢市に住む女子高生。カメラ部に所属していて、金沢の有名フォトスポットから路地裏などマニアックな場所まで撮影するのが趣味です。

家は祖父が営んでいた休業中のカメラ屋で、花菜がカメラを始めたのも祖父の影響。母に将来は看護師になれと言われている花菜ですが、写真の勉強をしたい思いもあり、将来や進路についてはまだ悩んでいる途中です。

花菜は、ある日カメラの部品を求めてやってきた外国人の青年写真家ユーリと出会い、1か月間撮影のバイトをしてほしいと頼まれます。花菜の案内でユーリの金沢をめぐる小旅行が始まりました。

感想

カメラ女子・花菜の爽やか青春ストーリー

花菜はショートボブで、キリっとした眼差しに白のセーラー服とチェックのスカートがお似合いの可愛い女子高生。金沢への地元愛やカメラに夢中で、恋にはまだ興味が無い様子。純度100%の爽やかさがマブシイです。

ソフトクリームを食べながら友達とはしゃいだりといったイマドキの女子高生らしいところも可愛いですが、金沢の歴史や文学作品にとても詳しくて、それをキラキラと目を輝かせながらユーリに話している姿もステキです。

思春期ということもあって、母とはイマイチ会話がうまくいってないという悩みを抱えていた花菜でしたが、ユーリとともに行動する中で変化していきます。金沢やカメラの魅力とともに家族の絆を改めて再発見し、自分の撮りたいものや方向性を見出して母ともちゃんと向かい合っていく心の成長が感動的でした。

金沢の魅力が詰まった観光ガイドとしても読める!

「金沢シャッターガール」は、オール金沢ロケーションで有名な観光スポットを巡ります。金沢城・兼六園・金沢21世紀美術館といった超有名スポットから、市場や公園と言った日常の風景まで、「今」の金沢の躍動感あふれる魅力をガッツリ味わうことができます。

作品全体に金沢の持つ気品や重みが格調高く漂っていて、読めば読むほど旅情をかきたてられます。今ブームのグルメ漫画のような食事にウットリするような表現はありませんが、和菓子や金箔ソフトクリームなどのご当地グルメについてナチュラルな表現でしっかりと紹介されています。

その他、降水量が日本一多い街、金沢城の兵舎跡、坂道を楽しむ方法、茶屋街や金沢の芸妓さんの魅力、心を許した人とは深く付き合うという地元民のキャラなど、トリビア的な紹介もてんこもり。地元のベテラン観光ガイドさんがつきっきりで教えてくれるような、金沢の真価に迫るエピソードが楽しめます。

奥が深い!カメラや写真の魅力にどっぷり浸る

タイトルにある「シャッターガール」に相応しく、金沢の風景とともにカメラと写真の魅力もたっぷり詰め込まれています。作中で登場人物が手にしているカメラは、実際に存在するカメラ。そのプロダクトデザインそのものが、作品全体に漂う金沢のレトロモダンな雰囲気を盛り上げています。

さらに、花菜の心象風景とともに「写真を撮るとはどういうことか」「何をどう撮りたいのか」などについても深く掘り下げて描かれています。物理的な写真のテクニックではない、かなり深い精神的な部分まで追求されているのが斬新です。

写真家ユーリが写真部の高校生たちに構図などについて教えるシーンは、スマホなどでのちょっとした撮影にも応用が利きそうな知識が盛り込まれていています。カメラや写真に特に興味があってもなくてもひきこまれてしまう力強さが印象的です。

まとめ

「金沢シャッターガール」は、わかりやすい金沢の観光ガイドと、清廉な文学、カメラの教科書を爽やかな青春漫画にミックスしたような味わい深い作品です。作品全体に漂うレトロモダンと、炭酸のようなシュワッとした甘酸っぱい爽やかさ。気品があって格調高い雰囲気を堪能できます。

読めば誰でも金沢通になり、金沢に行きたくなる、聖地巡礼したくなる珠玉の1冊。文字量、情報量がとても多いので何度も読み返したり、金沢に行く新幹線の行き帰りに読んで旅情に浸ってみたりするのも楽しそうです。

また、巻末に収録された金沢市のマップを見ると、金沢城公園から兼六園まで、作品内で紹介された14か所の観光スポットが金沢駅周辺に集中していることがよくわかります。いつか登場人物たちのようにカメラを手に歩き回って、自分なりの「金沢シャッターガール」風景を探してみたいと思います。

オススメ度:★★★★★★★★★★ ★10

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