きまじめ姫と文房具王子 第1集 (ビッグコミックス)

「きまじめ姫と文房具王子」は超文房具マニア男と失恋したばかりのマジメ女子が繰り広げるラブストーリーです。

表紙の淡い水彩タッチと手書き文字のタイトルの柔らかい雰囲気にひかれて、ジャケ買いでゲットいたしました。

「きまじめ姫と文房具王子」のタイトル通り、清楚でマジメなヒロインと文房具マニア男の話なのでセクシーさは皆無。純度100%の爽やかで穏やかな恋模様と文房具への愛がほとばしるストーリーです。

あらすじ

姫路かの子は長らくお世話になった恩師の結婚を知って失恋、逃げるように京都の大学に講師として就職しました。そして大学の相部屋の研究室で男性講師・超文房具マニアの蜂谷皐月と出会います。

見た目は物腰柔らかでインテリな雰囲気がまさに「王子」のような蜂谷ですが、研究室を私物の文房具で埋め尽くし、「僕の所有物には一切触れないでいただきたい」と凄むなどちょっと変人タイプの超文房具マニアでした。

かの子は蜂谷のウンチクにウンザリしながら働き始めますが、熱く文房具を語る蜂谷に次第にペースを乱され、あらたな境地に踏み出していきます。

感想

応援したくなる!かの子のマジメさと不器用さ

かの子は近代政治史の講師で、仕事に一生懸命取り組むマジメな女性。黒髪ストレートで胸元はがっちりガード、スカート丈もほぼヒザ下ばかり。失恋の重みを引きずりすぎていて、最初はちょっと面白みにかけるキャラでした。

しかし、蜂谷が何だかんだと文房具マニア知識を披露しながら絡んできて仕事の邪魔をしてくるせいで、だんだんと豊かな表情を見せていく変化がとても好印象です。大学の講師として生徒のことを気にかけているところもステキです。

かの子は相部屋の研究室が増設されて自分が部屋を移るかもという話になった時に、着任してからずっと抱えていた思いを爆発させます。素直に思っていることを吐き出して結論を出した後の笑顔にホッとさせられました。

超文房具マニアの天然人たらしとウンチクワールド

蜂谷はフワッとした笑顔とメガネがイイ感じのオシャレで優しい男性。スイーツにも詳しく、トーク力も高いので生徒たちからの人気もある好青年です。しかし、研究室に私物の文房具を山積みにして文房具店のような雰囲気にしてしまったり、文房具について語りだすともう止まらなかったりするオタク感のギャップが面白いです。

「文房具は文学であり歴史であり、科学であり発明である」と少年のように目をキラキラさせながら文房具の魅力とウンチクを語る蜂谷は、かなりキャラ立ちして光っています。何か夢中なものがあることは、やはり人を輝かせると感じました。

そして生徒たちにも支持されるほど、意外とよく人を見ているところも印象的。かの子との距離や発言には遠慮がなく、かの子の耳元で文房具の知識を囁いたり、気をつかって引いたかと思えば逆にグイグイ踏み込んできたりとドキドキな言動が目立ちます。

人の心も変えちゃう!?あらためて文房具の魅力を再発見

「きまじめ姫と文房具王子」にはフエキどうぶつのり、消しゴムのレーダー、コクヨのキャンパスノート、修正液、付箋など誰もが知っているおなじみの文房具はもちろん、万年筆といった高級品までたくさんの文房具が登場します。

そんな文房具の知識や人との出会いを通じて、人間関係が変化していくのもこの作品の大きな魅力のひとつです。かの子の失恋相手が万年筆にこめた思いを蜂谷が推察したことで、かの子は失恋の重みから抜け出しています。他にも大学の生徒たちが、文具を通してそこにある人の思いを受け止めて成長していくところが感動的です。

また、登場する文房具の種類や時代幅がとても広範囲なので、世代が違っても懐かしい・あるいはおなじみの商品が作中に登場して親しみを感じます。個人的には昔よくあったひみつ道具箱のようなペンケースが懐かしかったです。

まとめ

「きまじめ姫と文房具王子」は、叶わない恋の痛みから抜け出したかの子の青春が文房具への興味とともに花開いていく様子が爽快な読後感をもたらす作品です。文房具と京都の雰囲気が、全体に古風な趣のある文学作品のような味わい深さを与えています。

読めば誰でも文房具のマニアックな知識が増えるのはもちろん、文房具店をのぞいたり、作中に登場する懐かしの文房具からまあまあの高級品まで改めて使い心地を確かめたくなったりするような強烈なインパクトに魅了されるに違いありません。

また、京都の老舗スイーツ店が登場するなど、京都ネタも随所におりまぜられていて、あらためて京都のしっとりとした静謐な雰囲気と文房具は相性がいいなと感じました。今後は京都で文房具を多く扱っている雑貨店などの登場にも期待したいです。

オススメ度:★★★★★★★★★★ ★10