球詠 (3) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

Twitter・Pixivでフォロー中のマウンテンプクイチ先生が連載中と聞き、以前から読みたいと考えていました。

まんがタイムで3巻発売後のシナリオを読み、今までイラストしか拝見したことのなかった先生の新境地を知ったのです。

何店舗かはしごをしても取扱がなく、先生のTwitterアカウントからレビューサイトへ。既刊が好評だったので、そのまま通販で購入しました。

あらすじ

珠姫と詠深は、仲のよい幼馴染。2人で一緒に始めた野球チームも、ついに総勢9人の顔触れが勢ぞろいしました。

大会に向けて練習や分析を重ねつつ、互いの友情や絆を確かめ合うメンバーたち。そしていよいよ運命の日が。

珠姫の思わぬ再会に走る衝撃・それぞれの野球にかけた思いが交錯する中、熱い試合模様が繰り広げられます。

感想

珠姫と詠深の掛け合いがいじらしい

“百合練習中”を標榜するマウンテンプクイチ先生の作品だけあって、共同主人公である2人の少女・珠姫と詠深の仲には、友情以上の強い絆があります。野球チームのために、何より詠深のために貢献しようとする珠姫の奮闘ぶりに、愛らしさを感じました。

詠深も一見クールビューティな女の子に見えますが、実は深い情を抱えている描写もあります。全国大会という大舞台を前に興奮と緊張を隠せない珠姫。そんな時に、2人で野球を始めた頃の気持ちをしんみりと語るシーンがあります。

全国大会予選では、主人公たちの思いがけない再会アクシデントも。幼馴染を取られまいと警戒する詠深と、それをなだめる珠姫の掛け合いにはクスリときます。2人の愛情深さを読み取れる、このコミックのハイライトです。

芳乃のコミカルな個性に惹かれる

新越谷高校野球チームのメンバーは、いずれも個性豊かなキャラクターばかり。とはいえ総じて努力家の多いチームのなかでも、ユルい癒やし系メンバー・芳乃の一挙一動には、ページを追うたびに笑ってしまう不思議な魅力があります。

「分析した!」と突然立ち上がってみたり、かと思えば真剣に机に向かってみたり。チームメイトのなかでは最も感情表現豊かで、どこか無鉄砲でもありながら彼女なりに考えもある…そんな不思議な個性を持つ少女です。

芳乃のキャラクタービジュアルも、マウンテンプクイチ先生が得意とする「ぷにぷに・柔らか系」の可愛らしい雰囲気。この声優が合うかも?などといった想像も膨らみます。名脇役・マスコットキャラなどの言葉では語りつくせない魅力があります。

野球好き作家さんならではの白熱試合

マウンテンプクイチ先生は、Twitterでもホークスファンと宣言しておられます。いよいよ全国大会に突入した本編中では、先生の高い画力・その中でも野球に対する深い造詣に胸打たれます。スポーツ好きにはたまりません。

特にこの巻の後半では、予選の熱い試合模様が繰り広げられ、本格派スポ根漫画の表情へと切り替わります。ここで驚いたのが、アクションシーンの迫力。本格的なスポ根漫画にもひけを取らない、本物の演出力が光ります。

スポーツ漫画としての技巧を最も感じたのは、時々読者の頭を休ませてくれる描写が入る点でした。新深谷高校チーム内でのそれぞれの思惑・対戦チームとの読み合いを台詞に出すことで、試合展開に振り回されることなく読み進められます。

まとめ

野球ファンではなく、萌えイラスト好きとして先生の存在を知った私ですが、この漫画で野球の基本ルールを知ることが出来ました。スポーツ観戦に慣れ親しんでいなくともスルスルと読めてしまう、不思議な力に感じ入りました。

また、「女子しか出てこない野球漫画」というのは探すとなかなかないもの。スポ根と”百合”の融合作品としてはきわめて貴重で、満足度も高い一作だと感じました。より新しい形の萌え漫画に出会えたなと感じました。

そして「スポーツをする美少女」は、癒しの永遠のテーマだと再確認させられました。マウンテンプクイチ先生の絵柄らしいプニプニとした女の子が獅子奮迅する姿は、まさに眼福。こんな形のスポーツ漫画をもっと発掘してみたい、そんな気持ちになります。

オススメ度:★★★★★★★★☆☆ ★8

記事担当:秋