魔女の怪画集 1 (ジャンプコミックス)

「魔女の怪画集」は「ジャンプSQ.(スクエア)」で2017年12月号から連載されている、晴智先生が描くダークファンタジーです。

絵から飛び出した青年ロキが自分を描いた少女アイシャとの約束を果たすため、人間の欲望に侵された「怪画」を封印する戦いが描かれています。

毎月ゲットしているジャンプSQ.で、巻頭カラーと第1話を見てひとめぼれして以来、記念すべき第1巻の発売を心待ちにしていました!

あらすじ

絵を描くことが大好きな少女アイシャは「奇跡を起こす絵」を描いて、病気やケガを直したり、失ったものを取り戻したりといった奇跡でたくさんの人を幸せにしてきました。

しかし、絵を悪用する人間のせいで「怪画」が血を求めて暴れだし、「魔女の怪画」と呼ばれて恐れられるようになってしまいます。アイシャは失意のなか病気で世を去る前に、落書きの少年ロキに命を与えます。

アイシャはロキに怪画の呪いが人間をこれ以上傷つけないよう「全部燃やしてほしい」と頼み、ロキは100年以上をかけてアイシャの絵を封印する戦いに身を投じ続けるのでした。

感想

生命を持って動き出す絵・「怪画」の功罪

このストーリー最大の特徴は「魔女の怪画」という独創的かつ悲劇的な設定です。孤児院で暮らす少女アイシャは、自らの血を捧げて描いた絵が奇跡を起こすことに喜びを感じていました。しかし、孤児院から奇跡の力を悪用する金持ちの貴族に大金で売り飛ばされてしまい、絵を描くだけの監禁生活を送ることになります。

悪どい金持ちのためにアイシャは命を削って絵を描き続けますが、絵が悪用されてしまうと、絵に描かれたものが実体化して暴走するという事件が多発するようになります。「奇跡を起こす絵画」はいつしか「魔女の怪画」と呼ばれ、アイシャは落書きだったロキに絵の回収を託して病死します。

落書きだったロキはずっと孤独なアイシャとともに過ごしてきましたが、アイシャの死の直前に生命を与えられ、アイシャのいない世界で絵を回収して最後は自分自身を封印するつもりです。アイシャの悲劇的な人生を見てきたロキが、アイシャとの約束を果たそうとするその姿に胸が締め付けられます。

絵を封印するロキの華麗なバトル・神々しい浄化

ロキはクールな性格とビジュアル系・ゴシック系のファッションのイケメンです。魔女の怪画を封印するため、ロキは凝った幻想的なデザインの額装をいつも背負っています。額装、つまり額縁だけで空っぽの枠組ですが、それだけでも絵になるぐらい存在感があります。

いざ、魔女の怪画を封印する際には「解額」をすると、額が変形して剣にチェンジ。絵画から飛び出した怪物を斬り倒して絵に戻し、封印することができます。解額にはいくつかのパターンがありますが、どれも元の額装のデザインが反映されていてカッコイイです。

第1話では、ロキは絵から飛び出したクモの怪物と対決。クモの迫力あるビジュアルや緊迫感のあるバトルも見ごたえたっぷりです。さらにクモが封印されて、本来の願いである「老人のバラ園の害虫駆除をして手伝うクモ」という姿を取り戻し、浄化されるように消えていくシーンがとても美しくて印象的です。

敵対組織の登場と、アイシャそっくりの不思議な美少女の出現

ロキはさまざまな商品の運送・販売・製造を手掛ける「ウィンクルム商会」の第4課に所属しています。第4課は「商会の掃除屋」とも呼ばれ、超常現象などを秘密裏に処断する部門として他の課からも恐れられるような存在です。

ロキは商会に寄せられる情報をもとに、効率よく怪画の回収にあたっていましたが、第3話では「聖美術財団」という怪画を集めて何かを企んでいるナゾの組織と対立します。聖美術財団のメンバーは「学芸員」と呼ばれていて、絵画関連の着想が活かされた設定がユニークです。

さらに盗賊から押収した美術品から、なんとアイシャそっくりの精巧な人形が発見されます。驚いたロキが思わず手を触れると、なんと人形が実体化して顔も眼差しもアイシャそっくりの人間の姿に変身!何者なのか気になるところですが、暗く重いダークな展開にふたたび美少女登場で華やぎそうなのが何より嬉しいです。

まとめ

「魔女の怪画集」1巻では悲壮なアイシャとロキの運命が描かれ、1話では少女アイシャと少年ロキの短くて儚い幸せと別れ、2話では成長した青年ロキが怪画を封印して人を救う活躍、3話では怪画を狙う敵とアイシャそっくりの美少女が登場するという怒涛の展開でした。

幼いアイシャとロキが本当に可愛らしかったので、人間に悪用されても人間を呪いから助けたいと言って亡くなったアイシャの純粋さや健気さに、1話からいきなり涙腺崩壊で心を打たれました。ただひとり愛したアイシャとの約束を果たすために、怪画の回収を続けるロキの孤独さと切なさにも泣かされます。

そしてこのままロキが淡々と絵を封印して回るのかと思いきや、3話目でいきなり敵とアイシャ復活かと見紛う美少女が現れるという超サプライズ。敵もいずれこの美少女に気づいて狙い出しそうな予感が濃厚に漂っています。ロキと美少女が幸せになってくれることを願いつつ、今後も連載と新刊発売を心待ちにしたいと思います。

オススメ度:★★★★★★★★★★ ★10