女性同士の美しい立ち回り、繊細な心境の変化など、「ガールズラブ」や「百合」と呼ばれる作品には非常に熱心なファンが多いですよね。ユーザーによってガールズラブに対する思いや作品の読み方も違うはずで、目的によって読もうとする作品も千差万別です。

そんなガールズラブの世界で「百合とガールズラブに違いはあるのか?」と、疑問に思うことがあります。
「そんな区別はどうでも良いよ…」
「可愛い女の子同士のイチャラブが見れれば良いんだよ!」
と、読者の方が思われますし。
執筆者も「美しい女性同士のふれあいが読めればそれで良いのかも!」と考えております。

しかし、「ゆるゆりはガールズラブの作品だよ」と紹介されると違和感がありますし、言葉の新しい・古い、肉体関係の有無以上に、目に見えづらい線引きのようなものを感じるのです。
そんな女性同士のふれあいや恋愛をテーマとして、もう少し踏み込んだ関係性のガールズラブ(百合)が好きな方や興味がある皆様に是非読んでほしい数作品を紹介しつつ、言葉以上の違いはあるのか、この記事を読んでくださった方と一緒に考えていきたいです。

記事最後に今回ご紹介した作品に対する「百合・ガールズラブ」どちらと考えているかアンケートを実施しますので、是非ご参加ください。

※アイキャッチ画像
引用元:星川銀座四丁目1 玄鉄絢 株式会社芳文社 第1刷 P129

『少女セクト』 (著・玄鉄絢) 【ガールズラブ?】

少女セクトとは?


少女セクトは玄鉄絢(くろがね けん)先生により2003年から2005年まで、成人男性向け漫画雑誌で連載されていたガールズラブを全面に押し出した作品です。ですからR・18の作品となります。

この作品を最初に紹介するのは、成人男性向け漫画雑誌で連載されながらもインターネットで人気となり、2008年にはガールズラブを全面に押し出したアダルトアニメが制作された経緯。女性のフォロワーも多い作品で、「ガールズラブを知ったきっかけ」という方がたくさん存在することから、ガールズラブで重要な立ち位置の作品だと思うからです。

敬遠されやすい成人向けだけど…

少女セクトは敬遠されやすいR・18作品ながら、軽快なセリフ回しや美しい女性同士の触れ合いが丁寧に描かれています。女子高を舞台としたオムニバス形式を採用し、風紀委員の内藤桃子を中心に後輩・先輩・同級生・教師など、時に切なく、時に笑いあり、もちろんドキッとする触れ合いも非常に美しく表現されています。

成人向けなので読む方を選びますし、「美しい」と評しながらもR・18作品ですから過激な描写も存在します。けれどソフトな関係性を連想させる「百合」、個人的趣向で本能的な事柄を感じる「レズビアン」とは違い、積極的な肉体関係や性的趣向、同性であるが故の答えの見えない葛藤によってガールズラブに属する名作ではないでしょうか。

『星川銀座四丁目』 (著・玄鉄絢) 【ガールズラブ?】

少女と教師の同性・同棲生活

星川銀座四丁目 (3) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

「星川銀座四丁目」は玄鉄絢先生により、コミックアンソロジーつぼみにて2009年から2012年まで連載されていました。少女セクトとは違い直接的なアダルト要素を抑えながらも、小学6年生「松田乙女」(後に中学生へ成長)と学校の教師「那珂川湊」の同棲生活と年齢差によるカップリングが描かれています。

登場人物たちのギャップ

乙女と湊の同棲生活を見ると、小学生の乙女が精神面でも教師の湊をリードする姿がユニーク。幼いながらも成熟した考えを持つ乙女と、精神年齢が低くて一人では何もできない湊。見た目の違い以上に精神や内面のギャップも描かれているので、ただの百合百合イチャイチャな作品で終わらない所もポイント。

ガールズラブはシリアス?

ボーイズラブも同様にガールズラブと呼ばれる作品は、異性の恋愛を描く作品以上に、思わず胃がキリキリしてしまうシリアスな描写が多いと感じています。未だに社会で偏見がある同性同士の恋愛関係を描くので、偏見を打ち破ることや性別の垣根を超えないと、どんなにお互いをが両想いでも説得力が生まれないのかもしれません。

星川銀座四丁目でも巻数を重ねるごとにシリアスなシーンが増えていきます。しかしこの作品のシリアスは、社会が同性同士の恋愛を認めてくれないことや同性であるが故の葛藤から生まれるものではなくて、異性同士の恋愛に似た葛藤が描かれていると思うのです。

例えば乙女と湊が同棲生活を送る上での悩みは、親の浮気が原因で居場所がない乙女、生活費、進路など、同性関係なく誰もが悩むものばかりです。そこが他ガールズラブ作品とは少し異なりますが、乙女と湊はお互いの将来のことを真剣に考えているシーンも多く、金銭的なことを含めて妙に現実的です。

一巻までは乙女と湊の日常生活、年齢差やギャップに和んでソフトな百合をイメージしましたが、巻数が進むにつれてシリアスと両者が強く繋がろうとするシーンが増えてきます。
しかしながら、乙女と湊は時と場所を考えてイチャイチャしてくれますし、何よりも二人の時間を大切にするために努力する姿が大変美しく感じました。
星川銀座四丁目もガールズラブで是非読んでほしい作品です!


※「星川銀座四丁目」の新装版が上下巻発売中です!
玄鉄絢先生twitter
玄鉄絢先生HP

『楽園の条件』 (著・森島明子) 【百合?】

恋愛は少女だけの特権じゃない

楽園の条件 (百合姫コミックス)

『楽園の条件』は、長年様々なタイプの百合を描き続けている森島明子先生の作品。成人した社会人同士の百合や、「星川銀座四丁目」と同じく年齢差のあるカップリングをテーマにオムニバス形式で構成される物語です。

執筆者は百合という言葉から「少女たちの可愛らしいふれあい」や「女子校で秘密の花園」のように、未成年で社会から隔離された美しく穢れのない関係性をイメージします。恐らく「マリア様がみてる」の影響かもしれませんが、とにかく優しくて物腰しが柔らかい雰囲気を感じます。

ですが「楽園の条件」で描かれるような社会人の女性同士の恋愛ともなると、上で述べた「百合」のイメージからかけ離れてしまう恐れがあると考えていました。社会の荒波に揉まれながら厳しい現実に直面する様子が想像でき、百合を描く上で向いていないのではないか…、そう感じていたのです。そんな?な固定観念を持つ執筆者でも、森島先生が描く社会人同士の関係性は「百合だ!」と認識できるから素晴らしいです。

先生の描く女性は綿菓子のようでふわふわ?

森島先生は「女子を柔らかく、おいしそうに描くことが生きがい!」らしく、キャラクターたちは綿菓子のように体のラインが丸く描かれ、年齢が高めのキャラでも非常に可愛らしいです。森島先生自身が女子高出身で女性同士の関係性にもリアルさを感じました。
百合が好きで、もう少し踏み込んだ関係性が読みたい方にも森島先生の作品はオススメですし、「恋愛は少女だけの特権じゃない」というキャッチコピーにピン! と来たら是非読んでみてください。

森島明子先生twitter
森島明子先生ブログ

『ゆるゆり』【百合?】 『大室家』【ガールズラブ?】

大室家: 1 (百合姫コミックス)

ゆるゆりのスピンオフ『大室家』

なもり先生著の『大室家』は、ゆるゆりに登場する元気で明るいトラブルメーカー「大室櫻子」と、櫻子の姉妹で大室撫子(18歳)・大室花子(8歳)の3姉妹の日常が描かれる「ゆるゆり」のスピンオフコミック。撫子や花子の学校生活や色々と残念な櫻子に振り回されながらも、姉妹仲良く暮らしている様子が微笑ましい作品です。

長女「大室撫子」からガールズラブの波動を感じる

大室家長女の撫子からは「ゆるゆり」のソフトな百合とは違う印象を受けました。友人3人の中で誰と付き合っているか分からないミステリアス、電話のやり取りからして「大人のイチャイチャ」を感じますし、撫子のシーンは作中の雰囲気とは少し異なるのです。

誰にも邪魔できない空間や危うい関係性と言いますか…、主に既存巻では電話での会話でしか思い人との描写がないことを含めて、成熟した精神によるガールズラブを個人的に連想させられます。もちろん「大室家」はガールズラブや百合など無理に区別しなくても名作で、三姉妹で三者三様の魅力があります。スピンオフですが「ゆるゆりよりも大室家が好き」という方も存在するのではないでしょうか。次女である櫻子の残念っぷりと優秀な撫子、花子との対比も笑える作品です。オススメ!

なもり先生twitter
なもり先生HP

結局、百合とガールズラブの違いは何なのさ…

「百合とガールズラブに違いはあるのか?」と大風呂敷を広げながら、非常に情けないことに「これだ!」という違いを見つけることは困難だと感じてしまった…。上で述べた違いはすべて執筆者の個人的な考えですし、考えれば考えるほどにガールズラブや百合の魅力は深海よりも深く、宇宙の真理に匹敵する無限大の魅力があるとも思えました。

世界中に存在するガールズラブ(百合)がテーマの作品をすべて読んだわけではありませんが

百合(かわいい・優しい・柔らかい・平和・慈愛・閉鎖的)
ガールズラブ(綺麗・シリアス・刺激・成熟・現実的)
百合=ガールズラブ(美しい・葛藤・強い繋がり)

などのワードが浮かびます。もちろん読者によって感じ方は違いますし、この考えは絶対ではありません。百合・ガールズラブを愛するひとり一人が、自分の中で気づかない内に作品に対して信念のようなものを持っているはずで…。
だから「そんな区別をしなくても良いのでは?」と思われて仕方がないのです。

過去に女性同士の関係性を表す言葉でS(エス)が存在したように、時代と共に百合を指す言葉は変化する可能性もあります。また、どんな時代にも女性同士の美しい関係やふれあいを愛する方が存在したように、それだけ多くの人を惹きつける魅力があると改めて感じさせられました。

アニメや漫画など女性同士の関係性を主軸とする作品が増えている中で、読者の皆様は「百合とガールズラブ」の違いについてどのように考えるでしょうか?



↓宜しければ、アンケートにもご参加ください。


『少女セクト』は百合?ガールズラブ?

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『星川銀座四丁目』は百合?ガールズラブ?

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『楽園の条件』は百合?ガールズラブ?

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『ゆるゆり』は百合?ガールズラブ?

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『大室家』は百合?ガールズラブ?

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記事担当:キリンリキのしっぽ