DINER ダイナー 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

1巻をタイトルとコンセプトで購入し、思った以上に面白かったので2巻も購入しました。とにかく先が読めなかったので、どういうオチになるのか気になってすぐに電子版を購入した形になります。

結果としては想像以上というか、かなりスピード感がある展開に酔わされました。物語の緩急のつけ方が良いのと、登場人物の心の歪み方と感情の入り乱れ方が複雑で非常に濃い漫画になっています。

もともと命の扱いが軽い漫画でしたが、2巻はさらに拍車がかかったような気もします。また、本当の善とは何なのかも考えさせられる内容です。

あらすじ

闇の仕事に関わったことで命を失いかけたカナコは、殺し屋専門のダイニング『キャンティーン」のウェイトレスとして働くことになります。

1巻でであった殺し屋ポロンの家庭の事情などに同情したカナコは手助けのために同じ殺し屋間のギャンブルに加わり、自分自身の命を懸けて戦うことになってしまいます。

トランプを使った基本的なギャンブルですが、カナコはどんなに良い手を引いても負けてしまう状態に陥ります。負けが込む中で様々なトラウマがカナコの脳裏によみがえり、さらに追い詰めていくのです。

感想

二転三転するためストーリーの予測がつけられない

『DINERダイナー』の魅力の一つはストーリーがどうなるか予測がつかないことです。今回も予測のつかなさは折り紙つきで、話が二転三転していきます。カナコは命をかけたギャンブルで少しずつ負けていくことになりますが、明らかなイカサマがあってもトリックがどこにあるのかわからない構造になっています。

物語が進めばトリックはばらされる形になりますが、それに納得できるかは人それぞれですご都合主義があるかどうかの話は脇に置いて、カナコを助ける存在やその手法にも工夫が凝らされています。料理がヒントになっているのもポイントで、料理漫画らしさが少し戻ってくる部分もあります。

ピンチを切り抜けたと思ってもまた別のピンチが襲ってくるのもポイントです。カナコからすれば気が休まらないところですが、それは読者も同じです。急展開に次ぐ急展開のため、途中で読むのをやめられないドラマ性があるのが特徴になっています。

サービスカットは忘れないのもポイントに

ヤングジャンプコミックス発の漫画ということもあり、サービスシーンはしっかりあります。ただし、カナコが無理やり押し倒されるようなシーンになっています。カナコは自分の身を守れるのか、誰かが助けに来てくれるのかも見所です。

カナコは様々な問題に向き合ってきた人物になるため、逆転のアイディアが思い浮かぶかもしれないと想像できるのも魅力の一つです。ただし、命以外の全部を失ってしまうのではという不安が消せないのもポイントになっています。

別の見方をすれば、それ以外の部分のサービスカットは少なめです。シリアスモードに突入してしまうと色気どころの話ではなくなってしまうため、過剰な期待には注意が必要です。また、カナコが卑猥な言葉をかけられるシーンもありますが、比喩が高度です。官能小説などを読んでいないとわからない可能性もあります。

親切心が良いこととは限らないと言う怖さがある

2巻のストーリーのコアな部分となっているのが、無知の恐ろしさです。カナコは親切心でさまざまな行動をとることになりますが、それが裏目に出てしまう場合が多いのです。しかも、致命的な結果に突き進むきっかけになってしまう場面も存在し、カナコ自身が引き返せない場所に行ってしまう可能性すら示されています。

殺し屋といえども人間で、それぞれ殺し屋になった経緯は異なります。トラウマを抱えた人間や歪んでしまった人間も登場し、表面的な優しさが正解とは限らない状態になっているのです。何が裏目に出るかわからないのは一般的な人間関係でも言えますが、この漫画の世界ではより顕著です。

お互いが助けたいと思っても、それでもすれ違うケースがあり、悲劇的な結末につながる場合もあります。本当に人間を理解することの難しさが描かれているため、ますます人間不信に陥る可能性もあります。カナコ視点で考えるのか、別な人物の視点で見るかでも物語が大きく変わるため、見方をかえてみるのもおすすめです。

まとめ

読み終わるまでがあっという間に感じる漫画でした。読み終わってから続きがないことに驚くような形です。電子書籍版で購入したためページ数が読みづらかったのもありましたが、非常に濃い時間が過ごせました。息をつかせぬ展開のため、読み終わった後少し消耗していることに気づくほどです。

2巻も怒涛の展開でしたが、気づいた部分もあります。これは、カナコ以外の登場人物が自分のルールや行動原理にしっかりと従っていることです。キャラクターの行動に芯が通っているため矛盾を感じづらく、多少無理がある展開でも説得力を感じてしまうのです。

深読みすれば、キャラクター同士がそれぞれに譲れないものがあるから矛盾し、殺しあうという結論に至っているようにも見えます。それぞれが理不尽な『何か』を象徴しているような感覚さえ覚えます。テーマの奇抜さよりも、シナリオの深さや練り具合が感じられる作品で、次の巻も気になる内容になっています。

オススメ度:★★★★★★★★★☆ ★9

月10冊程度、年間100冊超の漫画を読むフリーライター。非定期で友人と百合漫画を語る会を開きますが、ジャンルは不問で何でも読みます。